道路構造令・車両制限令と特殊車両通行許可の関係・違いについて解説

コラム

道路を通行する車両は、「道路側の基準」と「車両側の制限」という2つの法体系によって管理されています。

建設業・運送業・重機リース業に関係の深い特殊車両通行許可は、この2つのルールを正しく理解していないと対応できません。

道路の規格を定める「道路構造令」、車両のサイズを制限する「車両制限令」、そしてこれらを超過する場合に必要となる「特殊車両通行許可」の関連性について、国土交通省の指針や国交省特殊車両ハンドブックなどに基づいて詳しく解説します。

道路構造令とは

道路構造令は、道路の「設計図」を定める基準です。道路構造令(昭和45年政令第320号)は、道路法第30条に基づき、道路を築造する際の技術的基準を定めた法律です。

道路はこれくらいの重さや大きさの車が通ることを想定して作るというインフラ側の設計図にあたります。

主な内容内容は、下記の通り、車線の幅員(道路構造令第5条)、曲線の半径、勾配、舗装の厚さなどです。

区分としては、道路の所在(地方部・市街地)や交通量に応じて、第1種~第4種に分類されます。

道路法からの引用です。

(道路の構造の基準)
第三十条 高速自動車国道及び国道の構造の技術的基準は、次に掲げる事項について政令で定める。
一 通行する自動車の種類に関する事項
二 幅員
三 建築限界
四 線形
五 視距
六 勾こう配
七 路面
八 排水施設
九 交差又は接続
十 待避所
十一 横断歩道橋、さくその他安全な交通を確保するための施設
十二 橋その他政令で定める主要な工作物の自動車の荷重に対し必要な強度
十三 前各号に掲げるもののほか、高速自動車国道及び国道の構造について必要な事項
2 都道府県道及び市町村道の構造の技術的基準(前項第一号、第三号及び第十二号に掲げる事項に係るものに限る。)は、政令で定める。
3 前項に規定するもののほか、都道府県道及び市町村道の構造の技術的基準は、政令で定める基準を参酌して、当該道路の道路管理者である地方公共団体の条例で定める。

車両制限令とは

車両制限令は道路を守るための「車両のルール」です。道路構造令が「作る側」のルールなら、車両制限令(昭和27年政令第265号)は「走る側」のルールになります。

道路法第47条第1項に基づき、道路の構造を保全し、交通の危険を防止するために、通行できる車両のサイズや重量の「一般的制限値」を定めています。

道路法からの引用です。

第四十七条 道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両(人が乗車し、又は貨物が積載されている場合にあつてはその状態におけるものをいい、他の車両を牽けん引している場合にあつては当該牽けん引されている車両を含む。第四十七条の五第三号及び第四十七条の六第一項第一号を除き、以下この節及び第八章において同じ。)の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、政令で定める。

2 車両でその幅、重量、高さ、長さ又は最小回転半径が前項の政令で定める最高限度をこえるものは、道路を通行させてはならない。

3 道路管理者は、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため必要があると認めるときは、トンネル、橋、高架の道路その他これらに類する構造の道路について、車両でその重量又は高さが構造計算その他の計算又は試験によつて安全であると認められる限度をこえるものの通行を禁止し、又は制限することができる。

一般的制限値(車両制限令第3条)

以下の数値のいずれか一つでも超える車両は、原則として公道を走行できません。

  • 車両制限令の一般的制限値は次のとおりです。
    • 幅:2.5m
    • 高さ:3.8m(指定道路は4.1m)
    • 長さ:12m
    • 総重量:20t(条件により25t)
    • 軸重:10t
    • 輪荷重:5t

道路構造令と車両制限令の密接な関連性

この2つの法令は「車のサイズ(制限令)」と「道のサイズ(構造令)」として、密接な関係にあります。

道路構造令において、車線の幅員は一般的に「3.25m」や「3.0m」と設定されています。これに対し、車両制限令で幅の最大を「2.5m」と定めているのは、走行時の接触回避や安全な離隔を確保するためです。

なお、道路が構造令通りに維持されていない(老朽化や損傷)場合、車両制限令の基準内であっても、道路管理者によって個別に通行制限(道路法第46条)がかけられることもあります。

特殊車両(特車)の定義

「一般的制限値」を一つでも超える車両、または構造が特殊な車両が特殊車両となります。

構造が特殊な車両としては、トラッククレーン、セミトレーラー、ポールトレーラー、ラフテレーンクレーンなどです。

貨物が特殊な車両であれば、分割不可能な建設機械、大型発電機、橋桁、海上コンテナなどがあります。

これらの車両は、そのままでは道路を傷めたり、カーブを曲がりきれなかったりするため、事前の許可が必要になります。

セミトレーラーとは、動力を持たない荷台部分(トレーラー)の前方を、牽引車(トラクター)に載せて連結し、総重量の10%以上を支えながら走行する貨物自動車です。日本では最も一般的なトレーラーであり、最大積載量や運搬物の種類(コンテナ、バン、タンク等)に合わせて多様な種類があります。

ポールトレーラーは、前方のトラクターと後方のトレーラー部分がポール(棒)で連結されており、積載物の長さに合わせて荷台の長さを調整できるトレーラーです。

ラフタークレーン(ラフテレーンクレーン)は、1つの運転席で走行とクレーン操作を行う、全輪駆動の自走式移動式クレーンです。

特殊車両通行許可制度と許可基準

特殊車両通行許可(道路法第47条の2)は、一般的制限値を超える車両が、道路管理者に申請を行って、道路の構造保全と交通安全のために必要な「条件」を付して通行を認められる制度です。

通行条件

審査の結果、道路管理者は以下の4つの区分で通行条件を決定します。

A条件: 無条件。
B条件: 徐行および連行禁止(他の特車と並んで走らない)。
C条件: 徐行、連行禁止に加え、誘導車(前後に配置)の確保。
D条件: 徐行、連行禁止、誘導車に加え、夜間走行などの時間制限。

国土交通省の特殊車両通行許可における通行条件(A、B、C、D)は、車両の重量や寸法が道路構造や交通に与える影響に応じて定められる制限です。Aが最も緩く、Dが最も厳しい制限となります。

Q&A

まとめを兼ねてQ&Aをつくりました。参考にしてください。

なお、当事務所の行政書士法人アラインパートナーズは、特殊車両通行許可申請代行(特車申請代行)を専門に扱っております。全国からのご依頼に対応しており、特車申請の申請件数・対応台数も豊富です。当記事のご質問やご相談・ご依頼をお待ちしておりますのでよろしくお願いいたします。