全国の特殊車両の購入方法について販売店8選

コラム

大手メーカーであるいすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックスから購入する一般的なトラックと違って、特殊車両は、改造や架装もあるので、なかなか購入先がわかりません。

特殊車両、すなわち一般的制限値(寸法・重量など)を超える、あるいは用途が特殊な車両(パッカー車/吸引車/高圧洗浄車/クレーン付トラック/特殊作業車など)を対象に、全国的に頼れる販売店・業者や購入先、または窓口をご紹介します。なお、導入には、車両自体の選定はもちろん、法令に基づいた適切な手続きが必要になりますのでご留意ください。

なお、特殊車両と特装車の違いですが、特装車は、特定の用途のために車体に部品や装置を追加・改造した車両のことであり、特殊車両は、道路法上の制限値(幅・高さ・長さ・重さなど)を超える車両のことになります。特装車が改造の目的・仕様による分類であるのに対し、特殊車両は道路での通行許可が必要なサイズ・重量の車両を法的に定めた分類です。

全国の特殊車両の販売店8選

トラック系専門販売(大手商用車ディーラー系)

いすゞ/日野/UD系の販売店・架装業者になります。

新車・中古・架装まで幅広く対応しています。メーカー系列の安心感とメンテナンス網が強みです。大型車の登録や整備履歴を重視する事業者に向いています。

新明和工業・極東開発工業などの車体メーカー直販/代理店

パッカー車や浄化槽関連の特殊ボデーを自社で作るメーカーです。カスタムの信頼性が高いです。また、設計や法令対応のノウハウあります。地域の販売店・協力会社を検索します。

新明和工業株式会社
https://www.shinmaywa.co.jp/
https://www.shinmaywa.co.jp/truck/special/library/index.html (カタログです)
https://www.shinmaywa.co.jp/products/wire-processing/network.html (営業所・特約店)

極東開発工業
https://www.kyokuto.com/
https://www.kyokuto.com/product/ (カタログです)
https://www.kyokuto.com/company/address.html (特装車事業-営業所)

専用特殊車両メーカー

日本特殊車輌技研などになります。道路維持、建設現場向けの専用車両や独自開発車を取り扱っています。特注製造やリース提供もあります。

日本特殊車輌技研
https://ntskk.co.jp/

中古特殊車両専門販売

TORAKKSなどです。各種中古特殊車(パッカー、バキューム、強力吸引車など)の在庫を全国で提供しています。短納期で導入したい場合に有利です。中古は整備履歴・架装の適合性を必ず確認してください。

TORAKKS
https://torakks.jp/

取り扱い車種:パッカー車・強力吸引車・バキューム車・高圧洗浄車吸引車・バキューム・高圧洗浄車
ダンプ・クレーン付・アームロール・平ボデー・バン・ウイングバン・ウイング

中古車市場(グーネットなど)と専門ショップの組合せ検索窓口

市場在庫検索でレア車を探して、専門店で整備/改造を依頼する流れが一般的です。中古のレア部品調達や架装履歴確認が重要です。

グーネット
https://www.goo-net.com

「特殊車両」で検索できます。

特殊車両卸売・商社

商社系になります。大口購入や企業向け納入、輸出入対応、OEM調整が可能。仕様書をもとに大量導入する法人に向いています。総合商社系の大手も扱っているところがあります。

レンタル/リース会社

レンタルのニッケン、ニッポンレンタカーアーバンネットなどです。

一時的な運用や試験導入に有効です。メンテナンス付帯の契約もあり、維持管理工数を削減できます。

レンタルのニッケン
https://www.rental.co.jp/

特殊車両専門改造工場(架装ビルダー)

既存トラックへの架装、用途別改造、法令適合設計を行います。車検/構造変更手続きに精通した業者を選ぶとよいでしょう。

購入時に気を付けること

導入前に確認・検討すべきポイントを段階ごとにまとめます。

道路交通に関する主な法令と規制

道路法

道路の構造の保全、交通の危険防止を定めた法律です。特殊車両通行許可制度の根拠となります。(第47条、第47条の2)

道路法第47条の2からの引用です。

第四十七条

道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両(人が乗車し、又は貨物が積載されている場合にあつてはその状態におけるものをいい、他の車両を牽けん引している場合にあつては当該牽けん引されている車両を含む。第四十七条の五第三号及び第四十七条の六第一項第一号を除き、以下この節及び第八章において同じ。)の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、政令で定める。

2 車両でその幅、重量、高さ、長さ又は最小回転半径が前項の政令で定める最高限度をこえるものは、道路を通行させてはならない。

車両制限令

道路法に基づき、車両の幅、高さ、重さなどの一般的制限値を定めています。これを超える車両が「特殊車両」として扱われます。

道路運送車両法

車両の構造・装置に関する保安基準や、登録・検査(車検)の手続きを定めています。

道路運送車両法の総則の引用です。

第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、道路運送車両に関し、所有権についての公証等を行い、並びに安全性の確保及び公害の防止その他の環境の保全並びに整備についての技術の向上を図り、併せて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とする。

用途と運行ルートの確定

どの道路(都道府県道、市道、高速道)を走るかで「通行許可/通行確認」の要否や条件が変わります。特に橋梁の軸重制限や幅員は必須確認事項です。販売店とルートを共有して、事前に確認をするようにします。

車両諸元(寸法・軸重・総重量・高さ等)の確認

一般的制限値を超えると特殊車両扱いになります。架装後の寸法は必ず実測で確認し、申請に備えるようにします。

車検・登録・構造変更の有無

新規登録か中古かで必要書類が変わります。架装や改造がある場合、構造変更届出(車検を伴うことが多い)や追加の検査が必要です(道路運送車両法に基づく)。整備工場や陸運支局で事前相談します。

特殊車両通行許可/通行確認の手続き

車両が「一般的制限値」を超える場合、通行確認制度か従来の通行許可を使います。申請は特車ポータルでオンラインでできます。

許可に時間がかかる区間や通行条件(警備員同伴、夜間通行等)が付くことがあるため、余裕を持って手配をします。

保険・安全装備(運転席周辺・荷台の表示等)

業務用車両の保険(対人・対物・車両保険)は用途に合わせた補償が必要です。夜間作業や路上作業の多い車は、反射材や標示灯、拡声器、保安用品の装備要件を確認します。

メンテナンス/部品供給体制

特殊架装部品は調達に時間がかかる事があるため、販売店のアフターサービス網やOEMメーカーのサポート体制を確認します。中古車は特に消耗品の交換履歴を確認します。

法令上の確認(道路法・車両制限令・道路運送車両法)

通行制度(道路法)だけでなく、道路交通法や車両の保安基準(車両制限令/道路運送車両法)に該当しないか確認します。複数法令の整合性が必要です。

法令に基づく手続き

一般的な流れになりますので、実際の手続きは車種や運行区間により異なります。

車両の仕様確定

販売店・架装業者と打ち合わせます。

寸法・重量・装備を確定。架装がある場合は架装図面(寸法・重量配分)を作成し、販売契約書に「納期/仕様/法令適合確認」を明記します。

登録・車検(陸運支局での手続き)

新車登録、または中古譲渡の名義変更、車検(必要時)を実施。構造変更がある場合は事前に車検を取得または陸運支局での手続きを行います。

通行許可/通行確認の申請

通行ルートに応じて「通行確認制度」か「通行許可制度」を選択します。国土交通省の特車ポータルでオンライン申請が可能になっています。初回はユーザ登録が必要です。申請書類(車検証コピー、車両寸法表、荷姿写真、運行予定ルート等)を準備します。条件付許可(時間帯や随伴車の指示等)が出ることがあります。

必要な場合の警察・道路管理者との連携

市街地や狭隘区間では警察や道路管理者との事前協議、あるいは警備配置が必要となる場合があります。販売店や申請代行に相談すると実務が早いです。

運行開始後の遵守事項

許可条件を遵守(許可証の携行、指定時間外の通行禁止、付帯条件の遵守など)します。違反すると罰則や許可取消しのリスクがあります。

リース(レンタル)の可能性とメリット・デメリット

特殊車両はリース(レンタル)されることが多いので詳しく説明しておきます。

特殊車両のリース

特殊車両(福祉車両、冷凍車、タンクローリー、パッカー車、吸引車など)もリース会社で取り扱われています。メンテナンスリースやファイナンスリースといった契約形態があり、初期投資を抑えて運用できる点がメリットです。

メリット

購入に比べて初期投資を抑えられる初期コスト削減と維持管理負担の軽減が見込めます。メンテナンス付帯のリースなら保険・車検・点検の手間が軽くなります。

仕様変更や期間終了後の車両入替えが容易なのも更新がしやすくなります。

車両本体価格に加え、登録諸費用や税金などもリース料に含まれるため、まとまった資金が不要になります。

月々のリース料を経費として処理できて、減価償却計算が不要になります。経理処理の簡素化をできます。税金、保険、車検、点検、修理費用をパッケージ化できて、車両維持管理の業務負担が軽減されるので、維持管理の手間削減(メンテナンスリース)となりますし、車両の入れ替えが容易になります。契約満了後に新しい特殊車両に乗り換えやすいです。

デメリット

まず、長期的コス、長期で使う場合は購入より総額が高くなることがあります。続いて 改造・架装の制限があります。リース車は原状回復義務などで、大幅な改造が制約されるケースがあります。特殊な架装が必要ならリース会社との条件などの調整が必要になります。

リース契約前に「通行許可・構造変更が必要な仕様」をリース会社に説明します。契約によってリース会社が申請代行する場合もあります。また、架装の可否や原状回復条件を文面で確認するようにします。

総支払額が割高になる場合があります。金利やリース会社の利益が上乗せされるため、総額では購入より高くなることがあります。

契約期間中の解約・変更が困難なこともあります。原則として中途解約はできず、やむを得ない場合は高額な違約金が発生します。

走行距離制限がある場合も。契約内容によっては、月間・年間走行距離に制限が設けられることが多いです。

主なリース契約の種類

ファイナンスリース

車両の購入費用を借り入れる形態に近い。税金や保険料はリース料に含まれるが、車検や修理などのメンテナンス費用は契約者に負担が残るケースが多い。

メンテナンスリース

ファイナンスリースに加えて、車検、点検、修理などの維持管理費用もリース料に含めるプラン。特殊車両のように専門的なメンテナンスが必要な車両の導入に適しています。

リースを取り扱う企業

銀行系のリース会社、トラック専門のリース会社、大手レンタカー・レンタル会社などが特殊車両のリースを取り扱っています。

導入前のチェック

  • 特殊車両導入前のチェック項目を箇条書きでまとめました。
    • 使用目的と運行ルート(経路)を確定。
    • 車両寸法・重量を設計段階で確定、架装業者へ共有。
    • 登録/車検/構造変更の必要性を陸運支局で確認。
    • 特殊車両通行(許可/確認)の申請準備(特車ポータルの登録)
    • 購入/リースのコスト比較(初期費用 vs 長期維持費)。
    • 保険・整備・代替車手配の確認。
    • 書面(契約書・保証・整備条件)を細かく確認し押印。