特殊車両通行許可における軸重とは?トラックやトレーラの基礎・法令・実務を解説

コラム

特殊車両通行許可の審査において、「軸重(じくじゅう)」は重要な判断基準の一つです。

総重量や車両幅・高さだけでなく、各軸にどれだけの荷重がかかるかによって、通行できる道路やルート、必要な許可条件が大きく変わってきます。

軸重の基本的な考え方、法令上の規制、トラックやトレーラー別の注意点、特殊車両通行許可との関係について、できるだけ詳しく、わかりやすく解説します。

軸重とは何か?

軸重とは、車両の1本の車軸に架かる重量のことです。車両のタイヤを通じて路面に伝わる荷重を指します。

車両の各「車軸(アクスル)」にかかる重量のことをいいますが、前輪軸・後輪軸、または複数の後輪軸それぞれにどれだけの荷重が分散されているかを数値で表したものです。

たとえば、総重量が同じ20トンの車両であっても、軸の本数が少ない車両や荷物の積み方が偏っている車両によっては、特定の軸に過大な荷重(軸重オーバー)がかかることがあります。

軸重が規制される理由

軸重が厳しく規制される最大の理由は、道路構造物の保全が関係しています。

道路や橋などの構造物は、軸重の影響を強く受けます。特に橋梁(特に床版・主桁)、 高架道路、ボックスカルバート、老朽化した道路構造物などが影響を受けます。

ボックスカルバートとは、道路の下などを横断する水路、地下道、通信線・下水道管などの収納空間として地中に埋設される、箱型(矩形)の鉄筋コンクリート製構造物です。

総重量よりも、一点に集中する荷重(=軸重)の方が、構造物に深刻なダメージを与えることが多くあり、これが軸重規制が独立して設けられている理由です。

総重量ではなく「軸重」が重要な理由としては、道路(舗装や橋梁)へのダメージは、車両の総重量よりも「一点に集中する重さ」に大きく依存しています。物理学的な研究によれば、路面への損傷度は軸重の「4乗」に比例すると言われています。つまり、軸重が2倍になれば、道路へのダメージは16倍に跳ね上がるのです。このため、日本のインフラを守るために厳格な制限が設けられています。

軸重に関する法令と基準(条文・告示・通達など)

道路法

道路法第47条(車両の通行の禁止又は制限)

道路管理者は、道路の構造を保全し、交通の危険を防止するため必要があると認めるときは、車両の重量・寸法などについて通行を禁止し、または制限することができると定めています。軸重規制の大本となる根拠条文です。

道路法からの引用です。

第四十七条 道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両(人が乗車し、又は貨物が積載されている場合にあつてはその状態におけるものをいい、他の車両を牽けん引している場合にあつては当該牽けん引されている車両を含む。第四十七条の五第三号及び第四十七条の六第一項第一号を除き、以下この節及び第八章において同じ。)の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、政令で定める。

2 車両でその幅、重量、高さ、長さ又は最小回転半径が前項の政令で定める最高限度をこえるものは、道路を通行させてはならない。

3 道路管理者は、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため必要があると認めるときは、トンネル、橋、高架の道路その他これらに類する構造の道路について、車両でその重量又は高さが構造計算その他の計算又は試験によつて安全であると認められる限度をこえるものの通行を禁止し、又は制限することができる。

4 前三項に規定するもののほか、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両についての制限に関する基準は、政令で定める。

車両制限令(政令)

車両制限令第3条(最高限度)では、車両の幅・長さ・高さおよび重量(総重量・軸重・輪荷重)の最高限度を定めています。

車両制限令別表第2で軸重および隣接軸重の具体的数値基準が定められており、特殊車両該当性の判断はこの別表を基準に行われます。

車両制限令からの引用です。

第二章 道路との関係において必要とされる車両についての制限

(車両の幅等の最高限度)

第三条 法第四十七条第一項の車両の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、次のとおりとする。

一 幅 二・五メートル

二 重量 次に掲げる値

イ 総重量 高速自動車国道又は道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路を通行する車両にあつては二十五トン以下で車両の長さ及び軸距に応じて当該車両の通行により道路に生ずる応力を勘案して国土交通省令で定める値、その他の道路を通行する車両にあつては二十トン
ロ 軸重 十トン
ハ 隣り合う車軸に係る軸重の合計 隣り合う車軸に係る軸距が一・八メートル未満である場合にあつては十八トン(隣り合う車軸に係る軸距が一・三メートル以上であり、かつ、当該隣り合う車軸に係る軸重がいずれも九・五トン以下である場合にあつては、十九トン)、一・八メートル以上である場合にあつては二十トン
ニ 輪荷重 五トン

軸重が10トン、輪荷重5トンとなっています。主な軸重基準(原則)としては、単軸では10トン以下、隣接する2軸では18トン以下(軸距1.8m以上など一定条件下)となります。

なぜ18トン以下なのかといいますと、この制限では、道路の破損を防ぐために法律(道路法・車両制限令)で定められています。2軸車の場合、1つの車軸に重量が集中しやすいためです。前後2軸の合計荷重が18トンを超えると、特殊車両通行許可が必要となるか、または過積載として違反になります。

告示・通達

特殊車両通行許可事務取扱要領(国土交通省道路局)では、特殊車両通行許可の審査方法、軸重計算、橋梁照査の考え方などが詳細に示されています。

特殊車両通行許可事務取扱要領は、道路法に基づき、幅・長さ・高さ・重量などが一般的な制限を超える「特殊車両」が公道を通行する際に必要な許可の手続きや審査基準、運用方法などを定めた国の基準・要領です。

特殊車両の通行に関する指導要領では、軸重超過時の条件付許可(徐行・誘導車等)の判断基準として実務で参照できます。これらの法令・要領に基づいて、各道路管理者(国・都道府県・市町村)が個別に通行可否を判断します。

特殊車両の通行に関する指導要領は、道路法に基づき、重量・寸法が一般的制限値を超える特殊車両が安全に通行できるよう、国土交通省が定めた「特殊車両の通行に関する指導取締要領」を指し、道路構造の保全と交通の安全確保のため、許可制度と連携した指導・取締り、違反者への行政処分(措置命令、警告、公表、告発等)の基準を定めています。違法通行の防止、実効性のある取締りのための要領で、徐行・車間距離確保・誘導車の配置などの具体的な通行条件も示されています。

トラックの軸重の考え方

2軸トラック

一般的な2軸トラックでは、前軸と後軸の2つに荷重が分かれていますが、積載物の重心が後方に偏ると、後軸の軸重が簡単に制限値を超えてしまうため、積載位置の管理が重要です。

3軸と4軸トラック

軸数が増えることで総重量は大きくなりますが、各軸への荷重分散や軸距の確保が適切でない場合には、特定の軸だけが制限オーバーとなるケースがあります。

トレーラー(被けん引車)の軸重の考え方

トレーラーでは、トラクタ側の軸重、レーラー側の複数軸、カプラー(第五輪)にかかる荷重を総合的に考慮する必要があります。

特に注意すべき点は、積荷位置のわずかなズレで軸重配分が大きく変わることです。重量物輸送では、事前に軸重計算を行い、許可条件に合致しているかを厳密に確認する必要があります。

軸距(軸間距離)と軸重の関係

軸重は、軸距(隣接する車軸間の距離)と密接に関係します。軸距が短い場合には、構造物への影響が大きくなり、軸距が長い場合には、荷重が分散されて、許容軸重が大きくなります。

車両制限令では、隣接軸の合計軸重について、軸距に応じた細かな基準が設けられています。

特殊車両通行許可における軸重

  • 国土交通省の特殊車両通行ハンドブックでは、隣接軸重について次のように解説しています。
    • 隣り合う車軸の軸距が1.8m未満の場合は、18トン
    • 隣り合う車軸の軸距が1.3m以上で、なおかつ隣り合う車軸の軸重がいずれも9.5t以下の場合は、19トン
    • 隣り合う車軸の軸距が1.8m以上の場合は、20トン

軸重は基本10トンですが、バン型等セミトレーラ(2軸トラクタに限る特例8車種)は、国際海上コンテナ輸送車両と同様に、2軸の認証トラクタの駆動軸の軸重が11.5トンまで緩和されています。ただし、エアサスペンションを装着する車両など、道路運送車両法の保安基準適合となる車両が対象です。なお、それ以外の軸については、10トン以下となります。

特殊車両通行許可における軸重審査

事業者が特殊車両通行許可を申請する場合、軸重は重要な審査項目の一つです。

  • 特車許可の審査では次の点が細かくチェックされます。
    • 各軸の軸重が、車両制限令の基準をどの程度超過しているか
    • 隣接軸重および軸距の関係
    • 通行予定経路上の橋梁・高架・カルバートの耐荷重
    • 同一路線での過去の許可実績

軸重が大きい場合には、徐行条件(例:時速10km以下)、誘導車配置、通行時間帯指定(夜間限定など)といった条件付き許可となるケースが多く、輸送計画やコストに関係してきます。

よくある不許可・補正事例

積載位置変更による軸重オーバー

申請時と実際の積載位置が異なり、特定軸の軸重が許可条件を超過するケースです。重量物輸送では数十センチのズレで軸重が大きく変動します。

トレーラーの第五輪荷重の見落とし

トラクタ側への荷重配分を考慮せず、計算上は問題がないように見えても、実測で前後軸が制限超過となり補正を求められる事例です。

軸距の入力誤り

申請書の軸距が実車と異なり、隣接軸重の許容条件を満たしていないと判断され、不許可または再申請となるケースがあります。

経路上の橋梁条件未考慮

軸重自体は基準内でも、経路上の特定橋梁が耐えられず、経路変更や大幅な条件追加を求められる事例です。

軸重オーバーがもたらすリスク

  • 無許可または許可条件違反での軸重オーバーは、事業者にとって重大なリスクとなります。
    • 道路法第47条違反による行政指導や罰則
    • 悪質な場合の事業者名公表
    • 運送契約上のトラブルや損害賠償責任
    • 事故発生時の刑事・民事責任の増大

Q&A

まとめをかねてQ&Aをつくりました。参考にしてください。