ダブル連結トラック(フルトレーラー)の駐車場や休憩所の整備状況と対象路線拡充状況(2026年版)

コラム

2024年(令和6年)9月に国土交通省はダブル連結トラック(フルトレーラー)の対象路線拡大を発表しました。

これは、いわゆる「2024年問題(トラックドライバーの時間外労働規制)」への対策の一環として位置付けられていますが、少ないドライバーで多くの輸送量を確保する手段として注目されています。

国土交通省のHPからの引用です。
https://www.mlit.go.jp/report/press/road04_hh_000025.html

拡充する路線
物流事業者からのニーズ等を踏まえ、道路構造、休憩施設について物流事業者の運行計画をもとに確認、検討を実施し、主な通行経路となる区間を拡充

今後の取組
・高速道路SA・PA でのダブル連結トラック優先駐車マスを順次整備
・引き続き、運行状況や物流事業者のニーズを踏まえて、主な通行経路となる区間について検討

しかし、実際は特殊車両通行許可における通行可能経路の限定問題や休憩施設・駐車マスの未整備といった課題も依然として多くあり、現場では「使いたくても使いづらい」という声が少なくありません。制度の概要から今後の見通しまで、詳しく解説します。

ダブル連結トラック(フルトレーラー)とは

ダブル連結トラック(フルトレーラー)とは、1台のトラクタ(牽引車)に2台の被牽引車(トレーラー)を連結した車両のことです。1台で通常の大型トラック2台分の荷物を運べるため、ドライバー1人で2人分の仕事をこなすことが可能で、非常に効率的です。

このとおり、特徴としては、全長は25m前後で通常のセミトレーラーより大幅に長いために、一度に運べる貨物量が倍近く大きく、トラックの台数やドライバー数を削減することができます。

このトラックは、主として、高速道路やアクセスの良い幹線道路での長距離輸送でに利用を想定したトラックです。

法的な位置付けですが、道路法上は「特殊車両」に該当します。通行には原則として特殊車両通行許可(道路法第47条の2)が必要になり、すべての道路を自由に走行できるわけではなく、国土交通省が指定した対象路線のみで通行可能となっています。

車両が法的制限値(長さ12m、幅2.5mなど)を超えるため、公道を走行するには「特殊車両通行許可(特車許可)」が必要になります。

特殊車両通行許可とは、道路の大きさや重さの制限(一般的制限値)を超える大型車両(特殊車両)が通行する場合に、道路の構造保全と交通安全のため、事前に道路管理者から受ける許可のことです。道路法に基づき、基準を超える車両(長さ12m超、幅2.5m超、高さ3.8m超、重量総重量20t超など)は許可がないと通行できず、オンライン申請も可能で、許可された経路や条件(徐行、誘導車配置など)に従って通行します。

休憩所や駐車場の整備状況

休憩所や駐車場の現状の課題があって、ダブル連結トラックの実際の運用で最も大きな課題の一つが、休憩所・駐車場(駐車マス)の不足です。全長25mという巨体な車体なので、通常の大型車マスには収まりません。

SA・PAでも全長25m級の車両に対応した駐車マスが極めて少なく、出入口の動線が狭くて、進入や退出が事実上困難な施設も多いのが実態です。一般トラック向け駐車マスを使えず、休憩場所が利用できません。

改善基準告示により「4時間走ったら30分の休憩」が義務付けられていますが、25m車が停まれる場所が限られているため、運行管理者はルート上の駐車可能スポットを事前に厳密に把握しておく必要があります。

行政の対応状況

  • 国土交通省およびNEXCOなどの高速道路会社、次の対応を段階的にすすめています。
    • 一部SA・PAでダブル連結トラック対応の大型駐車マスを整備
    • 物流拠点付近の道の駅・民間物流施設との連携
    • 高速道路外での中継拠点(トレーラー切り離し前提)の活用

なお、予約システムの導入では、確実な休憩を確保するため、一部のSA・PA(東名・豊橋PA、新東名・浜松いなさIC路外など)では、「ダブル連結トラック予約駐車マス」の社会実験が行われています。

ただし、全国的には、まだまだ過渡期であって、実際は「通行できても、休憩できない」という状況が解消されたとは言い難いのが実情です。

対象路線の拡充状況

国土交通省は、令和6年9月にダブル連結トラックの対象路線を段階的に拡大する方針を発表しました。

  • ダブル連結トラックの対象路線の拡充のポイントは次のとおりです。
    • 既存の主要高速道路網に加えて、物流量の多い幹線ルートを追加
    • 工業団地・港湾・物流拠点へのアクセス道路の一部解禁
    • 実証実験の結果を踏まえた安全性が確認された区間の本格運用

しかし、現状も限定的状況が続いているようです。

対象路線が拡充されたとはいえ、交差点形状、橋梁の耐荷重、カーブ半径、沿道環境(住宅密集地等)といった理由から、実際に使えるルートは依然として限定的であるという点です。

結果として、申請上は「通行可」であっても現場では「運行が難しい」という乖離が生じているケースもあります。

2026年の予定

国土交通省は、2026年頃を一つの節目として、ダブル連結トラックの本格普及を見据えた施策を進すすめています。

方向性としては、対象路線のさらなる拡大、高速道路SA・PAにおける専用駐車マスの増設、中継輸送拠点の整備促進、特殊車両通行許可の申請・審査の効率化です。

ただし、これらはあくまで安全性確保を前提とした段階的拡大であって、短期間で全面解禁されるものではありません。

また改正物流効率化法の全面施行(2026年4月)があります。荷主企業や物流事業者に対して、荷待ち時間の短縮や積載効率の向上が義務付けられます。ダブル連結トラックの導入は、この「効率化」の達成手段としてさらに強力に推進される見込みです。

改正物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)は、トラックドライバーの労働環境改善と物流全体の生産性向上を目指して、荷主と物流事業者双方に効率化への取り組みを義務化・努力義務化した法律で、2025年4月から施行され、一部は2026年4月から義務化が始まります。

主な内容は、「荷待ち・荷役時間の短縮」や「積載効率の向上」を目標として、一定規模以上の事業者には「物流統括管理者(CLO)」の選任や中長期計画の策定、定期報告が義務付けられ、荷主・事業者間の連携強化、書面交付義務なども盛り込まれています。

ダブル連結トラック(フルトレーラ―)に関するその他の施策

「特殊車両通行確認制度」への対応として、従来の「許可制度(審査に数週間~数ヶ月)」に加えて、登録車両であれば即時に通行可否が判明する「確認制度」に、ダブル連結トラックも対応できるようシステム改修がすすんでいます。これが実現すれば、突発的な配車にも柔軟に対応可能となります。

特殊車両通行確認制度とは、2022年4月より始まった新しい制度で、一定の大きさや重さを超える特殊車両が道路を通行する場合、事前に登録した車両情報と出発地・目的地を入力するだけで、オンラインで即座に通行可能な経路を自動検索・確認できる仕組みのことです。

また、CLO(物流統括管理者)の選任義務化があります。2026年以降、一定規模以上の荷主や物流業者には「物流統括管理者(CLO)」の選任が義務付けられます。経営層がダブル連結トラックのような高効率車両の導入を戦略的に判断する体制がつくられます。

CLO(物流統括管理者)の選任義務化とは、2024年5月に改正された物流効率化法に基づき、2026年4月以降、一定規模以上の「特定荷主」や「特定連鎖化事業者」に対し、自社の物流全体を統括管理し、効率化・適正化を主導する経営幹部(CLO)の選任を義務付ける制度です。これは「物流2024年問題」など物流業界の課題に対応し、荷主企業も物流改善の責任を負うことで、サプライチェーン全体の持続可能性と生産性向上を目指すものです。

さらに中継輸送の推進、ダブル連結トラックの連結・切り離し拠点を整備し、複数のドライバーでリレーを行う「中継輸送」への補助金制度なども継続して検討されています。