Gマーク取得で特殊車両通行許可が最大4年に!条件や手続きを徹底解説

コラム

特殊車両を通行させている運送事業者にとって、Gマーク(安全性優良事業所認定)の取得は、企業としての「安全の証明」以上のメリットがたくさんあります。

その中でも特に、特殊車両通行許可(特車許可)における有効期間の延長は、手続きなどの負担をかなり軽減してくれますので一番大きなメリットと言えるのではないかと思います。

Gマークの概要から取得のメリット、具体的な手続き、そして特車許可との関連性について、法令や国土交通省・全日本トラック協会の資料に基づき、行政書士として詳しく解説します。

Gマーク(安全性優良事業所認定制度)とは?

Gマークとは、貨物自動車運送事業法に基づき、荷主や一般消費者がより安全性の高い事業者を選びやすくするために導入された「安全性優良事業所」の認定制度のことです。

Gマーク制度の実施主体は、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関(公益社団法人全日本トラック協会)です。

Gマーク自体は、全日本トラック協会が認める「安全性優良事業所」のシンボルマークですが、Gマーク制度は、2003年7月から開始されており、交通安全や法令遵守、車両管理の厳しい基準をクリアしたトラック運送事業者にのみ付与される「安全・安心・信頼」の証となっています。

貨物自動車運送事業法からの引用です。

(全国貨物自動車運送適正化事業実施機関の指定等)

第四十三条 国土交通大臣は、貨物自動車運送に関する秩序の確立に資することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、次条に規定する事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国に一を限って、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関(以下「全国実施機関」という。)として指定することができる。

(事業)

第四十四条 全国実施機関は、次に掲げる事業(以下「全国適正化事業」という。)を行うものとする。
一 地方適正化事業の円滑な実施を図るための基本的な指針を策定すること。
二 地方適正化事業について、連絡調整を図り、及び指導を行うこと。
三 地方実施機関の業務に従事する者に対する研修を行うこと。
四 二以上の区域における貨物自動車運送に関する秩序の確立に資するための啓発活動及び広報活動を行うこと。

法的根拠としては、上記の貨物自動車運送事業法 第44条(貨物自動車運送適正化事業実施機関の指定等)が根拠となっています。

Gマークの認定単位は、企業、会社単位ではなく、「事業所(営業所)」単位で認定されます。

なお、公益社団法人全日本トラック協会(全ト協)は、全国約6万3,000者のトラック運送事業者で構成される業界の中央団体です。トラック運送事業の適正運営、公正な競争、健全な発展、そして社会的・経済的地位の向上を目的として活動しており、交通安全や環境対策、労働環境改善などを推進しています。

特殊車両通行許可におけるメリット

特殊車両(一般的制限値を超える車両)を運行する場合、通常は道路法第47条の2に基づき通行許可を得る必要がありますが、Gマーク取得事業所には、次の見出し以降の大きな優遇措置が適用されます。

なお、特殊車両通行許可(特車許可)とは、道路の幅や高さ、重さなどの「一般的制限値」を超える大型・重量のある車両(特殊車両)が道路を通行する場合に、道路の構造保全や交通安全のため、道路管理者の事前に許可を受ける制度です。

特殊車両通行許可の有効期間延長

通常、特車許可の有効期間は最大2年間だけですが、Gマーク取得等の条件を満たす「優良事業者」は、最大4年間に延長されます。手間がかなり軽減されるので、非常に大きなメリットだと思います。

法的根拠としては、従来であれば、「車両の通行の許可の手続等を定める省令(昭和36年建設省令第28号)」および国土交通省告示において、 車両制限令第15条・16条に基づき、幅・重量・高さなどが制限を超える車両の通行許可手続きを定められました。その省令などにおいて、有効期間が最長2年となっています。

車両区分通常の有効期間Gマーク取得(優良)事業者の期間
一般的車両最大2年最大4年
超重量・超寸法車両最大1年最大2年

特車通行許可の有効期間延長の要件

  • 特車通行許可の有効期間延長の要件は次のとおりです。
    • Gマーク認定を受けていること。
    • 業務支援用ETC2.0車載器を装着して登録していること。
    • 過去2年間に特車通行許可に係る違反による警告等を受けていないこと。

なお、トラックのETC2.0車載器は、従来の料金自動支払機能に加えて、全国のITSスポット(高速道路のアンテナ)と大容量・双方向通信を行う高度な端末となっています。

トラックのETC2.0車載器を搭載すれば、リアルタイムの渋滞・回避ルート情報や安全運転支援、特車通行許可の簡素化など、物流効率化と安全向上に役立つ様々なサービスが利用が可能になります。

業務支援用ETC2.0

業務支援用ETC2.0は、特殊車両の通行許可(特車ゴールド)の簡素化や、高精度なプローブ情報を活用した運行管理支援を行うGPS・発話機能付きの高度な車載器です。

一般用ETC2.0に比べて、より詳細な起終点データの記録が可能で、物流効率化、安全性向上に特化しています。

業務支援用ETC2.0を搭載すれば、特車ゴールド制度(特殊車両通行許可の簡素化)を受けることができます。業務支援用車載器をセットアップした車両は、許可更新手続きが大幅に簡素化(1クリックで更新)されます。

さらに大型車誘導区間における経路選択が可能となって、事故や災害時の迂回などが効率的に行えます。

プローブ情報(走行データ)を活用して、リアルタイムの渋滞回避、安全運転支援、配送の正確な到着時刻予測に役立ちます。

特車(特殊車両)通行許可に係る違反

Gマークでは、大幅に特車許可の更新期間が延びますが、そもそも特車許可の違反の罰則内容を参考まで、まとめておきます。

特車(特殊車両)通行許可に係る違反とは、道路の制限値を超える車両を通行させる際に必要な許可を取得していない、または許可条件(経路、時間、誘導車配置など)や許可証の携行義務に違反する行為のことです。

無許可、車両諸元違反、経路違反などが該当して、違反者には最大で6ヶ月以下の懲役や100万円以下の罰金が科されるほか、事業者への行政措置や高速道路割引停止などの重いペナルティが課されます。

  • 特車通行許可に関連する主な具体的な違反内容は以下の通りです。
    • 無許可通行、そもそも許可を取得していない、許可の期限切れ、更新忘れ。
    • 車両諸元違反、許可を受けた幅、長さ、高さ、総重量などの制限を超えて走行すること。
    • 通行経路違反、許可証に記載された経路以外の道路を通行すること。
    • 通行条件違反、許可証に明記された条件(夜間通行、誘導車の配置、特定の徐行区間など)を守らないこと。
    • 許可証不携帯、許可証(書面またはタブレット等)を携帯せず、提示できないこと。
    • 措置命令違反、取締りにより違反が発覚し、道路管理者から是正(通行中止、積載物の軽減)命令が出たにもかかわらず従わないこと

その他のメリットとデメリット

メリット(特車以外)

Gマークがあれば、荷主企業が委託先を選定する際の重要な基準として、コンプライアンスの証明になります。最近では、Gマークがないと契約しないという大手荷主も増加中です。

通常、行政処分の違反点数は3年間無事故無違反でなければ消去されませんが、Gマーク取得事業所は2年間に短縮されるという違反点数の消去期間短縮があります。

保険料の割引があります。損害保険会社やトラック共済により、自動車保険料の割引(2%~数%程度)が適用される場合があります。

IT点呼の導入が許可されます。対面点呼に代わってIT点呼の実施が可能になって、運行管理の効率化が図れます。

IT点呼は、運送事業者がIT機器であるカメラうあアルコール検知器などを活用して、対面と同等の品質で遠隔からドライバーの点呼を実施するシステムです。主として、安全性の高いGマーク取得事業所で認められており、夜間や早朝の点呼効率化や人件費削減、記録の自動保存が可能になります。

デメリット

事務負担の増加が挙げられます。 認定申請には膨大な書類作成と、日頃の徹底した運行管理・記録が必要になります。

さらに更新の手間もあります。有効期間は、初回2年、1回目更新3年、2回目以降4年ごとに審査を受ける必要があります。

取得条件(評価基準)

認定を受けるには、次の3つの評価項目で合計80点以上(かつ各項目で基準点以上)を獲得する必要があります。

評価項目配点内容の例
Ⅰ. 安全性に対する取組状況20点安全点検の実施、事故防止対策会議の開催など
Ⅱ. 事故、違反の状況40点過去の事故歴、行政処分、反則金等の状況
Ⅲ. 安全性に対する意欲40点適正診断の受診、安全教育の実施、2026年度からは残業880時間以下の取組等も加味
  • Gマークの取得条件(評価基準)の点数構成は次のとおりです。
    • 安全性に対する法令の遵守状況 (40点)で基準点数が(32点)以上
    • 事故や違反の状況 (40点)で基準点数が(21点)以上
    • 安全性に対する取組の積極性 (20点)で基準点数が(12点)以上

評価項目では、4つの自認項目グループすべてで得点が必要です。申請は通常7月1日~14日(土日を除く)にオンラインで行われて、「安全性に対する取組状況についての自認書」などの提出が必要です。詳細は、全日本トラック協会や各都道府県トラック協会のホームページで確認できます。

以上は貨物自動車運送事業安全性評価事業 実施要領を参考にしました。

取得方法と手続きの流れ

申請は年に1回、例年7月頃に受け付けられます。

  1. 自己認定制(自社チェック)

申請案内(例年5月頃配布)を入手して、自社が要件を満たしているか確認します。

  1. 申請書の作成・提出

7月の受付期間内に、所属する都道府県のトラック協会(地方実施機関)へ申請書を提出します。

地方実施機関による書面審査および実地調査があります。

  1. 認定

12月中旬に合格発表、翌年1月1日から認定証が交付されます。

Gマーク審査の評価項目について

Gマーク審査の評価は次の項目で審査されることになります。

安全性に対する法令の遵守状況(配点40点・基準点数32点)

地方実施機関による巡回指導の結果が評価されます。

事業計画、帳票類の整備、報告等、運行管理、車両管理、労働基準法、運輸安全マネジメントです。

たとえば、運行管理では「過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これを基に乗務割が作成され、休憩時間、睡眠のための時間が適正に管理されているか。」「過積載による運送を行っていないか。」「点呼の実施及びその記録、保存は適正か。」「乗務員に対する輸送の安全確保に必要な指導監督を行っているか。」がそれぞれ、3点となり他の点数より大きくなっています。

車両管理では、「定期点検基準を作成し、これに基づき、適正に点検・整備を行い、点検整備記録簿等が保存されているか。」、労働基準法では「所要の健康診断を実施し、その記録・保存が適正にされているか。」がそれぞれ、3点となり他の点数より大きくなっています。

事故や違反の状況(配点40点・基準点数21点)

事故の実績は、配点20点となっており、「過去3年間に、事業所の事業用自動車が有責の第一当事者となる、自動車事故報告規則(国土交通省令)第2条各号に定める事故がないか。」が審査されます。

違反(行政処分)の実績も配点20点となっており、「、事業所に、貨物自動車運送事業法に基づく行政処分の点数が付加されていないか。また、点数がある場合には、当該事業所に係る行政処分の累積点数は何点か。」が審査されます。

安全性に対する取組の積極性(配点20点・基準点数12点)

運転者等の指導・教育

「自社内独自の運転者研修等の実施」「外部の研修機関・研修会への運転者等の派遣」「定期的な「運転記録証明書」の入手による事故・違反実態の把握に基づく指導の実施」「安全運転につながる省エネ運転の実施とその結果に基づく個別指導教育の実施」などの項目の配点が3点と高点数となっています。

輸送の安全に関する会議・QC活動の実施

「事業所内での安全対策会議の定期的な実施」「事業所内での安全に関するQC活動の定期的な実施」「荷主企業、協力会社又は下請け会社との安全対策会議の定期的な実施」「事業所内での交通事故防止や輸送の安全に対する意識向上に向けた取組の実施」などの項目の配点が2点と比較的高点数となっています。

法定基準を上回る対策の実施

「特定運転者以外の運転者への計画的な適性診断(?般診断)の実施」「効果の高い健康起因事故防止対策(健康診断結果のフォローアップ・脳検査・心電計・SAS)の実施」「車両の安全性を向上させる装置の装着」「ドライバー時間外労働時間短縮の取組の状況」などの項目の配点が2点と比較的高点数となっています。

その他

その他では次の項目が審査されます。

「健康起因事故防止に向けた取組(健康診断結果のフォローアップ・脳検査・心電計・SAS以外)」
「輸送に係る安全や環境に関する認証や認定の取得」
「国が認定する第三者機関による運輸安全マネジメント評価の受審」
「過去3年間以内の?政、外部機関、トラック協会による輸送の安全に関する表彰の実績」
「リアルタイムGPS運行管理システムなどの先進的運?管理システムの導入」
「自社内独自の無事故運転者表彰制度又は省エネ運転認定制度の活用」

法に基づく認可申請、届出、報告事項及び社会保険等の適正加入チェック

たとえば、「営業所に配置する事業用自動車の種別及び数に変更はないか。」「自動車車庫の位置及び収容能力に変更はないか。」「乗務員の休憩・睡眠施設の位置、収容能力に変更はないか。」「自動車事故報告書を提出しているか。」「運行管理者の選任等について、届出されているか。」「整備管理者の選任等について、届出されているか。」などの項目がチャックされて審査を受けることになります。

なお、労働保険(労災保険、雇用保険)と社会保険(健康保険、厚生年金保険)の加入状況についても審査されますので、注意が必要です。

取得にかかる費用

申請手数料は全日本トラック協会の事業として行われるために無料となっています。

実費としては、添付書類として必要な「無事故・無違反証明書」の発行手数料(1通670円程度×運転者数)や、記録簿整備のための人件費などがかかります。

主要な取得企業

現在、日本の運送事業所の約3割以上が取得しています。

日本通運、ヤマト運輸、佐川急便などの大手各社は、ほぼ全営業所で取得済みです。特車許可を頻繁に行う重機運搬、鋼材輸送、プレカット材輸送を専門とする中小優良企業でも取得がすすんでいます。

2025年3月末現在、全国で29,142事業所(全事業所の34.0%)が安全性優良事業所に認定されています。

まとめ

Gマークは、安全の看板よいうこと以上に意義があります。特車許可の有効期間が倍になることで、更新申請の回数が半分になります。

「自社で申請書類を揃えられるか不安だ」「特車許可の期間延長を具体的にどう進めればいいか」といったご相談があれば、いつでも行政書士法人アラインパートナーズにご相談下さい。

Q&A

まとめをかねてQ&Aをつくりました。参考にしてください。