制限外積載許可とは特殊車両通行許可との違いを詳しく解説

コラム

運送業や建設業の方から質問の多い「制限外積載許可」と「特殊車両通行許可」について、制度の趣旨や要件、手続き、違反時の罰則までを体系的に詳しく解説します。

「制限外積載許可」と「特殊車両通行許可」は、両方とも名前が似ているので間違いやすいですが、2つは目的も根拠法令も異なる制度です。

どちらの制度も法定の限度を超えるものを運ぶための許可ですが、根拠となる法律も、申請先も、チェックされるポイントも異なっています。それでは詳しく解説します。

制限外積載許可とは

制限外積載許可とは、道路交通法に基づいて、車両に積載できる「長さ・幅・高さ・重量」といった積載制限を超えて貨物を積載する場合に必要となる許可のことです。

車両の構造(サイズ)に対して、荷物がはみ出してしまう場合や、積載重量を超えてしまう場合に、警察署長から受ける許可のことです。

車両には道路交通法第55条および道路交通法施行令によって、積載方法や積載物の大きさや重量の上限が定められていますが、建設機械や鋼材、プラントの部材など、どうしても通常の積載制限内に収まらない貨物を運搬する必要がある場合があります。

このような場合に、やむを得ない事情があることを前提として、警察署長の許可を受ける制度が制限外積載許可です。

根拠法は道路交通法ですが、主として「安全に運転できるのか?」「周囲の交通に危険を及ぼさないのか?」という観点から審査されます。

道路交通法からの引用です。

(乗車又は積載の制限等)

第五十七条 車両の運転者は、当該車両について政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法(積載重量等)の制限を超えて乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。ただし、第五十五条第一項ただし書の規定により、又は前条第二項の規定による許可を受けて貨物自動車の荷台に乗車させる場合にあつては、当該制限を超える乗車をさせて運転することができる。

3 貨物が分割できないものであるため第一項の政令で定める積載重量等の制限又は前項の規定に基づき公安委員会が定める積載重量等を超えることとなる場合において、出発地警察署長が当該車両の構造又は道路若しくは交通の状況により支障がないと認めて積載重量等を限つて許可をしたときは、車両の運転者は、前二項の規定にかかわらず、当該許可に係る積載重量等の範囲内で当該制限を超える積載をして車両を運転することができる。

特殊車両通行許可とは

特殊車両通行許可とは、道路法に基づいて、車両の構造・積載状態が原因で、道路法上の一般的制限(長さ・幅・高さ・総重量・軸重など)を超える車両が道路を通行する場合に必要となる許可です。

対象となるのは、大型クレーン車・重量物運搬用トレーラ・大型建設機械を積載した車両などのいわゆる「特殊車両」です。

対象となる「特殊車両」の例(一般的制限値を超える車両)としては、長さ12m、幅2.5m、高さ3.8m(高さ指定道路では4.1m)、重量総重量20t(重さ指定道路では25t)を超えるものとなっています。

許可権者は国土交通大臣または道路管理者であり、オンライン申請(特殊車両通行許可システム)がよく利用されています。

道路法からの引用です。

第四十七条 道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両(人が乗車し、又は貨物が積載されている場合にあつてはその状態におけるものをいい、他の車両を牽けん引している場合にあつては当該牽けん引されている車両を含む。第四十七条の五第三号及び第四十七条の六第一項第一号を除き、以下この節及び第八章において同じ。)の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、政令で定める。

2 車両でその幅、重量、高さ、長さ又は最小回転半径が前項の政令で定める最高限度をこえるものは、道路を通行させてはならない。

制限外積載許可と特殊車両通行許可の違い

両者の違いを簡潔に整理すると、次のとおりです。

項目制限外積載許可特殊車両通行許可
根拠法令道路交通法道路法
主な目的積載方法・積載物の例外許可道路構造保全・安全確保
許可権者警察署長国交省・道路管理者
審査対象積み方・はみ出し車両・重量・寸法

実際には、両方の許可が必要となるケースも多くあります。

制限外積載許可の要件や条件

  • 制限外積載許可が認められるには次のような要件を満たす必要があります。
    • 他の積載方法では運搬が困難であること
    • 分割不可能であること
    • 交通の安全を著しく害しないこと
    • 必要最小限の超過であること
  • 許可にあたっては次のような条件が付けられることがあります。
    • 運行時間帯の指定(深夜・早朝など)
    • 誘導車の配置
    • 赤旗・標識・灯火の設置
    • 速度制限

制限外積載許可の手続き

制限外積載許可は、出発地を管轄する警察署に申請します。

制限外積載許可申請の主な流れは次のとおりです。

  1. 申請書の作成
  2. 車検証の写しの添付
  3. 積載状況がわかる図面・写真の添付
  4. 運行経路の記載
  5. 警察署へ提出

申請は原則として事前申請が必要で、許可までに数日かかることがあります。

申請書の作成では、車検証の写し、運行経路図、積載状況図(図面)などを用意して、申請は、出発地を管轄する警察署の窓口へ提出します。最近では警察行政手続サイトでのオンライン申請もできます。審査は1日~数日程度で許可証が交付されます。

許可証の携帯については、走行時には必ず許可証を車両に備え付け、必要に応じて「赤い布(昼間)」などの標識を掲示します。

制限外積載許可の限度の緩和について

一定の条件を満たす場合には、制限外積載許可の限度が緩和される制度があります。

代表的な例としては、分割できない貨物であること、専用の車両・積載方法であること、安全対策が十分に講じられていることなどがあげられます。

ただし、緩和は自動的に認められるものではなく、個別に具体的な審査が行われます。

その他改正

最近では、申請様式の簡素化、電子申請・事前相談の推奨、特殊車両通行許可との整合性確保などの運用改善がすすめられています。

特に、特殊車両通行許可との同時取得を前提とした運行計画の作成が重要になっています。

違反の場合の罰則

  • 制限外積載許可を受けずに違反した場合は次のような罰則・行政処分の対象となります。
    • 道路交通法違反による反則金・罰金
    • 違反点数の加算
    • 運送事業者に対する行政指導・監査

また、重大な違反の場合には、運行停止や車両使用制限につながるおそれもあります。

まとめ

制限外積載許可と特殊車両通行許可は、根拠法令・許可の目的・申請先が異なるの制度です。

どちらか一方だけとは限らず、運行内容に応じて両方が必要かどうかを判断することが重要です。

不明な場合は、行政書士法人アラインパートナーズにご相談ください。