次のPDFは全ト協の国土交通省道路局へ特殊車両通行制度に関する要望です。
https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/20251224yobo.pdf
全日本トラック協会は令和7年12月24日(水)、国土交通省の沓掛 道路局長へ特殊車両通行制度に関する要望を行いました。
要望には内宮昌利部会長(重量部会)、宮地高照部会長(鉄骨・橋梁部会)、三村文雄部会長(鉄鋼部会)が出席し、「特殊車両通行制度に関する要望書」を手交しました。
(全ト協の公式ホームページからの引用です)
このPDFは、公益社団法人全日本トラック協会(JTA)が国土交通省道路局長宛に提出した「特殊車両通行制度に関する要望書」(令和7年12月24日付)です。これは現状の特車を含む物流問題の大きな課題であり、重要なことが書かれていますので、この要望の要約、背景、現状の制度の問題点、今後の方向性について分かりやすく整理して解説します。
重量D条件と寸法C条件
まず、ここで問題となっている現状の制度の要点を解説しておきます。
重量や幅が大きい特殊車両(重量D条件・幅3m超の寸法C条件)は、交通安全と渋滞緩和のため夜間(21時~翌6時)のみ通行可能となる制約があります。
たとえば、重量D条件(D条件)は、特殊車両通行許可において、橋梁などの耐荷力が低い箇所を通行する場合の「最も厳しい」制限になっています。徐行、連行(複数台での同時通過)禁止、前後の誘導車配置、隣接車線への他車進入禁止の状態で、原則として21時~6時の夜間に通行することが義務付けられています。この「21時~6時の夜間に通行すること」がここで課題となっています。
寸法C条件とは、特殊車両通行許可において、車幅や長さが大きく狭隘(きょうあい)な道路や交差点を通過する際に課される通行条件。具体的には、「徐行」「連行禁止」、そして「誘導車(前後または前方/後方)を配置」して通行することが義務付けられる厳しい条件になっています。
特殊車両通行許可とは、幅2.5m、長さ12m、高さ3.8m、総重量20t(一部25t)の「一般的制限値」を超える特殊な車両が、道路を通行する際に道路管理者(国、自治体など)から許可を得る制度です。
重さに関する通行条件
特殊車両の通行条件(A・B・C・D)は、通行許可申請において重量や寸法に基づき課される安全ルールです。Aが最も軽微で、BからCからDとすすむにつれて、「徐行」「連行禁止」「誘導車配置」「2車線内1台通行」など、厳しい規制が追加されます。大型で重い車両が、橋などを安全に渡るためのルールです。
A条件:特別な条件を付さない。ルールは何もなく、自由に通行できます。
B条件:徐行しなければなりません。B条件が付与された橋梁などを通行する場合は、徐行が必要です。
C条件:「徐行+連行禁止+後方誘導車」が必要になります。
D条件:夜間通行(原則21時~翌6時)に制限されます。
寸法(幅・長さ等)に関する通行条件
車体が大きい車両が、狭い道や小さい交差点、見通しの悪いカーブを安全に通行するためのルールです。
A条件:条件はありません。
B条件:狭い場所やカーブでは徐行しなければなりません。
C条件:徐行と前方誘導車が必要になります。なお、寸法(幅)がC条件と判定されて、なおかつ車両の幅が3mを超える車両は夜間通行(原則21時~翌6時)となります。

全日本トラック協会の要望
全日本トラック協会は、トラック運送事業者にとって重要な制度である特殊車両通行制度(許可/確認制度)について、次のような改善を国土交通省に強く要望しています。
公益社団法人全日本トラック協会(全ト協)は、全国約6万3,000社のトラック運送事業者を代表する中央団体です。運送事業の適正運営、公正な競争、健全な発展、そして社会的・経済的地位の向上を目的とし、交通安全対策や環境保全、労働環境の改善に取り組んでいます。
全ト協の主な要望事項
通行条件の緩和
夜間(21時~6時)の通行条件の緩和を求めています。夜間(21時~6時)の通行条件・制限がドライバーの拘束や業務効率低下、ひいてはドライバー不足の要因になっている旨を指摘しています。
早朝に到着しても、荷降ろし後に空車となった車両が夜21時まで出発できず、ドライバーを長時間拘束せざるを得ません。働き方改革を政府が推進しているにもかかわらず、このことが問題となります。
目的地周辺に大型車両の待機場所がないため、路上駐車を余儀なくされるなど、法令遵守が極めて困難な状況となっています。特車は普通のトラックの場所には駐車できません。
重量や寸法による制限をさらに緩和して、目的地付近での待機場所確保を荷主へ指導すること、および昼間の運行許可範囲を拡大することが強く要望されています。
制度の利用促進・簡素化
平成4年4月から始まった特殊車両通行確認制度の利便性向上と普及促進を強く求めていますが、通行許可手続きの簡素化・迅速化、特に電子化・オンライン化を要望しています。かなり社員の事務負担がかかっている背景があります。
手数料引き下げ、道路情報便覧への収録路線の拡充(市区町村道等)、および重要物流道路の特車ゴールド対象化も求めています。すべての道路がまだ、特車ゴールドの対象にはなっていません。
特車ゴールド制度(正式名称:ETC2.0装着車への特殊車両通行許可簡素化制度)は、業務支援用ETC2.0車載器を搭載した車両で、特殊車両通行許可の更新・申請をオンラインで簡素化する制度です。大型車誘導区間内であれば、事故や災害時の迂回が可能になり、更新手続きもワンクリックで完了できるため、物流効率化に大きく貢献します。
道路情報の充実
出発地から目的地までこの制度だけで完結できるように、国や自治体を含めた道路情報便覧への即時収録・更新をすすめることも要望しています。
許可条件の拡大
一部の優遇措置の対象車両や区間の拡大(特車「ゴールド制度」など)と車両の最大許可範囲や誘導条件の柔軟化も要望しています。

要望の背景
トラック物流の社会的役割
トラック運送は、地域の暮らしや経済活動を支える基幹的な物流サービスであり、特に災害時の緊急輸送などライフラインとして不可欠な役割を果たしていますが、トラック業界では深刻なドライバー不足や働き方改革の影響の中で、業務効率の向上が社会的要請となっています。
大きな問題として深刻な労働力不足があります。ドライバーの高齢化と若年層の離職が進み、人材確保が困難な状況にあります 。また令和6年6月に成立した改正事業法などに基づき、荷待ち時間の削減や賃上げ、労働環境の向上が急務となっています。人材確保ができないために倒産する運送業者が増えています。
現行制度下の課題
現在の道路網では、大型・特殊車両が制限値(寸法・重量)を超える場合に通行許可が制度的に必要ですが、その手続き負担が大きいことが、事業者の物流効率化にとって大きな負担になっています。
また、国土交通省がすすめるデジタル道路情報の整備(道路情報便覧への収録)は一部区間ですすんでいるものの、 全国的で即時的な展開には課題が残っています。
デジタル道路情報の整備とは、現実の道路網(道路の形状、位置、属性、規制情報など)をコンピューターで扱えるデジタルデータとして構造化・データベース化し、維持管理、計画、利用の最適化を図る取り組みです。
現行制度の問題点
現状の特殊車両通行制度について、次の問題点があげられます。
手続きの複雑さと時間負担
特殊車両通行許可制度は申請から審査そして回答まで時間を要するケースが多くて、特車通行確認制度の普及はすすんでいるものの、手数料や操作性など利用者負担も課題になっています。
条件設定が運用効率に影響
夜間通行条件などがドライバーの拘束時間を増加させるなど、労働環境にも影響を及ぼしています。
データ・情報整備の遅れ
通行可能経路のデータが全道路に整備・更新されておらず、制度だけでは出発地から目的地まで通行確認が完結しないことがあります。
制度の対象車両・区間の限定
厳格な制限値や対象区間の限定があるために、実際には通行できる車種・区間であるにもかかわらず、許可手続きが必要なケースがあって効率性を阻害しています。
今後の方向性と整理
デジタル化・オンライン化の加速
行政のデジタル化方針(道路情報便覧の電子化、オンライン申請の強化など)と連動して、申請・審査プロセスの迅速化が必要になっています。
全国の道路・自治体の道路を含めた情報整備がすすむことで、特殊車両通行の確認がシームレスになります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させることによって、市区町村道を含めた道路情報のデジタル化がすすめば、申請手続きがより迅速かつ簡便になります 。
制度の条件見直しと柔軟な運用
ドライバー不足や働き方改革への対応として、夜間条件などの柔軟化や、許可条件そのものの見直しが求められています。
運用のの柔軟化が必要です。通行時間帯の緩和や昼間運行の拡大によって、ドライバーの拘束時間が短縮され、より健全な労務管理が可能になります。



