Gマークは、トラック運送事業者の安全性を事業所単位で評価し、一定の基準を満たした事業所を「安全性優良事業所」として認定する制度です。
特殊車両を運行する事業者も取得でき、取引先への安全性のアピールに加えて、一定の要件を満たす場合には、特殊車両通行許可の有効期間が最長4年間に延長されるなどのメリットがあります。
この記事では、Gマークの概要や取得要件、メリット、申請方法について、特殊車両を運行する事業者に関係するポイントを交えて解説します。
Gマーク制度の最新情報や詳しい内容については、全日本トラック協会の「Gマーク制度について」をご確認ください。
Gマークとは?(安全性優良事業所認定制度)
Gマーク制度とは、公益社団法人全日本トラック協会が実施する「貨物自動車運送事業安全性評価事業」の認定制度です。
トラック運送事業者の交通安全への取り組みなどを事業所単位で評価し、一定の基準を満たした事業所を「安全性優良事業所」として認定します。認定を受けた事業所に交付されるシンボルマークが、Gマークです。
この制度には、利用者が安全性の高いトラック運送事業者を選びやすくするとともに、事業者全体の安全性向上への意識を高める目的があります。
Gマークは全国の多くのトラック運送事業所に普及しており、運送事業者の安全性を示す目安として広く活用されています。
全日本トラック協会の資料によると、Gマーク認定事業所の事業用トラックは、未認定事業所と比較して、重傷・死亡事故の割合が30%以下となっています。
Gマークは、事業所が安全性向上に取り組んでいることを示す一つの目安といえるでしょう。
特殊車両を扱う事業者もGマークを取得できる?
特殊車両を運行している事業者であっても、要件を満たせばGマークを取得できます。
全日本トラック協会が実施しているGマーク(安全性優良事業所認定制度)は、特殊車両や大型トレーラーなど、個々の車両を対象に認定する制度ではありません。法令の遵守状況、事故や違反の状況、安全性向上への取り組みなどを事業所単位で評価する制度です。
そのため、特殊車両を保有・運行していることだけを理由に、Gマークを取得できないということはありません。
特殊車両を扱う事業者は不利になる?
特殊車両を扱っていること自体が、Gマークの評価で不利になるわけではありません。
ただし、Gマークでは法令の遵守状況や事故・違反の状況などが評価されます。重大事故や行政処分、点呼の未実施などがある場合は、評価に影響する可能性があります。
特殊車両を運行する事業者は、特殊車両通行許可の取得だけでなく、許可された経路や通行条件、有効期間などを適切に管理することが大切です。無許可通行や重量超過、許可条件に違反した通行を防ぐため、社内の確認体制や運転者への周知も行いましょう。
特殊車両通行許可に関する違反については、特殊車両の取り締まり・罰則でも詳しく解説しています。
Gマークを取得するメリット
Gマークを取得すると、事業所の安全性を客観的に示せるほか、一定の要件を満たすことで、特殊車両通行許可の有効期間延長などの優遇措置を受けられます。
安全性を客観的に示せる
Gマークは、一定の安全性評価基準を満たした事業所であることを示すシンボルマークです。
車両や営業所などにGマークを掲示することで、安全性の向上に取り組んでいる事業所であることを、荷主や取引先に分かりやすく伝えられます。
荷主や取引先からの信頼につながる
運送会社を選定する際、安全性や法令遵守への取り組みを重視する荷主もいます。
Gマークを取得していることは、安全管理に取り組む事業者であることを示す判断材料の一つとなり、荷主や取引先からの信頼向上につながります。
社内の安全意識を高められる
Gマークの取得に向けて安全管理体制や社内の取り組みを見直すことは、運転者や従業員の安全意識を高めるきっかけにもなります。
取得後も継続して安全対策に取り組むことで、事業所全体に安全を重視する意識が定着しやすくなります。
Gマーク認定事業所が受けられる優遇措置

Gマーク認定事業所には、国土交通省や全日本トラック協会、損害保険会社などによる優遇措置が設けられています。
特殊車両を扱う事業者にとっては、一定の要件を満たす場合に、特殊車両通行許可の有効期間が延長される点も大きなメリットです。
国土交通省からの優遇措置
Gマーク認定事業所には、国土交通省による次のような優遇措置があります。
- 違反点数の消去
違反点数の付与後2年間、新たな違反点数が付与されなかった場合、通常3年間となっている違反点数の付与期間が短縮されます。 - IT点呼の導入
国土交通大臣が定める要件を満たすことで、営業所間などでIT機器を利用した点呼を実施できます。 - 点呼に関する優遇
一定の運行形態や条件を満たす場合、他営業所や同一敷地内のグループ企業間での点呼が認められます。 - 安全性優良事業所表彰
Gマークを10年以上継続して取得しているなど、一定の基準を満たす事業所は表彰の対象になります。 - 基準緩和自動車の認定の有効期間延長
基準緩和自動車が適切に運行されている場合、緩和の継続認定における有効期間が延長されます。 - 特殊車両通行許可の有効期間延長
一定の要件を満たす優良事業者の車両は、特殊車両通行許可の有効期間が最長4年間に延長されます。 - 特定技能外国人の受け入れ
自動車運送業分野で特定技能外国人を受け入れる際の要件の一つとして、Gマークの取得が定められています。
各優遇措置を利用するには、それぞれ所定の要件を満たす必要があります。特に、特殊車両通行許可の有効期間は、Gマークを取得しただけで自動的に4年間になるわけではありません。対象となる車両や適用要件、特車申請について確認したい場合は、行政書士法人アラインパートナーズへお問い合わせください。
全日本トラック協会からの優遇措置
都道府県トラック協会の会員事業者を対象とした助成事業について、予算の範囲内でGマーク認定事業所への優遇措置を設けています。
- ドライバー等安全教育訓練促進助成制度
特別研修の受講料に対する助成が、通常の7割から全額に増額されます。 - 安全装置等導入促進助成事業
遠隔点呼で使用する携帯型アルコール検知器について、1台につき費用の2分の1、上限2万円の助成を受けられます。 - 経営診断・経営改善支援・運賃交渉支援事業
経営診断や経営改善、運賃交渉に関する支援について、通常よりも助成額が増額されます。 - 自動点呼機器導入促進助成事業
自動点呼機器の導入台数や助成額の上限について、通常よりも優遇されます。
助成内容や対象となる機器、適用条件は変更される場合があります。利用を検討する際は、所属する都道府県トラック協会へ最新情報をご確認ください。
損保会社等
一部の損害保険会社や交通共済では、Gマーク認定事業所を対象に、運送保険などの保険料を割り引く制度を設けています。
対象となる保険や割引率、適用条件は損害保険会社や交通共済によって異なるため、詳細は契約先へご確認ください。
Gマークの取得要件
Gマークを取得するには、申請資格を満たしたうえで、安全性に関する評価を受け、認定要件をすべて満たす必要があります。
申請資格や評価基準は変更される場合があるため、実際に申請する際は、申請年度の案内を確認しましょう。
Gマークの申請資格
新規申請を行う事業所は、主に次の申請資格を満たす必要があります。
- 申請基準日時点で、事業開始後3年を経過していること
- 配置する事業用自動車が5両以上あること
- 認定の取消しなどを受けた場合は、定められた欠格期間を経過していること
Gマークは事業者全体ではなく、営業所などの事業所単位で申請します。
安全性評価で一定の点数を得ること
Gマークでは、次の3項目について安全性が評価されます。
- 安全性に対する法令の遵守状況
- 事故や違反の状況
- 安全性に対する取り組みの積極性
100点満点のうち合計80点以上を得ることに加えて、それぞれの評価項目でも一定の基準点を満たす必要があります。
法令に基づく手続きを適切に行っていること
貨物自動車運送事業に関する認可や届出、報告などを適切に行っていることも認定要件の一つです。
確認される手続きには、次のようなものがあります。
- 事業所や営業所の名称・位置に関する届出
- 車両数や車両の種類に関する届出
- 自動車事故報告書の提出
- 事業報告書や事業実績報告書の提出
- 運行管理者や整備管理者の選任・届出
必要となる項目は申請年度によって異なる場合があるため、最新の申請案内を確認する必要があります。
社会保険・労働保険へ適切に加入していること
健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険など、法令に基づいて加入が必要な社会保険・労働保険へ適切に加入していることが求められます。
認定の欠格事由に該当しないこと
重大事故や行政処分などの状況によっては、認定を受けられない場合があります。
評価対象となる期間や認定要件は年度によって異なる可能性があるため、申請前に全日本トラック協会が公表する最新の申請案内を確認しましょう。
Gマーク取得までの申請方法・流れ
Gマークは、全日本トラック協会が提供するWeb申請システムを利用して申請します。申請受付期間や必要書類は年度によって変更される場合があるため、申請年度の案内を確認しながら準備しましょう。
1.申請資格と申請方式を確認する
まずは、事業開始後の年数や事業所に配置する車両数など、Gマークの申請資格を満たしているか確認します。
新規申請と更新申請では手続きが異なり、更新回数や評価状況によって申請方式が分かれるため、自社に該当する方式も確認しておきましょう。
2.Web申請システムで申請書を作成する
全日本トラック協会のWeb申請システムに事業所情報などを入力し、申請書や自認書を作成します。
入力内容を確認したうえで、受付期間内にシステム上で申請手続きを行います。
3.必要な資料を提出する
申請方式に応じて、安全性に対する取り組みを示す資料などを、地方実施機関である都道府県トラック協会へ提出します。
提出方法は窓口や郵送などがありますが、申請方式によって必要書類や提出方法が異なるため、申請案内を確認しましょう。郵送する場合は、受付期間内に必着となる点にも注意が必要です。
4.評価結果の通知を受ける
提出された申請書や資料をもとに、安全性に対する法令の遵守状況、事故や違反の状況、安全性向上への取り組みなどが評価されます。
認定結果は、例年12月頃に通知されます。認定された事業所にはGマークが交付され、全日本トラック協会のWebサイトでも公表されます。
申請時期や必要書類、提出方法などの詳細は、全日本トラック協会のGマーク制度に関する案内をご確認ください。
Gマークに関するよくある質問
- Q特殊車両を扱う事業者もGマークを取得できますか?
- A
はい。Gマークは車両の種類ではなく、事業所の安全管理体制や法令の遵守状況などを評価する制度です。特殊車両や大型トレーラーを運行している事業者でも、要件を満たせば取得できます。
- QGマークがないと特殊車両通行許可を取得できませんか?
- A
いいえ。Gマークを取得していない事業所でも、特殊車両通行許可を申請できます。
ただし、一定の要件を満たすGマーク認定事業所の車両は、特殊車両通行許可の有効期間が延長される場合があります。
- QGマークを取得すると、特殊車両通行許可の有効期間は自動的に4年間になりますか?
- A
いいえ。Gマークを取得しただけで、特殊車両通行許可の有効期間が自動的に4年間になるわけではありません。
Gマーク認定事業所に所属する車両であることに加えて、業務支援用ETC2.0車載器を搭載・登録していることや、一定期間内に違反履歴がないことなどの要件を満たす必要があります。
- QGマークは会社全体で取得するものですか?
- A
Gマークは、会社全体ではなく営業所などの事業所単位で認定されます。
複数の営業所がある場合、ある営業所がGマークを取得していても、ほかの営業所まで自動的に認定されるわけではありません。
- QGマークは毎年更新する必要がありますか?
- A
毎年更新する必要はありませんが、Gマークの認定には有効期間があるため、継続するには期間満了前に更新申請が必要です。
認定の有効期間や利用できる更新申請方式は、新規認定・更新回数などによって異なります。認定証に記載された有効期間を確認し、余裕をもって更新の準備を進めましょう。
まとめ
Gマークは、トラック運送事業者の安全性を事業所単位で評価し、一定の基準を満たした事業所を「安全性優良事業所」として認定する制度です。
特殊車両を扱う事業者も取得でき、安全性を取引先へ示せるほか、国土交通省や全日本トラック協会などによる優遇措置を受けられます。
一定の要件を満たす車両について、特殊車両通行許可の有効期間が最長4年間に延長されることも、特殊車両を扱う事業者にとって大きなメリットです。ただし、Gマークを取得しただけで自動的に延長されるわけではないため、適用要件を確認して申請する必要があります。
特殊車両通行許可申請は行政書士へご相談ください
行政書士法人アラインパートナーズは、特殊車両通行許可申請を専門に扱う行政書士事務所です。代表行政書士の八木辰男が、ご相談から申請まで一貫して対応いたします。オンラインでの手続きに対応しているため、全国の事業者様からご依頼いただけます。
特殊車両通行許可の有効期間や更新申請、現在の許可内容について確認したい場合は、お気軽にご相談ください。
車両の寸法・重量や通行予定経路を確認し、特殊車両通行許可の申請代行を行っています。必要な手続きの判断に迷う場合は、お問い合わせフォームからご連絡ください。




