【特車制度改正】特例5車種から特例8車種へ拡大、2025年(令和7年)法改正について

コラム

特例車種が「特例5車種」から「特例8車種」へ拡大された2025年(令和7年)制度改正について、改正の歴史・背景、改正内容、今後の動きを詳しく解説します。

道路運送行政、道路運送車両法令(車両制限令・道路法)や特車申請実務の視点を含めて整理しています。

2025年(令和7年)の(法)制度改正によって特殊車両通行許可制度における「特例車種」は、従来の特例5車種から特例8車種へと大きく拡大されました。この改正は対象車種の追加だけでなく特殊用途トレーラーの輸送基準を明確にして、物流の実務に大きな影響を与える重要な制度改正/法改正となっています。

改正の背景と歴史

特殊車両通行許可制度について

日本の道路法・車両制限令においては、車両の大きさや重量には「一般的制限値」が定められています。

「一般的制限値」を超える車両は原則として通行が制限されますが、建設資材、大型貨物、長尺物品など、物流や産業上で必要な輸送を実現するために、安全性を確保しつつ、一定範囲で特例を認める運用制度が設けられてきました。これが「特殊車両通行許可制度(特車申請)道路法・車両制限令の特例制度」です。

この制度は、規制を緩和するものではなく、車両構造・積載形態・運用方法などについて安全性の確保や条件付けを行った上で、物流円滑化を図るという制度です。

「特例車種」とは何か?

特例5車種

従来、「特例5車種」として、次のセミトレーラー・フルトレーラーの車種について特例扱いがありました。

バン型セミトレーラ、タンク型セミトレーラ(ミキサー車・粉粒体運搬車等も含む)、幌枠型セミトレーラ、コンテナ用セミトレーラ、自動車運搬用セミトレーラ(及びフルトレーラ)の5車種です。

この5車種は、分割可能な貨物輸送に適用されるもので、一般的制限値を超えても長さや総重量の特例限度が設けられる例外扱いでした。

2025年(令和7年)改正による「特例8車種」への拡大

追加された3車種

2025年の制度改正で、対象車種が特例5車種から特例8車種へと拡大しました。追加された車種は次の3つです。

サイドゲート型セミトレーラ

強固なゲートと荷役装置を備えており、バラ積み物品などの落下防止性能があるトレーラーです。

そもそも、セミトレーラーとは、トラクター(トレーラーヘッド)にけん引される荷台部分の車両のことです。セミトレーラーは荷物の積載に特化した車両であるため、単車に比べると多くの荷物を運搬できるメリットがあります。

スタンション(支柱)型セミトレーラー

長尺物品(鉄骨・パイプ等)の安定輸送を可能にする支柱装備型のトレーラーです。荷台にスタンション(支柱)が設置されたセミトレーラーの一種で、木材や鋼材などの長尺物や建設資材を立てて安全に輸送するために特化した車両です。スタンションを荷物の長さに合わせて配置・調整することで、輸送中の荷崩れや落下を防ぎ、多様な長尺貨物を効率的に運搬できます。

シップボトム型セミトレーラー

船底型台板による重荷物の安定輸送を意図した構造のトレーラーですが、従来特例適用外だった貨物形状・用途が制度下で認められるようになりました。

シップボトム型セミトレーラーは、平床(フラット)のトレーラーをベースにしつつ、荷台の床面が中央に向かってV字型、またはU字型に窪んだ構造を持つ特殊車両です。主としてコイルなどの円筒状の荷物を、安全かつ安定して運搬するために設計されています。

まとめ【特殊車両(特例8車種)とは】

国交省の資料からの引用です。

  • 特殊車両(特例8車種)とは、以下の種類のセミトレーラ連結車及びフルトレーラ連結車をいいます。
    • 1)バン型(オープントップ型を含む)
    • 2)タンク型(ミキサー車、粉粒体運搬車等を含む)
    • 3)幌枠型
    • 4)コンテナ用
    • 5)自動車の運搬用
    • 6)あおり型(貨物の落下を防止するために十分な強度のあおり及び固縛装置を有するものに限る)
    • 7)スタンション型(貨物の落下を防止するために十分な強度のスタンション及び固縛装置を有するものに限る)
    • 8)船底型(貨物の落下を防止するために十分な深さ、強度を有する貨物の支え台及び固縛装置を有するものに限る)

まとめをかねて図解も入れておきます。

国交省の引用URL
https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha03/06/061001_2/02.pdf

制度改正の目的と意図

この改正(特例5車種から特例8車種へ拡大)は物流の多様化・大口貨物ニーズの増加を背景としており、特に特殊用途トレーラによる輸送を明確かつ合理的に位置付けることを目的としています。

従来の5車種に加えて、従来は一般制限値適用となっていた車種にも特例を認めることのよって、申請・許可業務の透明化と実務上の負担軽減、長尺・大型貨物の安全かつ効率的な通行確保がすすめられています。

特例適用の詳細

総重量・長さの特例

特例車種に該当する車両は、一般的制限値よりも大きな総重量や長さの範囲で通行が認められることがあります。たとえば、長さについても一般12m制限に対して21mや18mなどの特例値が設定されることがあり、道路ネットワーク上での活用範囲が広がっています。

高速道路と一般道路

高速道路で適用される特例制限値と一般道路との関係は異なる場合があり、一般道路も通行する場合は別途特殊車両通行許可を取得する必要が生じることがあります。

必要書類と条件

特例適用に当たっては、車両の仕様書、貨物形態、積載方法、安全装置の装着状況、ルート計画などを添えて申請する必要があります。

  • 特車(特例8車種)の主な必要書類(オンライン申請の場合)は次のとおりです。
    • 特殊車両通行許可申請書(様式第1・様式第2)、 国土交通省のシステムで作成。
    • 車両内訳書が複数台まとめて申請(包括申請)する場合に必要。
    • 通行経路表・経路図、走行する経路を示す表と図面。
    • 車両諸元に関する説明書、車両の寸法や重量などを記載する書類。
    • 車検証の写し、窓口申請の場合に原則必要ですが、オンラインでも添付するほうがよい。
    • 軌跡図(オプション)が 超寸法車両や求められた場合に必要。
    • 適合証明書(オプション)、新規開発車両などに。

申請は、年度末など混雑期は早めに申請し、経路に未収録道路がないか確認すし、変更申請などの場合は、複数車両をまとめて申請すると処理が効率的になります。

国土交通省の「特殊車両通行許可申請システム」を利用すると、作成・提出がはかどります。

「特殊車両通行許可申請システム」は、大型・特殊車両が通行する際に、国土交通省や高速道路機構などが管理する道路を通行するため、インターネット経由で24時間申請・手続きができるオンラインシステムです。

自宅や職場からいつでも申請可能で、書類の郵送や持ち込みが不要になります。しかも、高速道路から一般道まで、複数の道路管理者が管理する道路の申請も一元的に行えます。事前登録した車両の通行可能経路を検索・確認でき、急な経路変更にも対応しやすいというメリットもあります。
特殊車両通行許可申請システムのログインページのURLです。
https://www.tokusya.ktr.mlit.go.jp/PR/

8車種の理由や背景など

物流効率化と規制適正化

2025年から2026年にかけて政府全体として物流効率化の重点政策が推進されています。これは道路法だけでなく、物流効率化法(流通業務総合効率化法)等の改正も含んでおり、DX・生産性向上・労働環境改善による持続的物流構造の構築が意図されています。

これら一連の物流政策の中で、特殊車両利用の合理化・手続き負担の軽減が位置付けられています。

車両規格・設計の改善

車両設計技術の進歩によって、従来安全基準との整合性が課題だった積載形態でも、荷崩れ防止装置、構造強度、安全ブレーキなどの高度化がすすんでいます。これに伴って法令の運用側も、安全性が確保できる特例範囲を広げる方向に向かっています。

2026年以降について

制度の継続・強化

2026年以降もこの制度は継続・推進されると思われます。

現在の特例8車種に加えて、さらにニーズある車種の追加検討(例えばモジュール輸送向け車種等)が議論される可能性、特例の適用範囲拡大の検討の可能性があります。

申請手続きの電子化や迅速化、特車申請デジタルプラットフォームの統合や、オンライン確認制度の推進により、審査期間の大幅短縮・透明化が進む見込みです。

新しい安全基準・装置評価手法の導入により、特例車種におけるリスク管理方式の標準化、安全性評価の高度化が期待されています。

今後の課題としては、道路インフラ整備との整合、特殊車両通行に影響を与えるインフラ側の改修(道路強度評価・重量センサー導入等)との整合が課題・焦点となります。