国際海上コンテナ(40ft背高)の特殊車両通行許可不要区間について詳しく解説

コラム

国際海上コンテナの運送で利用される40ft背高コンテナを積載した車両は、通常、道路を通行するために特殊車両通行許可が必要となりますが、特定の要件を満たして、ETC2.0を利用することで、一部の高速道路区間において、許可が不要となる特例があります。この特例について詳しく解説します。

特殊車両通行許可とは

特殊車両通行許可とは、道路法に基づき、車両の幅、長さ、高さ、または総重量のいずれかが一般制限値を超えている車両(特殊車両)が公道を走行する場合に、道路管理者(国土交通大臣や都道府県知事など)から事前に受ける必要がある許可のことです。

主要な一般制限値とは

参照元:国土交通省からの図の引用です。
https://www.mlit.go.jp/road/tokusya/

  • 道路法に定める主要な一般的制限値は次のとおりです。
    • 幅:2.5m
    • 長さ:12m
    • 高さ:3.8m(指定道路:4.1m)
    • 総重量:20t(指定道路:25t)

40ft背高コンテナを積載したトレーラーなどは、これらの制限値(特に長さや高さ、総重量)を超えることが多いため、本来はこの許可が必要になります。この許可は、道路構造の保全や交通の安全を確保するために重要な手続きです。

指定道路とは、道路法に基づいて、道路の維持管理や安全確保のため、特定の制限が定められた道路のことです。代表的なものには、道路法に基づく「重さ指定道路」「高さ指定道路」や、建築基準法に基づく「位置指定道路」があります。

ETC2.0とは

ETC2.0(ITSスポット)は、従来のETC機能に加えて、国土交通省が整備するITSスポットと通信することで より高度な道路交通情報の取得ができる車載器 のことです。

ETC2.0の特徴としては、渋滞・規制・気象情報など高度な情報を提供できること、道路管理者からの安全運転支援サービスが利用可能なこと、特殊車両通行許可システムとの連携で 「動的経路誘導(ダイナミックルートガイダンス)」 が利用できる点にあります。

特に特殊車両通行許可では、ETC2.0装着車を対象とした「動的経路指定制度」 が拡大しており、許可ルートの柔軟化につながっています。

このETC2.0に、特定の特殊車両の許可情報を登録する特車ゴールド制度があり、国際海上コンテナ(40ft背高)の許可不要区間の通行にも、このETC2.0が必要要件となります。

ITSスポットサービスとは、道路に設置された「ITSスポット(路側機)」と車載機搭載カーナビが高速・大容量通信を行うことで、広域な道路交通情報や安全運転支援情報をリアルタイムに提供するサービスです。このサービスは、ETCと同じ通信方式を利用し、渋滞回避ルートの案内、事故や天候に関する注意喚起、サービスエリアなどでのインターネット接続などが利用可能です。

なお、特車ゴールドとは、業務支援用ETC2.0車載器を搭載した特殊車両が、特殊車両通行許可の更新手続きを簡素化して、大型車誘導区間内での自由な経路選択(迂回)を可能にする制度です。これは物流効率化を目的として2016年1月から導入されました。

概要

参考資料 国土交通省
https://www.tokusya.ktr.mlit.go.jp/PR/pdf/fuyou_gaiyou_202510.pdf

平成30年3月に「重要物流道路制度」が創設されて、重要物流道路の構造基準が規定されたことによって、国際海上コンテナを運搬するセミトレーラ連結車が特別の許可なく道路を通行することができる環境が整いつつあります。

道路管理者が道路構造等の観点から支障がないと認めて指定した区間に限定して、道路を通行する車両の制限値を引き上げることにより、一定の要件を満たす国際海上コンテナ車(40ft背高)の特殊車両通行許可を不要にするというものです。

通行要件

国際海上コンテナ(40ft背高)の許可不要区間を通行できる条件は、国土交通省が公表する「国際海上コンテナ輸送のための指定道路」に基づきます。

主な要件は次のとおりです。

車両諸元が基準に適合していること

国際海上コンテナ専用の基準があり、以下が例示されます。

全長:18.0m以下(セミトレーラの場合)

高さ:4.3m以下(ハイキューブ積載を想定)

幅:2.6m以下

総重量:44t以下(道路状況により異なる)

上記は一般的基準であり、区間ごとに条件が異なることがあります。

指定された許可不要区間に限ること

「許可不要」とされるのは、港湾区域、IC~港湾間の主要道路、国が道路構造を検証し、特殊車両の通行に支障がないと判断した区間のみです。

なお、支障がないと認めて指定した区間内でも、交差点における折進禁止や誘導措置の条件が付される箇所があります。橋、高架等の構造の道路(高速道路除く)を通行する場合は、原則、徐行及び連行禁止が条件となります。

国際海上コンテナ輸送であること

一般貨物として40ftコンテナを利用する場合は対象外で、その他は許可が必要です。

許可不要区間の確認方法

許可が不要となる区間は、全ての高速道路ではなく、国際物流拠点間の輸送効率化のために指定された区間に限られます

主な確認方法は次のとおりです。

国土交通省のウェブサイトの特殊車両通行許可制度に関するページで、特例区間一覧が公開されています。道路情報板や標識で特例区間であることが示される場合がありますが、事前にウェブサイトで確認することが確実です。

ETC2.0車載器に登録された情報に基づき、特例区間外へ進入しようとした際に警告が出る場合もありますが、運転手自身が事前にルートを確認する必要があります。

原則として、特例は国際物流の結節点(港湾など)を結ぶ高速道路区間に適用されています。

通行方法

許可不要区間内であれば特殊車両通行許可は不要ですが、次の点に注意して運行する必要があります。

区間外へ逸脱しないこと

許可不要区間を少しでも外れると、その瞬間から 無許可運行(道路法違反) となります。ナビの設定やドライバー教育が必須です。

車両諸元が条件内であること

車検証上の寸法・重量、コンテナの種別(ハイキューブかどうか)を事前確認します。

国際海上コンテナ輸送であることを示す書面を携行

たとえば、船荷証券(B/L)、運送指示書などです。提示を求められる場合があります。

港湾内のルールに従う

港湾区域では独自の交通規制がある場合があります。

ETC2.0搭載車は動的ルート情報を利用可能

万が一、事故や規制で通行不能になる場合に備え、ITSスポットから「代替ルート情報」
が配信されることがあります。ただし、代替ルートが許可不要区間とは限らないため、実務上は慎重な判断が必要です。

(参考)国際海上コンテナを運搬するものであることを証明する書類

国際海上コンテナを運搬するものであることを証明する書類は次のものがあります。

1.現に運搬しているコンテナに係る機器受渡証(EIR)
2.車両を運転する者に対して運搬を指示する書面(輸出又は輸入の用に供するコンテナの運搬を指示する旨の記載があるものに限る。)

2の書面は、その名称にかかわらず、以下の内容が記載されているものに限られるものとする。
(1)コンテナを輸入又は輸出するための運搬である旨の記載
(2)コンテナの輸出若しくは出発又は搬入若しくは到着の場所及び日時(運送年月日)
(3)荷主(送又は受)名
(4)コンテナの寸法
(5)船積予定港又は揚予定港の名称