トラックGメンとは?特殊車両・トラック事業者が注意すべきこと

コラム

運送業界や建設業界で「トラックGメン」という言葉を聞いたことがあると思います。特に、ダンプカー・ミキサー車・クレーン車・トレーラーなどの特殊車両を保有して運行している事業者やドライバーにとってはとても気になる言葉ですね。

トラックGメンとは何者なのか?、どのような活動をしているのか?、どのような法律に基づいて指導・監視をしているのか?、特殊車両・トラックの所有者やドライバーが注意すべき点などを、法令に基づいて、わかりやすく解説します。

トラックGメンとは

正式名称と位置づけ

トラックGメンとは、正式な法定名称ではなく、国土交通省(地方運輸局・運輸支局)を中心に設置されている悪質なトラック事業者・荷主への監視・是正を目的とした専門的な取締・指導体制のことを、マスコミなどが通称的に呼んでいる名称です。国土交通省自身もGメンという言葉を使っています。次のサイトをご覧ください。

自動車:「トラック・物流Gメン」について - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

国土交通省のサイトからの引用です。

国土交通省では、「トラック・物流Gメン」が、悪質な荷主・元請事業者等の是正指導を行っています。
荷主・元請事業者等による違反原因行為にお困りの場合は、目安箱へ情報をお寄せください。
電話で情報をお寄せいただく場合は、最寄りの運輸局・運輸支局等までお願いします。

  • 特に、トラックGメンは次のような問題を重点的に監視します。
    • 過労運転・長時間労働
    • 無理な運行指示
    • 違法改造
    • 荷主による不当な運送条件の押し付け

運送業界における「長時間の荷待ち」や「無理な配送依頼」などの商慣習は、立場が弱い運送会社が泣き寝入りするケースが多くありました。トラックGメンは、こうした実態を調査して、違反の恐れがある荷主に対して是正を促す「行政の目」としての役割を担っています。

トラックGメンができた背景

根拠となる法律は、主に「貨物自動車運送事業法」です。 この法律に基づき、適正な運営を阻害する行為(過積載の強要や長時間の荷待ちなど)を行う荷主などに対して、国が働きかけや勧告を行う制度が強化されました。

荷主への是正指導指針について国土交通省のサイトからの引用です。

トラック・物流Gメンが荷主・元請事業者等に対する効果的な是正指導等を継続的に実施するためには、是正指導の透明性や公平性を確保し、貨物自動車運送事業者、倉庫業者及び荷主・元請事業者等からの一層の理解と協力を得ていく必要があります。

このため、トラック・物流Gメンが実施する是正指導の基準や考え方等を行政手続法第36条に基づく行政指導指針として定めました。これにより、透明かつ公正な行政指導を確立することに資するとともに、貨物自動車運送事業者及び倉庫業者等からの荷主・元請事業者等の違反原因行為に関する積極的な情報提供、荷主・元請事業者等による本指導指針に記載された内容等を踏まえた自主的な商慣行の見直しの取り組みを期待しております。

過労運転・事故の多発

トラック業界では長年、荷主優位の取引慣行、運賃のダンピング、ドライバーの長時間労働が問題となってきました。これにより、過労運転や重大事故が社会問題化しています。

働き方改革と物流の適正化

これを受けて、国は働き方改革関連法や改善基準告示の見直しなどを進めると同時に、実効性のある監視・指導体制として「トラックGメン」を強化しました。

トラックGメンの役割

悪質事業者への立入監査・指導

  • トラックGメンは、地方運輸局等と連携して次のことを重点的に確認します。
    • 運行管理体制
    • 点呼記録
    • 運行指示書
    • デジタルタコグラフ(デジタコ)
    • 労働時間管理

これらの根拠法令は、貨物自動車運送事業法や道路運送法にあります。

荷主への是正指導

最近の特徴として、運送会社だけでなく、荷主側への指導が強化されています。

例えば、無理な納期設定、待機時間の長時間化、運賃に見合わない運送条件などが確認された場合、荷主に対して是正要請が行われます。

これらの根拠法令は、貨物自動車運送事業法、下請代金支払遅延等防止法(下請法)に基づいています。

違法改造・過積載の監視

特殊車両やダンプなどでは、過積載、車体構造変更未届、保安基準違反が重点監視対象です。

根拠法令としては、道路交通法、道路運送車両法となります。

情報収集・通報対応

労働者からの内部通報、同業他社からの情報提供、事故発生後の重点調査などを通じて、継続的な監視が行われます。

特殊車両・トラック所有者が注意すべきポイント

運行管理体制の整備

運行管理体制の整備が重要です。たとえば、運行管理者の選任・点呼の適正実施・酒気帯び確認の記録などです

根拠法令は、貨物自動車運送事業法と貨物自動車運送事業輸送安全規則になります。

労働時間・休息時間の遵守

2024年以降、労働時間・休息時間は特に厳格化されています。改善基準告示の遵守、拘束時間・休息期間の管理(体制)が重要です。

根拠法は、労働基準法や自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)になります。

特殊車両の許可・届出の確認

特殊車両通行許可の取得や車両改造時の構造変更申請を確認しておいたほうがよいでしょう。

根拠法令は、道路法と道路運送車両法になります。

荷主との契約内容の見直し

荷主との契約内容の見直しとしては、運賃・料金の明確化、待機時間・付帯作業の明文化を徹底するようにします。不利な条件を放置すると、結果的に行政指導の対象となることがあります。

ドライバーが注意すべきポイント

  • ドライバーが注意すべきポイントとしては次のことが挙げられます。
    • 無理な運行指示を受けた場合は記録を残す
    • 点呼未実施や虚偽記録に加担しない
    • 違法改造車・過積載運行を拒否する

これらは、ドライバー個人の処分や刑事責任につながる可能性があります。

まとめ

トラックGメンは、悪質な運送実態を是正するための監視・指導体制です。特殊車両・トラック事業者は重点監視対象になりやすい傾向にあり、法令遵守と記録管理が最大の防御策となります。

不安がある場合は、運送業務に精通したアラインパートナーズに相談することが、結果的にリスクとコストを抑える近道となります。

また、荷主からの不当な要求(無理な運行計画、過積載の示唆、料金の不当な据え置き)に悩んでいる場合は、まず社内で「運行管理記録」をしっかりと整備しましょう。万が一の際、トラックGメンへ提出する資料が整っていることが、コンプライアンスを守る最大の武器になります。