物流業界の「2024年問題」やカーボンニュートラルへの対応として、この制度は輸送効率化にとって、とても重要な法制度です。2026年までの制度(法)改正の流れと最新の動向や2026年以降について詳しく解説します。
「11.5t軸重緩和」とは
日本の道路法(車両制限令)では、道路への負荷を抑えるため、原則として1軸あたりの重さ(軸重)は10tまでと定められていますが、国際競争力の強化や物流の効率化を目的として、特定の条件を満たす「バン型等セミトレーラ」に限って、この制限を11.5tまで引き上げる(緩和する)のがこの制度です。
軸重(じくじゅう)とは車両の各軸(ホイールが載る部分)にかかる重量を指しており、道路・橋梁の損傷リスクを抑えるために上限が法律で定められています。
日本のセミトレーラ連結車では、トラクタ(けん引車)の 駆動軸(後輪軸)の軸重が10t以下 と規制されていましたが、 国際輸送標準への対応と物流効率化の観点から、2015年にこの上限緩和が検討され、いわゆる 「11.5t軸重緩和」 が導入されました。
バン型等セミトレーラ連結車の駆動軸重の許可基準の統一
この見出しで、国土交通省の資料で解説されていますので、引用しておきます。
国際海上コンテナ輸送車両に限り許可されていた駆動軸重(11.5t【通常は10t以内】)をバン型等セミトレーラ連結(2軸トラクターに限る特例8?種)にも同等の緩和を実施する。
但し、エアサスペンションを装着する車両などを装着する車両など、今回の緩和により道路運送車両法の保安基準適合となる車両が対象となる。

引用先URL
https://www.mlit.go.jp/common/001085050.pdf
改正の流れと段階的な実施
この制度は、一気に全面解禁されたのではなく、橋梁や舗装道路などのインフラへの影響を確認しながら段階的にすすめられてきました。
2015年(平成27年)~
国際コンテナ(海コン)との共通化という観点から、特車申請(特殊車両通行許可)を前提として、重要港湾周辺などの「重要物流道路」を中心に緩和が始まりました。この時点では、まだ国際コンテナ(海コン)だけでしたが、徐々にバン型等セミトレーラ連結車にも拡大しました。
2019年(令和元年)~
「重要物流道路制度」の創設に伴い、11.5t軸重車両の通行可能区間が大幅に拡充。新規格車としての運用がより具体的になりました。
重要物流道路制度とは、国土交通大臣が物流上重要な道路を「重要物流道路」として指定し、平常時・災害時を問わず安定的な輸送を確保するために機能強化や重点支援を行う制度で、2018年の道路法改正で創設されました。国際海上コンテナ車(40ft背高)の特定区間の特殊車両通行許可が不要になること、災害時の道路啓開・復旧を国が代行可能になることで、物流の生産性向上とBCP(事業継続計画)強化を目指しています。
2023年~(令和5年)
物流革新緊急パッケージの関係でトレーラーの大型化・高効率化が推進されています。これまでは「駆動軸」のみが対象でしたが、トレーラ側の軸重緩和についても、車両の安全基準(ABS、ディスクブレーキの装着等)を条件に、より多くの道路での通行が認められるようになりました。
物流革新緊急パッケージとは、トラックドライバーの時間外労働時間の上限規制(2024年問題)による物流の停滞を防いで、2030年以降の輸送力不足を解消するため、政府が2023年10月に発表した、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容、商慣行の見直しを柱とする緊急対策パッケージです。
3. 制度の主な内容と要件
- 11.5tの軸重緩和では次の要件を満たす必要があります。
- 車両形状の限定、バン型、タンク型、コンテナ型、幌枠型などの「密閉式」に近い形状であること
- 安全装置の搭載
- 車両総重量(GVW)や軸数に応じた制動能力の確保
- 通行ルートの制限として原則「重要物流道路」およびその接続路線に限定
また、側方衝突防止警報装置(BSIS)や衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術の搭載が求められるケースが増えています。
なお、通行には引き続き特殊車両通行許可(特車申請)が必要なケースも多くあります。
4. 2026年以降の展望について 継続と強化
2026年以降、この制度は単なる「緩和」から、物流インフラの「標準」へと移行していくことも考えられます。
自動運転・隊列走行との連動
高速道路における自動運転トラックの社会実装に合わせて、11.5t軸重に対応したインフラ整備がさらに加速します。特に「ダブル連結トラック」における軸重管理が厳格化・最適化されます。
DX化による特車申請の迅速化
「新オンデマンド型特車申請システム」の普及によって、11.5t車両の通行許可取得がよりリアルタイムに近い形で行えるよう整備がすすむ見込みです。
新オンデマンド型特車申請システム(特殊車両通行確認制度)とは、国土交通省が2022年4月1日から運用を開始した、制限値を超える特殊車両の通行許可手続きを、オンライン上で即時に確認・完了できるシステムです。
環境規制(脱炭素)との統合
EVトラックやFCVトラックはバッテリー重量により自重が重くなる傾向にありますが、普及させるためには、重量規制の緩和(軸重11.5t化)は環境対策からも必要として継続・強化されると思われます。



