海上コンテナの特徴・種類・構造・法律など解説

コラム

海上コンテナは、国際物流の標準化輸送単位としての重要な役割がありますが、大きさや重量によって、国内の陸上輸送では道路法や車両制限令による特殊車両扱いとなることが多く、適正な許可と免許が必要になります。それでは特徴・種類・構造・法律などについて詳しく解説します。

海上コンテナとは

海上コンテナとは、国際貿易や国内輸送において貨物を安全かつ効率的に運搬するための標準化された鋼製の輸送容器のことです。英語では「Shipping Container」や「Freight Container」と呼ばれています。

国際規格である ISO(国際標準化機構)規格に基づいて製造されており、船舶・鉄道・トラック間で積み替えなしに輸送できることから、インターモーダル輸送(複合一貫輸送)の代表となっています。

世界中の港湾で扱える共通サイズと共通構造が採用されています。世界中の船舶、港湾、鉄道、トラックなどの輸送手段間で、荷物を積み替えることなく、コンテナごと一貫して輸送するインターモーダル輸送(複合一貫輸送)として機能しています。

海上コンテナの特徴

海上コンテナの主な特徴は次のとおりです。

強固な鋼製構造

外装はコルゲート(波板)状の鋼板でつくられており、外力や荷重に強く、長期間の海上輸送にも耐えるよう設計されています。

個体識別

全てのコンテナには、所有者、機器カテゴリ、シリアル番号、チェックディジットからなるBICコード(Bureaux International des Containers et du Transport Intermodal Code)という国際的な識別番号が付与されています。コンテナ番号は、4つのアルファベットと7桁の数字(合計11文字)で構成されています。

コンテナ番号は、物流情報システムで利用されており、貨物の追跡(トラッキング)ができます。コンテナヤードでの自動認識システム(OCRなど)によって番号が読み取られ、船会社や関係者が一元的に情報を共有する「コンテナ物流情報サービス(Colins)」のようなシステムも運用されています。

標準化された寸法と規格

ISOで規格化されています。20フィート(TEU)と40フィート(FEU)が多くなっていますが、世界中のコンテナ船やトレーラーが共通の仕様で扱えるようになっています。ISO 668などの国際規格に準拠しており、世界中どこでも共通の取り扱いができます。

ISO 668は1967年に導入され、コンテナの内寸および外寸、開口ドアの最小サイズ(備える場合は)を規定しています。

シーリング性能(防水・防塩性)

外部からの塩害や湿気の侵入を防ぐために扉部にはゴムパッキンが装備されています。

積載効率の高さ

内部空間を最大限に活用できて、パレット単位やバラ貨物の輸送にも対応しています。フォークリフトやクレーンでの取り扱いもできるような構造になっています。

トレーラーによる陸上輸送

陸上では「コンテナシャーシ」という専用の台車に搭載して輸送しますが、40フィートコンテナなどは車両総重量や寸法が大きいために、特殊車両通行許可が必要となる場合があります。

海上コンテナの種類

用途や積載物に応じて多様な種類があります。

ドライコンテナ(Dry Container)

一般貨物用です。最も普及しており、家電・衣料・雑貨・食品(常温)・機械類などの輸送に使用されています。

リーファーコンテナ(Reefer Container)

冷凍や冷蔵機能を備えており、生鮮食品・医薬品など温度管理が必要な貨物用です。冷凍食品、生鮮品、医薬品(温度管理が必要なもの)を運びます。

オープントップコンテナ(Open Top)

天井が開閉式になっており、上からクレーンで積み下ろしができます。大型機械などに使用されます。天井部分が幌(ほろ)になっており、上部からの荷役ができます。

フラットラックコンテナ(Flat Rack)

側壁がないタイプで、長尺・重量物の輸送に用いられます。平坦な台座型となっています。

タンクコンテナ(Tank Container)

液体やガス類を輸送するためのタンク型コンテナです。化学薬品、石油製品、液化ガス、食用の液体(酒類など)を輸送します。

ハイキューブコンテナ(High Cube)

標準型より高さが約30cm高く(9.5フィート)、容積を拡大したタイプです。同じ長さと幅のままで内部の容積が約12~13%増えており、多くの貨物を積載できます。軽量でかさばる貨物や背の高い荷物の輸送に特に適しています。

海上コンテナの構造と寸法

  • 海上コンテナは次の部品で構成されます。
    • コーナーキャスト(Corner Castings):上下面8か所に設置された金属ブロック。クレーン吊りや固定用。
    • コーナーポスト(Corner Posts):縦方向の補強柱。
    • クロスビーム・レール(Cross Beams / Rails):床面・天井・側面を補強。
    • フロア(Floor):合板またはスチール製でフォークリフト対応。
    • ドア(Doors):片側または両側開閉式で、シール付き。

主な寸法(ISO規格)

  • 海上コンテナの寸法は次のとおりです。
    • 20フィート(20FT)コンテナ 約6.06m × 2.44m × 2.59m 約33ml 約24,000kg
    • 40フィート(40FT)コンテナ 約12.19m × 2.44m × 2.59m 約67ml 約30,480kg
    • 40フィートハイキューブ 約12.19m × 2.44m × 2.89m 約76ml 約30,480kg

海上コンテナと法律

海上コンテナの輸送には、様々な法律や規制が関係しています。

道路法・車両制限令

コンテナを積載した車両の高さ、長さや重量が基準を超える場合は、特殊車両通行許可(国土交通大臣または都道府県知事)が必要になります。

海上コンテナをトレーラー(シャシ)に載せて公道を走行する際、長さ、幅、高さ、総重量が一般車両の基準(たとえば、長さ12m、幅2.5m、高さ3.8m、総重量20tまたは25t)を超えることがあります。

40フィートコンテナは、車長が約16.5mを超えることが多く、許可申請が必要になります。

貨物自動車運送事業法

他人の貨物を有料で運送する場合は、「一般貨物自動車運送事業許可」または「第一種利用運送事業登録」が必要です。

一般貨物自動車運送事業許可、いわゆる運送業許可とは、トラックなどの普通車両を使って、運賃を得て荷物を運ぶ事業を営むために必要な国土交通大臣の許可です。この許可がないと、他人から荷物の運送を請け負い、対価を受け取って事業を行うことはできません。

第一種利用運送事業登録とは、荷主と実運送事業者(トラック、船舶、航空、鉄道など)の間に立って、運送の「手配」を行う事業で、特定の輸送手段のみを利用する事業のことです。

港則法・海上運送法

港湾区域内での積み替え・保管・輸送では、港湾管理者の許可や海上運送事業法上の届出が関わる場合があります。

危険物船舶運送および貯蔵規則

危険物を含むコンテナは、この規則に基づくラベル表示・区画管理が必要です。

海上コンテナの国内保有台数

海上コンテナの「保有台数」は、国内外の船会社やリース会社が所有するものであり、その正確な国内流通台数を公的に集計したデータは存在しませんが推計では出てるものもあります。

日本国内で使用されている海上コンテナは、国際コンテナ(外国船会社所有)と国内専用コンテナ(JR貨物・国内船会社・物流事業者所有)に分かれています。

国際海上コンテナ:約50万台以上、国内専用コンテナは約20万台程度と推計されていますが、年々老朽更新やリユース用途(倉庫・事務所コンテナなど)も増えています。

リース会社や港湾ターミナルが所有するコンテナも多く、国内保有数の正確な統計は船社団体(日本船主協会)などの資料を参照するのが一般的です。

海上コンテナの免許

海上コンテナを扱う上で関係する「免許」や「資格」には次のようなものがあります。

一般貨物自動車運送事業許可

他人の依頼で有償輸送を行う場合に必要です。国土交通省の許可制です。

第一種利用運送事業登録

他社車両を利用してコンテナ輸送を手配する場合に必要になります。

特殊車両通行許可

40FTなどでコンテナを積載した車両が制限値を超える場合に必要です。

港湾労働者派遣・荷役業許可

港湾区域内で荷役作業を行う場合に必要になります。

フォークリフト運転技能講習修了

コンテナ貨物の積み下ろしに使用する機械操作に必要になります。

Q&A

まとめをかねてQ&Aをつくりました。参考にしてください。