建設現場に超大型貨物を搬入する場合に、今の営業所以外に臨時の活動拠点を設置することを特例的に認める制度があります。令和5年の法改正、国土交通省の通達でできました。
臨時の活動拠点とは、大型の建設機械や超重量物を運搬する特殊車両などが、目的地への移動途中や作業現場付近で一時的に待機・休憩・資機材の積み替えを行うために設けられる場所のことです。
道路法や特殊車両通行許可制度に関連して詳しく解説します。

制度の概要
建設工事現場などへの特殊車両である(超)大型貨物の輸送は、運送事業者の一部の営業所にのみ所属しているために、原則として特殊車両通行許可などの必要な手続をしてから、建設工事現場まで運ぶ必要があります。
営業所から離れた建設工事現場などに超大型貨物を運ぶには、困難を伴うことがありますが、(超)大型貨物の輸送は、期間が限定的なために、その都度、建設工事現場などの近隣へ営業所の設置をすることは事業者にとって、大きな負担になってしまいます。
輸送の安全性を確保して、事業者の負担を軽減するために、建設工事現場等に超大型貨物を輸送する場合に、「臨時の活動拠点」を利用できるようになっています。
国土交通省の通達(PDF)のリンクです。https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/yg/press/press2023.5.29.yusou.pdf
https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/yg/osirase/20220207.pdf
制度の背景
通常、トラック運送事業者が車両を配置して事業を行うには、許可を受けた「営業所」である必要がありますが、山間部や僻地の建設現場に超大型の資機材を運ぶ場合には、遠方の営業所から何度も往復することは効率が悪くなって、事業者やドライバーの負担も大きくなります。
この課題を解決するため、特殊車両通行許可を受けていることを条件にして、現場付近に「臨時の活動拠点」を設けることが可能となっています。
特殊車両とは
特殊車両は、車両の構造が特殊なもの、または積載する貨物が特殊なもので、道路の幅・長さ・高さ・総重量などの「一般的制限値」を超える車両のことです。
公道を走行するには特殊車両通行許可が必要になります。クレーン車や建設機械の運搬車などがありますが、下記の道路法で対象になる場合は、特殊車両通行許可が必要になります。
道路法からの引用です。
第四十七条 道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両(人が乗車し、又は貨物が積載されている場合にあつてはその状態におけるものをいい、他の車両を牽けん引している場合にあつては当該牽けん引されている車両を含む。第四十七条の五第三号及び第四十七条の六第一項第一号を除き、以下この節及び第八章において同じ。)の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、政令で定める。
2 車両でその幅、重量、高さ、長さ又は最小回転半径が前項の政令で定める最高限度をこえるものは、道路を通行させてはならない。
対象車両
建設現場等へ超大型貨物(資機材)を輸送する車両で、道路法に基づく特殊車両通行許可を受けているものに限られます。
建設工事現場等に超大型貨物を輸送する車両であって、道路法(昭和27年法律第180 号)第47条の2第1項に基づく特殊車両通行許可に係るものであることと通達されています。
道路法からの引用です。
(限度超過車両の通行の許可等)
第四十七条の二 道路管理者は、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないと認めるときは、前条第二項の規定又は同条第三項の規定による禁止若しくは制限にかかわらず、当該車両を通行させようとする者の申請に基づいて、通行経路、通行時間等について、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため必要な条件を付して、同条第一項の政令で定める最高限度又は同条第三項に規定する限度を超える車両(以下「限度超過車両」という。)の通行を許可することができる。
道路法第47条の2第1項では、道路管理者が「道路の構造を保全し、または交通の危険を防止するため」に通行を許可すると定められています。
「臨時の活動拠点」は、この「交通の危険を防止する」という目的を達成するために、「無理な長時間運転を避け、現場近くで適切に待機・休憩・車両点検を行う場所」として機能しています。
対象場所
当初は「建設工事現場」のみでしたが、2023年5月の法改正によって「鉄道車両基地」や「宇宙空間観測所」なども含まれるようになりました。
対象期間
建設工事現場等への超大型貨物の搬入に要する期間のみとすること。
ただし、当該期間は原則として6か月を超えないものとして、建設工事の遅延等やむを得ないと認められる理由がある場合には、当該期間の満了に際し、個別に延長することができますが手続きが必要になります。
管理義務
臨時の活動拠点であっても、通常の営業所と同様に運行管理者および整備管理者の確保や、運転者の勤務時間管理を行う義務があります。
手続き
事前に管轄の運輸支局等へ届出を行う必要があります。届出が受理されると、その拠点は営業所とみなされるため、車両の変更登録(ナンバー変更等)は不要です。
掲示
受付済みの届出書の写しを車両に備え置いて、「特例届出自動車登録番号」を車外から見える位置に掲示する必要があります。
期間満了後の車両の取扱い
配車元営業所から臨時の活動拠点に配車された車両(配車車両)については、期間の満了後に、配車元営業所に再配車することとなっています。

臨時であって永続的ではありません。
「臨時」という言葉が使われるとおり、期間限定であって、法的には永続的な施設(恒久的な事業所や駐車場)とは区別されます。
特定の「工事期間中」や「通行許可の期間内」のみ設置が認められています。工事やプロジェクトが終了すれば、拠点は撤収されて、更地や一般道路施設などの元の状態に戻す(原状回復)のが原則となっています。
原則として永続性はありません。もし、その場所を恒久的に使い続ける場合は、都市計画法や建築基準法に基づいた「駐車場」や「営業所」としての認可が別途必要になります。
ただし、例外としては、大規模災害に備えて指定されている「広域防災拠点」などは、施設としては永続的ですが、活動拠点としての運用は「発災時のみ(臨時)」となります。
特殊車両以外の駐車(トラック・乗用車)
「拠点がどこに設置されているか」によってルールが異なります。
公道(路肩や停車帯)を臨時拠点とする場合
道路管理者(国や自治体)から「道路占用許可」や「使用許可」を得て、工事用車両などのために確保されている場所です。
一般車両の駐車はできません。許可を得た車両以外が駐車すると、駐停車違反や公道不法占拠になる可能性があります。
民有地や工事用仮設ヤードを拠点とする場合
工事請負業者などが借り上げた土地ですから、一般車両の駐車は、その土地の所有者や管理者の判断によります。通常は、安全管理の観点から関係車両(一般のトラックや従業員の乗用車)以外の立ち入りは禁止されます。
道の駅やSA・PAを(事実上の)拠点とする場合
特殊車両の通行許可経路において、休憩地点として指定されることがあります。一般車両の駐車もできます。公共の施設であるため、乗用車や一般トラックも駐車できます。
ただし、特殊車両用の巨大な駐車スペースに一般車が止まることは、マナーや安全上の観点から避けるべきとされています。
特殊車両通行許可について
一般的制限値を超える車両である特殊車両の通行許可を受ける場合、申請経路の中に「どこで休むか(待機するか)」を明記する必要がある場合があります。
特殊車両の経路外の駐車は違反です。特殊車両の運行には、道路管理者の許可(特殊車両通行許可)が必要です。この許可は、申請された経路に基づいて道路の構造(橋梁の耐荷重など)への影響を審査した上で発行されます。許可証には通行経路が明記されており、これ以外の経路を通行したり、経路を逸脱して駐車したりすることは、許可条件に違反する行為となります。
道路法に基づく罰則もあるので注意が必要です。許可条件に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。また、法人に対しては両罰規定によりさらに重い罰則が適用されることがあります。
拠点の確保義務があります。非常に巨大な車両の場合、道路管理者が「適切な待機場所(拠点)を確保すること」を許可の条件として提示することがあります。
まとめ
「臨時の活動拠点」は、あくまで特定の目的や期間に限った一時的な場所であって、永続的な権利が発生するものではありません。
特殊車両以外の駐車については、公共の休憩施設であれば可能ですが、許可を受けた専用の仮設拠点(工事ヤード等)であれば、部外者の車両は駐車できません。



