岡山県においても運送業をはじめ、製造業、建設業、設備工事業など、さまざまな産業で大型車両による輸送が行われています。
特に倉敷市の水島臨海工業地帯は、鉄鋼、石油精製、石油化学、自動車などの産業が集積する岡山県を代表する工業地帯ですが、隣接する水島港も、こうした産業を支える国際拠点港湾として、大量の貨物を取り扱っています。
そのために岡山県では、一般的なトラックだけでなく、大型のトレーラーや重量物、工場設備、建設機械などを輸送する機会もあります。
車両の幅・長さ・高さ・総重量などが道路法上の一般的制限値を超える場合には、原則として特殊車両通行許可が必要です。岡山県も、幅2.5m、長さ12m、高さ3.8m、総重量20t等のいずれかを超える車両について、特殊車両通行許可が必要と案内しています。
岡山県の物流・製造業・建設業などで、どのような場面で特殊車両通行許可が必要になるのか?、また、申請を行政書士に依頼する場合のポイントについて解説します。
岡山県ではなぜ特殊車両による輸送が必要になるのか
岡山県の物流を考えるうえで、重要な地域の一つが倉敷市の水島臨海工業地帯です。
岡山県によると、水島臨海工業地帯は県の産業・経済に大きなウェイトを占めており、2025年8月1日時点の工業立地の状況や事業所数、従業者数、製造品出荷額などがまとめられています。
また、国土交通省中国地方整備局の宇野港湾事務所によると、水島港は高梁川河口に位置する国際拠点港湾で、背後には鉄鋼、石油精製、石油化学、自動車などの産業が立地しています。
こうした産業では、原材料や製品だけでなく、工場設備、機械、資材などを輸送することがあります。
輸送する貨物や使用する車両によっては、一般的なトラックの大きさ・重量を超えることがあり、特殊車両通行許可が必要になるケースがあります。
水島臨海工業地帯・水島港周辺で考えられる特殊車両輸送
水島地域では、製造業や港湾物流に関連するさまざまな貨物輸送が行われています。
- 次のような輸送では、車両や積載物の条件によって特車通行許可が必要になる可能性があります。
- 工場設備・大型機械の輸送
- 大型タンクなどの設備輸送
- 鉄鋼関連製品の輸送
- 大型プラント設備の輸送
- 大型トレーラーによる重量物輸送
- 工場・倉庫への大型機械搬入
- 建設現場への大型建設機械の輸送
もちろん、貨物の種類だけで特殊車両に該当するかどうかが決まるわけではありません。実際には、車両の幅、長さ、高さ、総重量、軸重などを確認し、通行する道路の条件を踏まえて判断する必要があります。
岡山県「水島臨海工業地帯の現状」
水島臨海工業地帯の産業、事業所、従業者、製造品出荷額、基盤整備などについて、岡山県が毎年度公表している資料です。
水島工業地帯が位置する倉敷市の製品出荷額は約5.8兆円で岡山県全体の60.1%を占め、県内の重要な生産拠点の一つになっています。
国土交通省中国地方整備局 宇野港湾事務所「みなとの紹介」
水島港について、港湾の特徴や背後にある水島臨海工業地帯、鉄鋼・石油・石油化学・自動車などの産業について紹介されています。
特殊車両通行許可申請とは
特殊車両通行許可とは道路法上の一般的制限値を超える車両を道路上で通行させる場合に、道路管理者から受ける許可です。
根拠となるのは道路法と車両制限令で、国土交通省も「政令で定める最高限度を超える車両を通行させようとする者」を特殊車両通行許可申請の対象者としています。
- 特車申請の代表的な一般的制限値(最高限度)は次のとおりです。
- 幅:2.5m
- 長さ:12.0m
- 高さ:3.8m
- 総重量:20t
これらの基準を超える場合は、特殊車両通行許可申請が必要になる可能性がありますので、大型トレーラー、重量物運搬車、建設機械を運搬する車両などでは、特殊車両通行許可が必要になる場合が多くあります。
車両制限令からの引用です。
第二章 道路との関係において必要とされる車両についての制限
(車両の幅等の最高限度)
第三条 法第四十七条第一項の車両の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、次のとおりとする。
一 幅 二・五メートル
二 重量 次に掲げる値
イ 総重量 高速自動車国道又は道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路を通行する車両にあつては二十五トン以下で車両の長さ及び軸距に応じて当該車両の通行により道路に生ずる応力を勘案して国土交通省令で定める値、その他の道路を通行する車両にあつては二十トン
ロ 軸重 十トン
ハ 隣り合う車軸に係る軸重の合計 隣り合う車軸に係る軸距が一・八メートル未満である場合にあつては十八トン(隣り合う車軸に係る軸距が一・三メートル以上であり、かつ、当該隣り合う車軸に係る軸重がいずれも九・五トン以下である場合にあつては、十九トン)、一・八メートル以上である場合にあつては二十トン
ニ 輪荷重 五トン
三 高さ 道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路を通行する車両にあつては四・一メートル、その他の道路を通行する車両にあつては三・八メートル
四 長さ 十二メートル
五 最小回転半径 車両の最外側のわだちについて十二メートル

岡山県「特殊車両の通行許可について」
岡山県が公開している特殊車両通行許可の公式案内です。特殊車両の定義、申請先、必要書類、手数料などを確認できます。
岡山県「手続きのご案内(道路)」
特殊車両の通行について、岡山県の道路管理に関する手続きがまとめられています。
岡山県内の建設業でも特車申請が必要になるケース
特殊車両通行許可が関係するのは、運送業者だけではありません。
建設業者や設備工事業者が、自社で保有する車両や手配したトレーラーなどで建設機械・資材・設備を運搬する場合にも、特殊車両通行許可が問題になることがあります。
例えば、大型クレーンを工事現場へ運搬したり、建設機械を別の現場へ移動する場合、 大型発電機などを現場へ搬入する、橋梁工事などで大型部材を輸送する、工場建設で大型設備を搬入するとか、道路・造成工事で大型建設機械を運搬するといったケースです。
岡山県では2026年6月1日から2028年5月31日までを適用期間とする建設工事の入札参加資格者名簿も公表されており、県内では多くの建設業者が公共工事などに関わっています。工事の種類や現場によっては、大型の建設機械や資材を現場まで運搬する必要が生じるため、建設業者にとっても特殊車両通行許可は無関係な制度ではありません。
岡山県「建設工事等入札参加資格者名簿」
岡山県の令和8・9年度建設工事等入札参加資格者名簿です。
岡山県内のどの道路を通るかによっても申請が変わる
特殊車両通行許可では、「岡山県内を走るから岡山県に申請すればよい」と単純に決まるわけではありません。通行する道路の管理者を確認する必要があります。
例えば、国が管理する国道と岡山県が管理する県道の両方を通行する場合など、複数の道路管理者にまたがる経路になることがあります。
岡山県は、申請経路が2つ以上の道路管理者にまたがる場合、いずれかの管理者の窓口に申請できると案内しています。
岡山県内だけの輸送であっても、実際の通行経路を確認したうえで申請を行うことが重要です。

岡山県の特殊車両通行許可申請で準備するもの
- 岡山県では、特殊車両通行許可申請にあたり、次のような書類が必要とされています。
- 特殊車両通行許可申請書
- 車両に関する説明書
- 通行経路表
- 経路図
- 自動車検査証の写し
- トラック・トラクタ内訳書
- トレーラ内訳書
実際に必要となる書類や部数は申請内容によって異なるため、最新の岡山県の案内を確認することが重要です。
また、通行経路が複数の道路管理者にまたがる場合には、協議等の経費として手数料が必要になる場合があります。岡山県の案内では、1台1経路につき200円、往復の場合は2経路として400円とされています。
「オンラインで申請できるのに行政書士に依頼する」メリットとは?
特殊車両通行許可は、現在ではオンラインを活用した申請も可能になっています。特殊車両通行許可の申請では、単に申請書に車両情報を入力するだけではなく、申請前の準備が重要になります。
- 特車申請前の準備は次のようなものがあります。
- 車両諸元の確認
- 積載する貨物の確認
- 通行経路の設定
- 道路情報の確認
- 必要書類の準備
- 複数車両を申請する場合の整理
- 許可内容の確認など
運送や建設を行っている事業者にとって、申請そのものに時間をかけるより、本来の業務に集中したいというケースもありますので、そのような場合には、特殊車両通行許可申請を専門とする行政書士に依頼する方法がありますし、そのほうがおすすめです。
岡山県の運送会社・建設会社が特車申請を行政書士に代行依頼するケース
例えば、次のような事業者は行政書士への依頼を検討しやすいでしょう。
新しいトレーラを導入した
車両を新しく導入した場合、その車両に適した通行経路について改めて確認する必要があります。
新しい輸送先が増えた
これまでとは異なる工場や建設現場への輸送が発生すると、新しい経路での許可申請が必要になる場合があります。
建設現場ごとに大型機械を運搬する
建設業者の場合、工事現場が変わるたびに輸送条件が変わることがあります。
複数の車両・トレーラを使用している
車両数が増えるほど、車両諸元やトレーラの組み合わせなどを整理する作業も増えていきます。
こうした場合、特殊車両通行許可申請に詳しい行政書士へ相談することで、申請に必要な情報を整理しやすくなります。
岡山県の特車申請は「車両」と「経路」の両方を確認することが重要
特殊車両通行許可を考えるとき、車両の大きさや重量だけに目が向きがちですが、重要なのは「どの車両で」「どこを通るのか」という2つの条件です。
同じ車両であっても、通行する経路が変われば、確認すべき道路条件も変わる可能性があります。
例えば、「倉敷市の工場から水島港まで」「岡山市から倉敷市の工場まで」「岡山県内の建設現場から別の現場まで」など、具体的な運行経路をもとに考える必要があります。
そのため、特車申請では車検証などの車両資料だけでなく、実際に予定している輸送経路を行政書士に伝えることが大切です。
岡山県の特殊車両通行許可申請を行政書士に代行依頼するなら
特殊車両通行許可は、オンラインで申請できる時代になりましたが、申請に必要な車両情報や経路を整理し、必要な手続きを進めることには一定の知識と手間が必要です。
「初めて特車申請をする」「新しい車両を導入した」「輸送先が増えた」「建設現場への大型機械の搬入が必要になった」「複数の車両について、まとめて申請したい」といった場合には、行政書士に相談する方法があります。
岡山県内の運送会社、建設会社、製造業者などで特殊車両通行許可についてお困りの場合は、当事務所の行政書士法人アラインパートナーズまで代理依頼をご相談ください。
オンラインで必要書類をやり取りし、全国の事業者からの特殊車両通行許可申請に対応しています。まずは、車両の種類、輸送する貨物、出発地・目的地などをお知らせください。




