令和7年(2025年)に実施された自動車税制(自動車重量税を中心)改正について、トラック、とくに特殊車両を保有する事業者向けに解説します。重要な変更点と実務上の注意点などをわかりやすくまとめました。
ポイント
令和7年(2025年)改正では、自動車重量税の「エコカー減税」の適用範囲が段階的に厳格化されて、令和7年5月1日以降は一部の軽減措置の対象が縮小されています。これによって、トラック(特に大型・特殊車両)の一部が従来の減税対象から外れる可能性があります。
トラック・バスなど(車両総重量が3.5t超)には、先進安全技術(歩行者検知付き衝突被害軽減ブレーキ等)を搭載した場合の取得時優遇(取得価額控除)が延長されています(令和7年4月1日~令和9年3月31日等の延長措置)。事業者は導入時の手続きを確認する必要があります。
自動車製作者などの不正で重量税の納付不足が発生した場合、従来の追徴ペナルティ(加算)率が10%から35%に引き上げられています(令和6年1月1日以後の納期限分から適用)。事業者としては、購入時の適合証明・性能証明の保管が重要になります。

「エコカー減税(自動車重量税の減免)」の適用範囲の見直し
改正では、燃費基準や排出ガス基準に基づく「減税の対象車の要件」が段階的に厳しくなっています。特に令和7年5月1日以降に車検証の交付等を受ける車両は、より厳格な燃費・排ガス達成率が要求され、従来の軽減区分から外れる車種が出ます。具体的な達成率や基準は「車種(乗用車/トラック/バス)」「燃料種(ガソリン・軽油など)」「車両総重量」ごとに細かく定められています。
トラック・バス(車両総重量3.5t超)向けの優遇(先進安全技術関係)
衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付き等)を搭載した車両総重量3.5t超のトラック・バスについて、取得価額から一定額(例:175万円)の控除など、取得時の税優遇が延長されています(延長期間:令和7年4月1日~令和9年3月31日等)。事業用大型車の安全装置導入は税制面のメリットがあります。
特殊車両の衝突被害軽減ブレーキは、義務化が進んでいますが、その検知対象や作動範囲が一般的な車両と異なる場合があります。そのため、特殊な形状や、他の車両・歩行者と異なる動きをする対象の検知には限界があり、システムが正しく作動しないケースも考えられます。運転者はシステムを過信せず、常に安全運転に努める必要があるとされています。

メーカー等の不正があった場合の事後負担が厳格化
エコカー減税の適用車について、自動車製作者等の不正により納付不足が判明した場合、その不足額に対する加算税率が従来の10%から35%に引き上げられました(令和6年1月1日以後に法定納期限が到来する重量税について適用)。事業者が中古で購入した場合や並行輸入の確認が不十分だと、後日追徴のリスクが高まります。
(ポイント)納税上のリスク移転を回避するため、購入時に「製造者の適合証明」「燃費・排出資料」の写しを受領・保管してください。販売店へ確認書を依頼することも有効です。
エコカー減税と特殊車両
特殊車両(特種用途自動車、トラック・バス等)もエコカー減税の対象となり得ます。ただし、乗用車とは異なる独自の燃費基準や適用条件が設定されています。
エコカー減税の対象税金と条件としては、エコカー減税は主に以下の税金に適用され、それぞれの条件を満たす必要があります。
自動車重量税: 新車新規登録時や車検時に、燃費性能に応じて免税・軽減されます。乗用車と重量車(トラック・バス等)では、軽減対象となる排出ガス基準・燃費基準が異なります。
自動車税・軽自動車税(環境性能割): 自動車の取得時(購入時)の環境性能に応じて税率が軽減または非課税になります。
自動車税・軽自動車税(種別割)のグリーン化特例: 燃費性能の良い車両は、新車登録の翌年度の税金が軽減されます。
なお、具体的な適用については「特種用途自動車」では、キャンピングカーなどの特種用途自動車(ナンバープレートの分類番号が8で始まる車両)も、ベースとなる車両(トラックやバンなど)の種別(乗用・貨物)に基づいた燃費基準に従って、エコカー減税の対象となるか判断されます。
「対象外」になる車両・除外規定
一部の古い排出基準に適合する軽油車(例えば平成21年排出ガス規制に適合する車等)は適用対象から除外される旨が明示されています。これによって、年式・排出基準が古いトラックは減免対象から外れる可能性があります。
(ポイント)特殊車両で経年改造や架装を行っている場合、換装エンジンやNOx基準の扱いで適用可否が変わります。改造・架装計画は事前に運輸局や整備工場と相談したほうがよいでしょう。
NOx規制とは、大気汚染の原因となる窒素酸化物(NOx)の排出を抑えるための規制です。特に、自動車NOx・PM法は、大都市部などの「対策地域」で、トラックやバスといった特定の車種に対し、より厳しい排出基準を設け、基準に適合しない車の使用を制限するものです。
特殊車両オーナー(会社)が注意すべきポイント
車両総重量・構造変更・架装の影響
特殊車両は架装や構造の変更で「車両総重量」「用途区分」「排出基準適合情報」が変わることがあります。架装後は再認定/車検証の書換えが必要であり、減税要件を満たさなくなる場合があります。改造前に運輸局・陸運支局に相談したほうがよいでしょう。
中古車・並行輸入車・改造車の取扱い
中古で購入した車や並行輸入車、第三者改造車は「適用判定が複雑」になりがちです。減税を期待して購入すると、後で対象外と判定されるリスクがあります。特に排出ガス規制や燃費基準を満たしているかを事前確認したほうがよいでしょう。
先進安全装置の導入は依然インセンティブあり
歩行者検知機能付きの衝突被害軽減ブレーキなど、先進安全技術を装備することで取得時の税制上の優遇が続いています。新車導入時に装備を選ぶことで税負担を低減できる場合があります。
参照資料
この記事は、主として下記の国土交通省の資料を参照しました。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000028.html
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001884911.pdf
https://www.mlit.go.jp/page/content/001855004.pdf
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001884912.pdf



