ETC2.0と特定プローブ情報の利用について運送業や建設業企業での活用

コラム

運送業や建設業の企業でトラック・特装車などを想定して、ETC2.0と特定プローブ情報の活用方法およびメリットをまとめました。

運送業や建設業においては、ETC2.0+特定プローブ情報は運行管理、安全運転、効率化、特殊車両通行許可対応などで有効な機器となります。

特装車など許可を要する車両を運用する事業者では、通行許可申請の簡素化や経路実績確認によるリスク低減が大きな利点となります。ただし、導入・運用にはコスト、データカバー、情報管理などの課題もあるので、導入前に実証検討を行ったほうがよいでしょう。

さらに多くの事業者が特定プローブデータの活用を通じて運送・建設の効率化、安全性向上を進める可能性があります。

参照先 国土交通省
https://www.tokusya.ktr.mlit.go.jp/PR/pdf/etc20_tokuteipurobu_20170602.pdf

国土交通省の資料からの引用です。

特定プローブ情報を提供いただくことで、経路情報を活用したサービスを提供することが可能となり、特殊車両の走行経路を把握し、適正な経路を利用している特殊車両には車両の通行許可を簡素化することが可能となります。

問い合わせ先:国土交通省 道路局道路交通管理課 03-5253-8111(代)

ETC2.0と特定プローブ情報」とは

ETC2.0 は、高速道路などで使われるETC(自動料金収受システム)の次世代技術で、車両の位置情報や移動履歴などを取得して活用できるプローブ情報(走行データ)を扱えるのが特徴です。

プローブ情報とは、ETC2.0車載器から送られてくる位置、速度、走行経路や急ブレーキなどの挙動履歴データのことです。

特定プローブ情報とは、このプローブ情報に加えて、特定の車両を識別可能な情報(車載器IDや車両情報)を付与したデータのことになります。

これらのデータは、道路管理者(国や高速道路会社)が収集し、管理して、一定の条件のもとで運送会社などに提供されます。

運送業・建設業における導入メリット

運送業や建設業の企業が、ETC2.0と特定プローブ情報を活用することで得られる主なメリットを整理します。

運行管理の効率化

特定プローブデータを使って、自社の車両であるトラックなどのリアルタイムでの位置情報を把握できますし、到着予測や配送ルートの最適化が可能となります。

荷待ち時間(荷主施設での待機など)の状況を可視化できます。荷物の到着時間予測が精度向上すれば、荷主との調整や現場作業の省力化につながります。

運行データ(速度、ブレーキ挙動など)を分析することで、運転傾向や無駄なアイドリングや急減速などを把握できて、燃費、運転時間など運行効率の改善になります。

ドライバーの安全性の向上

急ブレーキや急ハンドルなどの危険運転挙動を記録・分析できるので、ヒヤリ・ハット発生ポイントを地図上で可視化できて、改善すべき運転習慣を明らかにできます。

過去に急減速が多発した区間など道路の危険箇所を把握して、運転指導やルート見直し、安全運転教育に効果的に活用できます。

また、事業者が運行管理を強化することで、事故リスクを低減できるだけでなく、ドライバー教育や評価基準の改善にもつながります。

コスト削減および効率的な資源活用

渋滞や停滞ポイントの把握することによって、遅延要因を削減して、無駄な待機時間を減らすことができます。

運行の最適化によって燃費改善や稼働効率の向上が期待されますし、運行管理システムやテレマティクスなどを自社で最初から構築するよりも、特定プローブデータ+運行管理支援サービスを利用することで導入コストや運営コストを抑えることができます。

*テレマティクスとは、「テレコミュニケーション(遠隔通信)」と「インフォマティクス(情報科学)」を組み合わせた造語で、車両などの移動体に通信システムを搭載し、リアルタイムな情報サービスを提供することです。

特装車など規制・許認可での活用

特殊車両においては、「特殊車両通行許可」の簡素化制度、特車ゴールド制度において、特定プローブ情報が通行経路の確認手段として活用されており、許認可手続きが効率化されています。

許可申請時の経路実証負荷を軽減し、また実際の運行が許可された経路で行われているかを後追いで確認しやすくなります。

特車ゴールド制度は、業務支援用ETC2.0車載器を搭載した特殊車両が、特殊車両通行許可の更新手続きを簡素化し、大型車誘導区間内での自由な経路選択(迂回)を可能にする制度です。これは物流効率化を目的として2016年1月から導入されました。

導入のポイントや手順

運送業者や建設業者が具体的に特定プローブ情報を利用する際のステップ、および注意点を整理します。

自社車両に、業務用途に対応したETC2.0車載器を搭載する必要があります。特に「業務支援用ETC2.0車載器」が対象です。車載器は、GPS付き・ITSスポット対応のものを選ぶ必要があります。

自社が保有・管理する車両を「受信希望者」として、特定プローブデータ配信を行う事業者(配信事業者)からのサービスを利用します。国と協定を結んだ配信事業者がデータを受け取り、自社に提供します。

提供されたデータを、可視化・分析する仕組みをつくります。運行管理システムや、クラウド型サービス(運行管理支援サービス)を利用することもできます。危険挙動の把握、到着予測、荷待ち時間可視化など、具体的に活用したい項目を整理します。

運転データに基づいて、ドライバー教育を実施し、急ブレーキ多発区間の情報をフィードバックし、安全運転を促進します。

運行ルートの見直しや荷主との調整で時間を効率化できますので定期的にプローブデータの分析を実施し、運行改善施策を継続します。

特装車(大型特殊・土砂運搬車など)を運用している場合は、特車ゴールド制度を活用して、通行許可申請の簡素化を図る。特定プローブ情報によって実際の走行経路を確認・証明できます。

特装車(特殊車両)での活用

特装車(特殊車両)は、大型トレーラ、重機運搬車、土砂運搬車など、一般的な貨物トラックとは異なる許可・規制がある車両です。

特装車は通行許可が必要なことが多く、許可申請には通行経路や運行実績を示す資料が求められます。特定プローブ情報を活用すれば、実走行データに基づいた経路実績を証明できて、申請手続きの信頼性向上と簡略化が期待されています。

特装車の運行経路が適正かどうかを運行中にモニタリングできますので、許可された経路から逸脱した運行があれば早期に発見できて、許可条件違反のリスクを抑止できます。

特装車は重さや運搬物の性質から、急ブレーキが危険・コスト高となる場合があります。特定プローブ情報による挙動履歴を分析することで、安全運転指導が実態に即したものになります。

特装車の稼働効率を改善するために、到着予測・荷待ち把握・最適ルート見直しを行うことで、無駄なアイドリング・待機を減らせます。

特車ゴールド制度の利用によって、許可更新や新規許可申請において優遇措置を得られる可能性があり、企業の行政コスト低減にも貢献します。

導入時の注意点

ETC2.0+特定プローブ情報を導入・活用する際には、いくつかの注意点があります。

プローブ情報が取得できるのはETC2.0の路側機(DSRC路側無線機)が設置されている区間に限られます。地域や道路種別によってデータ取得率に差があり、全走行区間を網羅できない可能性があります。

全国のETC2.0路側機設置箇所は国土交通省のサイトで確認できます。
https://www.mlit.go.jp/road/ITS/j-html/spot_dsrc/tenkai.html

特定プローブ情報には車両識別情報が含まれるため、受信管理する事業者は適切な管理体制(情報セキュリティ)を整備する必要があります。情報の取り扱い方針が国により定められており、規約への同意が必要です。

車載器の導入費用、配信サービスの利用料、分析システム構築費などがかかります。特に中小規模事業者では、導入前にコスト対効果を慎重に評価する必要があります。

プローブデータは収集から配信までの遅れがあります。リアルタイム性が重要な運行管理や即時安全対応には限界がある点を考慮すべきです。

現在も制度整備や社会実験が続いており、提供方法・条件・コストなどが将来変わる可能性があります。最新の国や配信事業者のガイドライン、募集情報を常にチェックする必要があります。