大型トラックや重機を使用する運送・建設事業者にとって、特殊車両通行許可は業務継続に必要な欠手続きですが、許可の有効期間が切れたまま道路を走行すると道路法違反となり、罰則の対象になります。
特殊車両通行許可は、道路法第47条の2に基づき、幅・高さ・長さ・重量のいずれかが一般的制限値(幅2.5m、高さ3.8m、長さ12.0m、重量20トン)を超える車両が道路を通行する際に道路管理者から取得しなければならない許可です。
すでに通行許可を取得している事業者の場合の更新申請の仕組み・窓口申請とオンライン申請の違い・必要書類・自治体ごとの対応の違い・注意点を、国土交通省・全日本トラック協会などの公式情報をもとに詳しく解説します。
特殊車両通行許可の有効期間と更新申請
有効期間
特殊車両通行許可の有効期間は、申請内容によって異なりますが、一般的なケースでは最大2年間が上限です。通行回数や車両・積載物の条件によっては最短1日となるケースもあります。
なお、平成31年4月1日以降、一定の条件を満たした場合に有効期間を最大4年間(一部の申請は最大2年)に延長できる制度が導入されています。
- 延長を受けるためには次の書類を申請時に追加提出する必要があります。
- 業務支援用ETC2.0車載器の登録をしていることを示す書類
- 違反履歴(過去2年以内)がない事業所の車両であることを示す書類
- 全日本トラック協会による安全性優良事業所認定書(Gマーク)の写し
更新申請
更新申請とは、すでに通行許可を受けている申請のうち、通行期間のみを延長したい場合に行う手続きのことです。通行経路や車両諸元に変更がなく、単純に期間を延ばしたいときに利用します。
審査期間は、道路管理者が申請を受理した日から約2週間以内が標準的な処理期間とされていますが、申請内容によってはさらに時間を要することもあるため、有効期限の1~2か月前には申請を行うのが望ましいです。
変更申請
車両や経路に変更が生じる場合は「変更申請」が必要になります。すでに取得した許可の内容(期間以外)を変えたい場合の手続きです。
- 変更申請が必要になるケースは、次のとおりです。
- 会社名・代表者名の変更
- 車両のナンバー変更のみ(諸元変わらず)
- 車両を同じ車種・軸種のものに入れ替え
- 車両台数を減らす
- 包括申請でトレーラーを増車
- 災害等で経路が通れなくなり別経路に変更
トラック・トラクタを増車する場合は、新規申請が必要です。車両の軸種が変わる変更も新規申請が必要になります。
軽微な変更申請
「軽微な変更申請」という特別区分があります。令和元年7月から、既に許可を受けた通行経路について、新たに単車・トラクタ・トレーラの台数を追加しようとする申請で、追加後の車両諸元の合成値が既存の許可値と同一であるものは「軽微な変更申請」として優先的に処理されます。所要日数は5日以内。
ナンバー変更のみや申請者情報の変更なども軽微な変更とされており、許可期間・車両諸元の変わらない車両変更(ナンバーのみの変更)・申請者情報の変更などは優先的に処理がされますので、1週間程度で許可証が取得できます。
また、軽微な変更申請は審査が不要なため申請手数料もかかりません。
通常の変更申請の審査期間の場合、変更申請の申請期間は、道路管理者が申請を受理した日から約3週間以内が目安です。更新申請より1週間程度長くなってます。車両・経路の変更を伴う場合は通行条件が変わるため、新規申請と同様の審査が必要になります。
- 同一窓口での経路変更の必要書類は次のとおりです。
- 特殊車両通行許可・認定申請書
- 通行経路表・通行経路図・付近図
- 軌跡図(超寸法車両の場合のみ)
- 新規申請後に許可を受けた許可証・条件書・付随書類の写し
- その他、道路管理者が必要とする書類
- 同一窓口での会社名・申請者情報変更の必要書類は次のとおりです。
- 特殊車両通行許可・認定申請書
- 新規申請後に許可を受けた許可証・条件書・付随書類の写し
- その他、道路管理者が必要とする書類

オンライン申請と窓口申請
申請方法は「オンライン申請」と「窓口申請」の2種類があります。
オンライン申請
国土交通省が運営する「特車ポータルサイト(特殊車両通行許可オンライン申請システム)」を使って、インターネット上で申請書の作成から提出、許可証の受け取りまでを完結させる方法です。
平成16年3月より国土交通省管轄の国道事務所から運用が開始され、その後、都道府県・政令市・高速道路会社へと対応が拡大してきました。
- オンライン申請の主なメリットは次のとおりです。
- 24時間いつでも申請が可能(窓口受付時間に縛られない)
- 個別審査がない場合、許可証発行まで最短3?4日に短縮される
- 申請窓口へ出向く必要がなく、自宅・会社から申請・許可証受け取りが可能
- 過去の申請データを再利用できるため、2回目以降の申請書作成が容易
- 申請前に通行条件を事前確認できる
- 申請書はシステムの案内に沿って作成できるため、手書き不要
オンライン申請の手順の流れは次のとおりです。
- 特車ポータルサイトでID・パスワードを取得し、利用者登録(またはGビズIDでログイン)を行う
- システムにログインし、車両情報・積載貨物・通行経路などの申請情報を入力する
- 必要書類をPDFデータ化してアップロードする(添付ファイルは1申請あたり最大50MBまで)
- 申請を送信する(申請窓口は、申請経路の起終点を管轄する地方整備局・事務所を指定する)
- 審査完了後、手数料の通知を受け取り、クレジットカード等でオンライン決済する
- 電子データ(PDF)で許可証が交付される(紙に印刷して車両に携帯)
窓口申請
申請者本人またはその代理人が、道路管理者(国道事務所・都道府県庁の担当課・市区町村)の窓口に直接出向いて申請書と必要書類を提出する方法です。従来はフロッピーディスクで申請データを提出していたのでFD申請とも呼ばれます。
- 窓口申請の主な特徴は次のとおりです。
- 新規格車など一部の車両は原則窓口申請のみとなる場合がある
- 担当者に直接相談しながら手続きを進められる
- 許可証は窓口で受け取るか、返信用封筒(レターパック等)で郵送してもらう
- 許可証発行までの標準期間は約3週間(個別審査・協議が発生する場合)
オンライン申請と窓口申請の比較
| 項目 | オンライン申請 | 窓口申請 |
|---|---|---|
| 受付時間 | 24時間365日 | 窓口の開庁時間内のみ |
| 申請場所 | 自宅・会社等どこでも | 道路管理者の窓口に直接出向く |
| 許可証の受け取り | 電子データ(PDF)でダウンロード | 窓口受け取り or 郵送 |
| 審査期間(目安) | 最短3~4日(個別審査なし) | 約3週間(標準処理期間) |
| 使用できる車両 | 大型特殊車両等が主(新規格車は原則不可) | すべての車両 |
| 手数料支払い方法 | クレジットカード等オンライン決済 | キャッシュレス決済・現金等(自治体による) |
- なお、オンライン申請ができない主なケースは次のとおりです。
- 新規格車(増トン車):幅・高さ・長さが一般的制限値を超えず、総重量のみ20?25トンの範囲で超える車両は、原則オンライン申請が利用できません
- 申請経路が道路情報便覧に収録されていない未収録道路を含む場合
- 車両の諸元が算定要領の範囲外で個別審査が必要な場合
- 国道事務所管轄の国道を経由しない(県道・市道のみを通行する)場合
更新申請に必要な書類
窓口申請(更新)の必要書類
同一窓口での更新申請の場合、変更のない付属書類の提出を省略できます。
- 窓口申請(更新)では以下の書類が必要です。
- 特殊車両通行許可・認定申請書(様式1・2)
- すでに交付されている許可証・条件書や付随する書類の写し
- その他、道路管理者が必要と認める書類
なお、新規申請とは別の窓口で更新申請を行う場合は、新規申請と同様の書類がすべて必要になります。
- 異なる窓口での更新申請(新規申請)に必要な書類は次のとおりです。
- 特殊車両通行許可申請書(様式1・2)
- 自動車車検証の写し
- 車両の諸元に関する説明書(新規格車は不要)
- 新規開発車両設計製作基準適合証明書の写し(該当車両のみ)
- ディーゼル車規制適合証明書の写し(該当エリア・該当車両のみ)
- 通行経路表
- 経路図(通行経路を示した地図)
- 出発地および目的地付近の地図
- 軌跡図(セミトレーラ・フルトレーラの場合)
- トラック・トラクタ・トレーラ内訳書(包括申請の場合のみ)
- その他、道路管理者が必要と認める書類(未収録道路地図・運行計画書等)
申請窓口の種類と自治体ごとの違い
特殊車両通行許可の申請窓口は、通行する道路を管理している道路管理者によって異なります。
申請窓口の種類
| 道路の種類 | 申請先 |
|---|---|
| 国が管理する一般国道 | 各地方整備局・国道事務所(直轄国道) |
| 高速道路 | 各高速道路会社(NEXCO東日本・中日本・西日本等)を通じてオンライン申請 |
| 都道府県が管理する道路 | 各都道府県の担当課(建設事務所・土木事務所・道路管理課等) |
| 政令指定都市が管理する道路 | 各政令市の担当課 |
| 市区町村が管理する道路 | 各市区町村の担当窓口 |
複数の道路管理者の管理道路をまたいで通行する場合は、いずれか一つの窓口(原則として国道事務所か都道府県)に申請すれば、他の道路管理者への協議を含め一括して処理されますが、指定市以外の市町村は、他の道路管理者の審査を要する申請を受け付けることができません。
更新申請の注意点
必ず新規申請と同じ窓口に申請する
更新申請では、新規申請を行った窓口と同じ窓口に申請することで、変更のない付属書類の提出を省略できます。異なる窓口で申請した場合は新規申請と同等の書類が必要になり、手間が大幅に増えてしまいます。
有効期限切れに注意する
審査期間は約2週間が目安ですが、内容によってはそれ以上かかることがあります。有効期限が切れる1~2か月前には更新申請を行うようにします。有効期限切れ後の走行は道路法違反になります。
申請窓口の提出先を正しく選択する
令和5年5月以降、国土交通省は「申請経路の起終点等を管轄する地方整備局及び事務所を指定してください」と明示しています。事業所所在地以外や通行経路を管轄しない窓口を選ぶと、審査に時間を要し、許可証の発行が大幅に遅れる可能性があります。
経路・車両に変更がある場合は「変更申請」
更新申請はあくまで「期間の延長」のみが目的の申請です。通行経路や車両諸元に変更が生じた場合は、更新ではなく変更申請(または新規申請)が必要となります。
道路法適用外道路(農道・林道・私道等)は審査対象外
農道・林道・私道・港湾道路など、道路法が適用されない道路は審査対象外です。これらの道路を経由する場合は、それぞれの管理者から別途通行許可を取得する必要があります。
参考・引用元
国土交通省「特殊車両通行制度について
国土交通省 特車ポータルサイト
国土交通省 関東地方整備局「特殊車両通行許可制度について」
全日本トラック協会「特殊車両通行許可制度等について



