特殊車両の臨時活動拠点とは?設置の特例・条件・手続きを解説

コラム

建設工事現場などに超大型貨物を搬入する場合に、所属する営業所以外に臨時の活動拠点を設置することを特例的に認める制度があります。令和4年の国土交通省の通達で定められ、令和5年の通達改正で対象となる搬入先が広がりました。

臨時の活動拠点とは、貨物自動車運送事業者が超大型貨物を搬入するために、期間限定で車両を配置して事業活動を行う拠点、または自社の事業計画に定められている既存の他の営業所のことです。

この記事では、臨時の活動拠点設置の特例について、対象となる車両や利用期間、必要な手続き、特殊車両通行許可との関係を詳しく解説します。

臨時の活動拠点設置の特例とは

建設工事現場などへの超大型貨物の輸送では、使用する大型車両が運送事業者の一部の営業所にのみ所属しているため、特殊車両通行許可などの必要な手続きを経て、所属する営業所から建設工事現場などまで車両を移動させる必要があります。

営業所から離れた建設工事現場などに超大型貨物を運ぶには、困難を伴うことがあります。一方、超大型貨物の輸送は期間が限定的なため、その都度、現場付近に営業所を設置することは、事業者にとって大きな負担になってしまいます。

輸送の安全性を確保し、事業者の負担を軽減するため、建設工事現場などに超大型貨物を輸送する場合に、所定の条件を満たすことで「臨時の活動拠点」を利用できるようになっています。

遠方への輸送で臨時の活動拠点が必要な理由

通常、トラック運送事業者が車両を配置して事業を行うには、事業計画に定められた営業所を使用します。しかし、山間部や僻地の建設現場に超大型の資機材を運ぶ場合には、遠方の営業所から何度も往復することで、事業者やドライバーの負担が大きくなることがあります。

この課題に対応するため、特殊車両通行許可に係る車両について、事前の届出や運行管理・車両管理などの条件を満たすことで、現場付近などに「臨時の活動拠点」を設けることが可能となっています。

臨時の活動拠点を設置する条件と手続き

特殊車両とは

特殊車両は、車両の構造が特殊なもの、または積載する貨物が特殊なもので、車両の幅・長さ・高さ・重量・最小回転半径のいずれかが「一般的制限値」を超える車両のことです。貨物を積載している場合や、トレーラーなどを連結している場合は、その状態で判断します。

クレーン車や建設機械の運搬車などが該当する場合があります。一般的制限値を超える車両が道路を通行する場合は、原則として特殊車両通行許可などの手続きが必要になります。

特例の対象となる車両

対象となるのは、建設工事現場などへ超大型貨物(資機材)を輸送する車両で、道路法第47条の2第1項に基づく特殊車両通行許可に係るものです。

なお、特殊車両通行許可を受けていることに加え、臨時の活動拠点を利用するための届出や管理体制など、通達で定められた条件を満たす必要があります。

超大型貨物の搬入先として対象になる場所

超大型貨物の搬入先は、当初は「建設工事現場」のみでしたが、令和5年5月の通達改正によって「鉄道車両基地」や「宇宙空間観測所」、その他これらに類する場所も対象に含まれるようになりました。この改正による取扱いは、令和5年6月1日以降に受け付けた届出から適用されています。

臨時の活動拠点を利用できる期間

対象期間は、建設工事現場などへの超大型貨物の搬入に要する期間です。

ただし、原則として6か月を超えないものとされています。建設工事の遅延など、やむを得ないと認められる理由がある場合には、期間の満了に際して個別に延長することができます。延長が必要な場合は、期間満了前に運輸支局などへ必要な手続きを確認しましょう。

拠点で必要な運行管理・車両管理

臨時の活動拠点であっても、通常の営業所と同等の運行管理・車両管理が必要です。必要な人数の運行管理者・整備管理者を配置して選任し、運転者の勤務時間管理など、過労運転を防止するための措置を講じる必要があります。

また、運転者が利用できる休憩・睡眠施設と、車両を適切に駐車できる車両置場を確保し、拠点での業務の処理方法を運行管理規程・整備管理規程などに定めます。なお、他の営業所の運行管理者は、臨時の活動拠点の運行管理者や補助者を兼務できません。

臨時の活動拠点の設置に必要な届出

事前に、臨時の活動拠点を管轄する運輸支局などへ届出を行う必要があります。所定の条件を満たす場合、車両は配車元営業所に配置されているものとみなされ、事業計画の変更に当たらないものとして取り扱われます。この特例による車両の配置については、道路運送車両法第12条第1項に基づく変更登録の手続きは不要です。

なお、運行管理者・整備管理者の選任などに伴う届出や、拠点の届出事項を変更する場合・拠点を廃止する場合の届出は必要です。

車両に備える届出書と登録番号の掲示

受付済みの届出書の写しを配車車両(被けん引車を除く。)に備え置き、提示を求められたときは提示する必要があります。また、届出書の「特例届出自動車登録番号」欄を、車両の外側から見える位置に掲示します。その際は、運転の妨げにならないよう注意してください。

期間満了後の車両の取扱い

配車元営業所から臨時の活動拠点に配車された車両(配車車両)については、期間の満了後に、配車元営業所に再配車することとなっています。

臨時の活動拠点は期間限定です

「臨時」という言葉のとおり、この特例による活動拠点の利用は期間限定であり、恒久的な営業所の設置とは区別されます。

利用できるのは、建設工事現場などへの超大型貨物の搬入に要する期間です。期間満了後は、配車車両を配車元営業所へ再配車し、拠点を廃止する場合には廃止の届出を行います。

その場所を恒常的な営業所として使い続けたい場合は、この特例とは別に必要となる手続きを、運輸支局などへ確認しましょう。

特殊車両以外の駐車(トラック・乗用車)

特殊車両以外のトラックや乗用車を駐車できるかは、拠点として使用する土地や施設の契約内容、所有者・管理者の利用ルールによって異なります。

民有地や工事用仮設ヤードを利用する場合は、一般車両の駐車についても所有者や管理者に確認しましょう。関係車両であっても、配置された特殊車両の駐車スペースや出入りを妨げないようにする必要があります。

なお、道の駅やサービスエリア・パーキングエリアで休憩することと、この特例に基づく臨時の活動拠点の設置は別です。休憩施設として利用できることだけで、臨時の活動拠点として利用できるわけではありません。

拠点までの経路も確認!特殊車両通行許可の注意点

臨時の活動拠点設置の届出と、特殊車両通行許可の申請は別の手続きです。この特例の対象車両は、道路法第47条の2第1項に基づく特殊車両通行許可に係るものとされています。

特殊車両通行許可は、申請された車両や経路について、道路の構造や交通の安全への影響を審査したうえで、必要な条件を付して行われます。拠点を利用する場合も、実際に通行する道路が許可された経路に含まれているかを確認し、通行時間や誘導車の配置などの許可条件を守る必要があります。

拠点への移動や搬入先への輸送で、現在の許可に含まれない経路を通行する場合は、運行開始前に必要な申請を行いましょう。申請の種類や準備する書類については、特殊車両通行許可の申請種類・費用・必要書類をご覧ください。

臨時の活動拠点に関するよくある質問

Q
自社の別の営業所も、臨時の活動拠点として利用できますか?
A

はい。この特例では、期間限定で車両を配置する拠点だけでなく、その運送事業者の事業計画に定められている既存の他の営業所も対象となります。ただし、既存の営業所を利用する場合も、特例に基づく届出と所定の条件を満たす必要があります。

Q
臨時の活動拠点の設置届には、どのような書類を添付しますか?
A

国土交通省の事務取扱では、拠点・休憩睡眠施設・車両置場の図面または写真、施設などに関する宣誓書、建設工事などの概要が分かる書類、特殊車両通行許可などを受けていることを証する書類が示されています。具体的な提出方法は、拠点を管轄する運輸支局などへ確認しましょう。

Q
配置する車両が少なければ、運行管理者は不要ですか?
A

車両が少ないことだけを理由に、運行管理者を配置しなくてよいとは判断できません。この特例では、必要な人数の運行管理者・整備管理者の配置と選任が求められます。他の地域と橋でつながっていない島しょ地域の、配置車両が5両未満の拠点でも、運行管理者の配置と選任が必要とされています。

Q
配置する車両や利用期間が変わった場合、届出は必要ですか?
A

事前に届け出た事項に変更が生じた場合は、変更の届出が必要です。利用期間を延長する場合も、自社の判断だけで利用を続けず、期間満了前に運輸支局などへ相談してください。また、変更後の車両や経路が、特殊車両通行許可の範囲に含まれているかも確認しましょう。

Q
拠点を利用する輸送の特車申請は、行政書士へ依頼できますか?
A

はい。行政書士法人アラインパートナーズでは、特殊車両通行許可の申請代行を全国から承っています。車両情報や拠点・搬入先の所在地、通行予定経路、既存の許可証がある場合はその内容をご用意のうえ、ご相談ください。なお、臨時の活動拠点の設置届については、管轄の運輸支局などへ確認が必要です。

まとめ

臨時の活動拠点設置の特例は、建設工事現場などへ超大型貨物を搬入するために、車両を期間限定で配置して事業活動を行う際の制度です。事前の届出と所定の条件を満たすことで、車両は配車元営業所に配置されているものとみなされ、事業計画の変更に当たらないものとして取り扱われます。

利用期間は原則として6か月以内で、拠点では通常の営業所と同等の運行管理・車両管理が必要です。届出書の写しの備え置きや登録番号欄の掲示、変更・廃止時の届出についても確認しておきましょう。

また、拠点設置の届出と特殊車両通行許可の申請は別の手続きです。拠点の利用条件は運輸支局などへ確認し、実際の輸送経路については、必要な特車申請と許可条件の確認を進めることが大切です。

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行政書士法人アラインパートナーズは、特殊車両通行許可申請を専門に扱う行政書士事務所です。代表行政書士の八木辰男が、ご相談から申請まで一貫して対応いたします。オンラインでの手続きに対応しているため、全国の事業者様からご依頼いただけます。

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当事務所では、車両の寸法・重量や通行予定経路を確認し、特殊車両通行許可の申請代行を行っています。申請にかかる費用は、報酬・料金のご案内をご覧ください。

拠点を利用する輸送の特車申請についてお困りの場合は、車両情報や通行予定経路、既存の許可証をご用意のうえ、お気軽にお問い合わせください。

参考資料

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