トラック関連の2025年と2026年の道路法改正、物流関連法改正を詳しく解説

コラム

政府は、2025年と2026年において物流2024年問題に関連して、物流の効率化とデジタル化を推進しており、道路法と物流効率化法(流通業務総合効率化法)などの改正などがすすんでいます。

令和7年(2025年)の主な改正・施行内容

令和7年は、物流DXの本格的な普及と運送事業者の努力義務の開始がキーワードとなりました。

物流DX(デジタルトランスフォーメーション)

物流DXとはAI・IoT・ロボティクスなどのデジタル技術を活用して、従来の物流業務のあり方やビジネスモデルそのものを根本から変革することを通して、効率化・最適化・高度化を図ることです。

ここ数年続いている人手不足やドライバー不足といった業界の課題を解決して、生産性向上、コスト削減、顧客満足度向上、そして持続可能な物流の実現を目指しています。

災害対応力の強化(道路啓開計画の法定化)

災害対応力の強化としては、令和7年は道路災害時における迅速な道路啓開計画が新たに法的に位置付けられました。災害時には物流車両、特にトラックが被災地支援・物資輸送に使われるために道路法上の計画立案・評価・変更義務が整備されたことは物流の継続性に関わる重要な改正となっています。

道路啓開計画は、地震や津波などの大規模災害時に、救急車や消防車、自衛隊などの緊急車両が被災地に迅速に到達できるようい、道路の瓦礫除去や放置車両の移動などを「最低限」行うための手順や体制を定めた計画です。

道路管理者は災害発生を想定した道路啓開計画を策定して、定期的な評価・見直し・必要に応じた変更を行うことが求められるようになっています。道路利用者の安全・迅速な救援・物流再開を担保するための施策であり、トラック事業者は、災害対応計画を他法(貨物自動車運送事業法)と合わせた自社の安全管理計画に反映させる必要が出てきます。

道路法からの引用です。

(道路啓開計画)

第二十二条の三 交通上密接な関連を有する道路(以下「密接関連道路」という。)の管理を行う二以上の道路管理者(以下「密接関連道路管理者」という。)は、第二十八条の二第一項に規定する協議会における協議を行つた結果、大規模な災害が発生した場合における緊急輸送の確保を図るための密接関連道路の維持(道路の啓開のために行うものに限る。以下この条において同じ。)を効果的に行うため必要があると認めるときは、共同して、当該協議会における協議を経て、当該災害が発生した場合における当該密接関連道路の円滑かつ迅速な啓開のための計画(以下「道路啓開計画」という。)を定めるものとする。

脱炭素化推進の枠組みの導入

改正法によって道路脱炭素化基本方針や道路脱炭素化推進計画 の作成が位置付けられて道路管理者である地方公共団体は計画策定を行う義務・枠組みが整えられました。

具体的にはEV充電スタンドなどの整備促進、太陽光発電設備・シェアサイクル駐輪場などの設置の占用基準緩和、道路空間利用と環境性能向上の両立などです。

道路網の整備に関する基本理念の創設

道路法改正によって、道路整備の基本理念が新たに創設されました。

道路政策の長期的方向性(安全・防災・環境配慮)を法律として明確化されて、物流インフラ整備や道路投資判断に影響する方向性が法律として裏付けられました。トラック事業者にとっては、今後の道路投資方向に合わせた戦略策定が求められます。

国土交通省のHPからの引用です。

「道路法等の一部を改正する法律」の施行に伴う関係政令を閣議決定

改正法は、自然災害の頻発や道路の老朽化等により、安全かつ円滑な道路交通の確保の重要性が増大していることに鑑み、平時からの備えと有事における初動対応の充実、インフラ管理の担い手不足への対応、道路分野における脱炭素化の推進等の措置を講ずるものです。
今般、公布の日に施行された一部規定を除き、改正法の施行期日を定めるとともに、その施行に必要な規定の整備等を行うための政令を制定します。

特殊車両通行確認制度(特車ゴールド)の利便性向上(道路法関連)

特殊車両通行許可制度(特車)は、従来の許可制から、ETC2.0を活用してすぐに通行可否が回答される「確認制度」への移行がすすみました

特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)を利用すると、申請経路に大型車誘導区間が含まれている場合などでは、大型車誘導区間内における経路選択(迂回)が可能となるために渋滞や事故、災害などによる通行障害発生時に迂回ができて輸送を効率化できるようになりました。

ダブル連結トラックの対象拡大

2025年3月より、全長25mのダブル連結トラックも「確認制度」で手続きができるようになりました。数週間かかっていた審査が大幅に短縮されています。

車両制限令からの引用です。

第二章 道路との関係において必要とされる車両についての制限
(車両の幅等の最高限度)
2 バン型のセミトレーラ連結車、タンク型のセミトレーラ連結車、幌ほろ枠型のセミトレーラ連結車及びコンテナ又は自動車の運搬用のセミトレーラ連結車並びにフルトレーラ連結車で自動車及び被けん引車がバン型の車両、タンク型の車両、幌ほろ枠型の車両又はコンテナ若しくは自動車の運搬用の車両であるものの総重量の最高限度は、前項の規定にかかわらず、高速自動車国道を通行するものにあつては三十六トン以下、その他の道路を通行するものにあつては二十七トン以下で、車両の軸距に応じて当該車両の通行により道路に生ずる応力を勘案して国土交通省令で定める値とする。

システムの機能改良

荷物量に応じて車軸を上下させる車両であるリフトアクスル車両の自動入力機能や、高さ制限(4.1m)の緩和に伴うシステム改修が実施されて、申請の負担が軽減されました。

改正物流効率化法の施行

道路法と密接に関係する「改正物流効率化法(流通業務総合効率化法)」が施行されました。

改正物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)は、トラックドライバーの労働環境改善と物流業界全体の生産性向上を目指して2025年4月から施行された法律で、荷主や物流事業者に対して荷待ち・荷役時間の削減や積載率向上など、物流効率化への取り組みを努力義務として課し、一定規模以上の事業者には特定事業者として中長期計画の策定や物流統括管理者(CLO)の選任を義務付けたものです。

物流効率化の努力義務

すべての荷主および物流事業者に対して、荷待ち時間の削減(2時間以内)や積載率の向上で取り組むことが努力義務化されました。

物流効率化法からの引用です。

(貨物自動車運送事業法の特例)
第十二条 総合効率化事業者がその総合効率化計画について第六条第一項の認定を受けたときは、当該総合効率化計画に記載された事業のうち、一般貨物自動車運送事業についての貨物自動車運送事業法第三条の許可若しくは同法第九条第一項の認可を受け、又は同条第三項の規定による届出をしなければならないものについては、これらの規定により許可若しくは認可を受け、又は届出をしたものとみなす。

軽トラック事業者への規制強化

軽貨物運送事業者に対しても、安全管理者(運行管理者)の選任や、重大事故の報告が義務付けられるようになりました。

令和8年(2026年)の改正予定

令和8年は、努力義務だったものが「義務化・罰則化」される年となりそうです。

特定事業者への規制強化(2026年4月頃~)

一定規模以上(特定事業者)の荷主や物流事業者に対し、以下の義務が課されます。

物流統括管理者(CLO)の選任

役員クラスの人物を物流改善の責任者に据える必要があります。

・中長期計画の作成・提出

物流効率化に向けた具体的な計画を策定し、国に報告しなければなりません。これに従わない場合、勧告や公表、最大100万円の罰金が科される可能性があります。

生活道路の法定速度引き下げ(道路交通法施行令改正)

トラックの運行ルートに大きく影響するのが、2026年9月1日施行予定の速度規制です。

・時速30km制限の導入

センターラインや中央分離帯がない「生活道路(一般道路)」の法定速度が、従来の時速60kmから時速30kmに一律で引き下げられます。

これによって、住宅街などを抜け道として利用している配送ルートは、所要時間の増加や騒音トラブルのリスクを考慮した見直しが必要になります。