「新規開発車両」と「新規格車」の2つの用語はよく見かけますが、この2つは似ているようで制度上はまったく異なります。また、これらは特殊車両通行許可(特車申請)とも関係しています。
新規開発車両とは何か、新規格車との違い、特殊車両通行許可との関係、
新規開発車両証明制度について、道路法・車両制限令・国土交通省制度をベースにして、国交省の特殊車両ハンドブックなどに準拠し、わかりやすく解説します。
新規開発車両とは
定義(国交省の制度上の位置づけ)ですが、新規開発車両とは、従来の基準では評価できない新しい構造・機能を持つ車両について、個別に安全性や道路への影響を評価する制度の対象車両です。国土交通省が運用する「新規開発車両の通行に関する制度」に基づく行政上の区分です。
通常、車両の通行可否は道路法や車両制限令で判断されますが、特殊なトレーラー・多軸車両・超重量輸送車などは、既存の基準だけでは判断できないケースがあります。
そこで、個別審査(新規開発車両制度)が必要になります。
新規開発車両は大型車だという認識は誤りです。「構造が特殊かどうか」がポイントです。
(関連法令は次のとおりです。)
道路法 第47条(車両の通行制限)
道路法 第47条の2(特殊車両の通行許可)
車両制限令(昭和36年政令第265号)
特殊車両通行許可制度(国土交通省通達)
新規格車との違い
新規格車とは、車両制限令の改正により定められた新しい基準に適合した車両のことです。
高速自動車国道または道路管理者が指定する道路(重さ指定道路・高さ指定道路)に限り、一定の範囲内で一般的制限値を超えて走行できる車両です。
例えば、セミトレーラーの長さ緩和や車両総重量の緩和(25t → 36t → 44tなど)などがありました。
新規格車なら許可不要というのは誤りです。基準内でも条件により特車許可が必要になります。
(法的根拠は次のとおりです。)
車両制限令 第3条(最高限度)
車両制限令 別表(長さ・幅・重量等)
新規開発車両との違い
| 項目 | 新規格車 | 新規開発車両 |
|---|---|---|
| 性質 | 既存制度の範囲内 | 制度外の特例 |
| 法的位置 | 車両制限令に適合 | 個別審査対象 |
| 手続 | 通常の特車許可 | 事前評価+特車許可 |
| 例 | 44tトレーラー | 超特殊構造車両 |
新規格車は「ルール内」であるのに対して、新規開発車両は「ルール外を審査」ということになります。

特殊車両通行許可について
一定の基準(幅・長さ・重量など)を超える車両は、道路を自由に通行できません。そのため必要なのが特殊車両通行許可(特車許可)です。
(法的根拠は次のとおりです。)
道路法 第47条
道路法 第47条の2
制限内容(車両制限令)
- 特車許可の主な基準次のとおりです。
- 幅:2.5m
- 長さ:12m(連結車は別)
- 高さ:3.8m(指定道路は4.1m)
- 総重量:20t(条件により緩和)
これを超える場合は特車許可が必要になります。
(法的根拠)
車両制限令 第3条
車両制限令からの引用です。
第二章 道路との関係において必要とされる車両についての制限
(車両の幅等の最高限度)
第三条 法第四十七条第一項の車両の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、次のとおりとする。
一 幅 二・五メートル
二 重量 次に掲げる値
イ 総重量 高速自動車国道又は道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路を通行する車両にあつては二十五トン以下で車両の長さ及び軸距に応じて当該車両の通行により道路に生ずる応力を勘案して国土交通省令で定める値、その他の道路を通行する車両にあつては二十トン
ロ 軸重 十トン
ハ 隣り合う車軸に係る軸重の合計 隣り合う車軸に係る軸距が一・八メートル未満である場合にあつては十八トン(隣り合う車軸に係る軸距が一・三メートル以上であり、かつ、当該隣り合う車軸に係る軸重がいずれも九・五トン以下である場合にあつては、十九トン)、一・八メートル以上である場合にあつては二十トン
ニ 輪荷重 五トン
三 高さ 道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路を通行する車両にあつては四・一メートル、その他の道路を通行する車両にあつては三・八メートル
四 長さ 十二メートル
五 最小回転半径 車両の最外側のわだちについて十二メートル
新規開発車両との関係で言えば、新規開発車両は、必ず特殊車両通行許可が必要であり、その前に「技術的評価(新規開発車両審査)」が必要になります。
新規開発車両審査とは、車両制限令の一般的制限値(総重量20t、幅2.5m、高さ3.8mなど)を超える新型車両を製作・輸入する際、安全に道路を通行できるか国土交通省が事前に審査する制度です。この審査に合格すると「適合証明書」が交付され、特殊車両通行許可申請が円滑になります。
通常の特車申請より難易度が高くなって、技術資料(図面・荷重分布)などが必要になり、審査期間も長くなります。
なお、一度許可を取れば全国どこでもOKというわけではありません。道路ごとに許可が必要です。
新規開発車両証明制度
新規開発車両について、あらかじめ安全性・道路適合性を評価し証明する制度です。これにより、個別審査の簡略化と許可の迅速化が可能になります。
車両メーカーがあらかじめ車両の諸元(スペック)を国土交通大臣に届け出、道路に与える影響が一定の範囲内であることを証明しておく制度です。
- 新規開発車両証明制度の流れは次のとおりです。
- ① 車両の設計・申請
- ② 国土交通省による技術審査
- ③ 新規開発車両証明の取得
- ④ 特殊車両通行許可申請
審査の標準化と許可取得の効率化が図られて全国展開しやすくなっていますが、初回のハードルは高く、技術データの提出が必要でコストと時間がかかります。
Q&A
まとめを兼ねて、Q&Aをつくりました。参考にしてください。
なお、当事務所の行政書士法人アラインパートナーズは、特殊車両通行許可申請代行(特車申請代行)を専門に扱っております。全国からのご依頼に対応しており、特車申請の申請件数・対応台数も豊富です。当記事のご質問やご相談・ご依頼をお待ちしておりますのでよろしくお願いいたします。




