愛媛県今治市は、造船業や海運業、舶用工業が集積する海事都市として知られていますが、今治市によると、今治市と越智郡を含む圏域には全国有数の造船業や舶用工業が集積しており、造船所の周辺には船舶用機器などを製造する事業所も数多く立地しています。今治市HP
今治港は重要港湾に指定されており、蔵敷地区・鳥生地区は国内物流ゾーン、富田地区は国際物流ゾーンとして整備されています。
このような造船・海運・港湾物流が集積する地域では、船舶や工場に関連する設備、機械、資材などの大型輸送が必要になることが多くあります。
輸送する車両の幅・高さ・長さ・重量などが道路法上の(一般)制限値を超える場合には、特殊車両通行許可が必要です。
今治市の造船業・港湾物流・建設業などに関連して、どのような場面で特殊車両通行許可が必要になるのか、また特車申請で注意したいポイントについて行政書士が解説します。

今治市は「日本最大の海事都市」
今治市は、造船業、海運業、舶用工業が集積する「海事都市」です。
今治市によると、2005年の市町村合併によって海事産業が集積する地域が一つの行政区域となり、全国有数の造船・海運の集積地となりました。
特に造船業については、今治市と越智郡の圏域に全国一の集積があるとされており、2021年度実績では14の造船事業所があり、国内の建造隻数の約18%を占めるとされています。
また、造船所周辺には舶用機器を製造する事業所も集積しており、造船業だけでなく、船舶用機械・機器などを供給する関連産業も形成されています。
このような産業集積は、船そのものを造るだけでなく、造船所や関連工場への資材・機械・設備の搬入、完成品や部品の輸送など、陸上物流とも深く関係しています。
2026年、今治市は造船振興計画を改訂
今治市では、2026年5月に「今治市造船振興計画」を改訂しました。
市の計画では、人口減少や少子高齢化、国際的な環境規制の強化、デジタル技術の進展など、造船業を取り巻く環境が大きく変化していることが指摘されています。
今治の造船業は昔から続く産業というだけではなく、現在も地域経済や雇用を支える重要な産業として、今後の方向性が検討されています。
さらに2026年9月には、国土交通省が今治造船などによる造船能力強化の計画を認定しています。
今治造船、多度津造船、スチールハブの計画について、2026~2034年度に最大約1,138億円の助成対象とされ、造船能力の強化に向けた設備投資などが進められることになっています。
造船所や関連工場の設備投資が進めば、設備・機械・資材などの輸送が発生する場面も考えられます。
こうした大型輸送では、車両の大きさや重量によって特殊車両通行許可が関係することがあります。
今治の造船業と大型輸送
造船所では、船体を建造するために大量の鋼材や機械、船舶用機器などが使用されますし、船舶用機器を製造する関連企業も今治地域に集積しています。
大型の船舶用機器の輸送、大型産業機械の輸送、工場設備の搬入、大型鋼材・構造物の輸送、クレーンなどの大型機械の輸送、造船所や関連工場への設備搬入、工場設備更新に伴う重量物輸送などの輸送が発生する可能性が十分あります。これらの貨物を運ぶからといって必ず特殊車両になるわけではありませんが、実際に使用する車両の幅、長さ、高さ、総重量、軸重などを確認し、道路法上の制限値を超える場合には特殊車両通行許可が必要になります。

今治港は造船・物流を支える重要港湾
今治市には重要港湾である今治港があります。今治港は、今治地区、蔵敷地区、鳥生地区、富田地区の4地区から構成されています。
このうち蔵敷地区・鳥生地区は国内物流ゾーン、富田地区は国際物流ゾーンとされています。特に富田地区には国際物流ターミナルが整備され、韓国・釜山との定期コンテナ航路や神戸との内航フィーダー航路が開設されています。
今治市では、造船・製造業では今治港などの港湾物流はトラック・トレーラーによる陸上輸送という物流のつながりがあります。
港から工場へ、あるいは工場から港へ大型貨物を運ぶ場合には、使用する車両の条件によって特殊車両通行許可が必要になることがあります。
今治港周辺には特殊車両に関係する道路もある
今治市は、特殊車両通行許可制度について独立した案内ページを公開しています。
さらに、国際海上コンテナ車(40ft背高)について、富田臨港線と富田ふ頭線では高さの最高限度が3.8mから4.1mに引き上げられています。対象となるのは、富田臨港線、富田ふ頭線の指定区間です。
このような道路ごとの取り扱いを見ると、特殊車両通行許可では単に「車両が大きいかどうか」だけでなく、「どの車両が」「どの道路を」「どのような条件で通行するのか」を確認することが重要だと分かります。
今治市内で港湾を利用する大型車両やトレーラーを運行する場合には、実際の輸送経路と車両諸元を確認することが大切です。
上記の今治市は、特殊車両通行許可制度について独立した案内を基に特殊車両通行許可について簡単に説明しておきます。
特殊車両通行許可制度について
特殊車両の通行許可とは
車両制限令の最高限度を越える車両を通行させる必要性が生ある場合に、その構造、または車両に積載する貨物の特殊性を審査し、必要上やむを得ないと道路管理者が認める場合に限り、道路の構造を保全し、または交通の危険を防止するために必要な条件を付けて通行を許可するという制度です。
道路法では、車両の寸法・重量に一般的制限値が決められています。一つでも超える車両は、道路管理者の許可(または通行可能経路の確認回答)が必要となります。
| 項目 | 一般的制限値 |
|---|---|
| 幅 | 2.5m |
| 高さ | 3.8m(高さ指定道路は4.1m) |
| 長さ | 12.0m |
| 総重量 | 20t(重さ指定道路は25t) |
| 軸重 | 10t |
| 輪荷重 | 5t |
| 最小回転半径 | 12.0m |
長距離輸送で使うセミトレーラーやフルトレーラーは、長さや総重量が制限を超えることが多く、特車許可の対象になりやすい車両です。
今治市のホームページからの引用です。

特殊車両許可の申請先
通行する経路に国、都道府県、または政令指定都市の管理道路が含まれる場合、国、都道府県、または政令指定都市のいずれかの窓口に申請を行うことで複数の道路の通行許可を一括で取得できます(一括申請をする場合は、国土交通省のホームページをご覧ください。)。
出発地から目的地まで今治市道のみを通行する場合は、今治市維持管理課へ申請してください。
道路管理者は、車両の構造、または車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないと認めるときは、当該車両を通行させようとする者の申請に基づいて、通行経路、通行時間等について、道路の構造を保全し、または交通の危険を防止するため必要な条件を付して、車両制限令(昭和37年7月17日政令第265号)で定める最高限度、または道路法第47条第3項に規定する限度を超える車両の通行を許可することができるとなっています。
(参照先)
特殊車両通行許可制度について(国土交通省)
道路法からの引用です。
(限度超過車両の通行を誘導すべき道路の指定等)
第四十七条の三 国土交通大臣は、道路の構造及び交通の状況、沿道の土地利用の状況その他の事情を勘案して、道路の構造の保全と安全かつ円滑な交通の確保を図るため、限度超過車両の通行(第四十七条の十第三項の回答の内容に従つた通行を除く。以下この項において同じ。)を特定の経路に誘導することが特に必要であると認められる場合においては、当該経路を構成する道路管理者を異にする二以上の道路(高速自動車国道又は指定区間内の国道を含む場合に限る。第六項及び第七項において同じ。)について、区間を定めて、限度超過車両の通行を誘導すべき道路として指定することができる。
今治市で特殊車両通行許可が必要になる基準
- 今治市も車両制限令で定められた特車の一般的制限値として次の基準を示しています。
- 幅:2.5m
- 長さ:12m
- 高さ:3.8m
- 総重量:20t
- 軸重:10t
- 輪荷重:5t
- 最小回転半径:12m
これらの制限値を一つでも超える車両は、特殊車両に該当する可能性があります。
ただし、特殊車両通行許可が必要かどうかは、単純に車両の大きさだけで判断するものではありません。車両の構造や積載する貨物、重量、軸重、通行する道路などを確認する必要があります。
今治市内だけを走る場合でも道路管理者の確認が必要
特殊車両通行許可では、通行経路にどの道路が含まれているかを確認することが重要です。今治市によると、国・愛媛県などの管理道路が経路に含まれる場合には、国・県などのいずれかの窓口に申請することで複数の道路について一括して許可を取得できる場合がありますが、出発地から目的地まで今治市道のみを通行する場合は、今治市維持管理課が申請窓口となります。
今治市内の輸送だから今治市に申請すればよいとは限りません。実際の運行経路を確認し、どの道路管理者が関係するのかを確認することが必要になります。
今治市維持管理課
電話番号:0898-36-1561
メール:ijikanri@imabari-city.jp
〒794-8511 今治市別宮町1丁目4番地1 本庁第2別館9階
今治市の建設業でも特車申請が必要になることがある
特殊車両通行許可が必要になるのは、造船業や運送業だけではありません。今治市内の建設現場へ大型建設機械や資材を運搬する場合にも、車両の大きさや重量によって特殊車両通行許可が必要になることがあります。
例えば、大型クレーンの運搬、大型ショベルカーの運搬、建設用機械の回送、橋梁工事用部材の輸送、大型発電機などの設備搬入、工場・倉庫建設に伴う大型設備輸送、道路工事・造成工事用機械の運搬などです。
今治市では、市が発注する建設工事のほか、愛媛県今治土木事務所も道路や河川などに関する工事・業務の発注予定を公表しています。
工事現場が変われば輸送経路も変わるため、建設業者にとっても特殊車両通行許可の確認が必要になるケースがあります。
今治市で大型輸送を行うときは道路工事にも注意
特殊車両を運行する場合、許可された経路だけでなく、その経路の現在の道路状況にも注意する必要があります。今治市では、市内の道路工事情報を公開しています。
また、国道196号今治バイパスや西瀬戸自動車道など、国・高速道路会社などが管理する道路もあります。
大型・重量物を輸送する場合には、道路工事、通行規制、橋梁の条件、車両の高さ制限、道路幅員、通行時間帯などについて確認することが重要です。
特に大型設備を造船所や工場、建設現場へ運搬する場合は、通常のトラック輸送以上に経路の確認が重要になります。
「オンライン申請できるのに行政書士に依頼する」のはなぜ?
特殊車両通行許可はオンラインで申請できるため、自社で申請することもできますが、特車申請で時間がかかるのは、申請書を提出する作業だけではありません。
例えば、車両諸元の確認、トラクタ・トレーラーの組み合わせ確認、積載物の確認、出発地・目的地の整理、通行経路の選定、道路情報の確認、必要書類の準備、許可条件の確認など、申請前の準備があります。
特に造船・設備・建設関係の輸送では、輸送する貨物や現場によって条件が変わる場合がありますので、普段から運送や建設などの業務を行っている事業者が、特車申請を行政書士に依頼するケースがあります。
今治市の造船・建設関連事業者が行政書士に相談するケース
例えば、次のような場合です。
新しいトレーラを導入した
新しい車両を導入した場合は、車両諸元を確認したうえで、必要な特殊車両通行許可を取得します。
新しい輸送先が決まった
造船所、工場、倉庫、建設現場など、輸送先が変われば通行経路も変わります。
大型設備を搬入することになった
工場や造船所などへの大型設備搬入では、貨物を積載した状態での車両寸法・重量を確認する必要があります。
建設現場へ大型建設機械を運搬する
建設機械の運搬では、使用する車両や積載状態によって特殊車両通行許可が必要になる場合があります。
複数の車両について申請したい
複数のトラックやトレーラを使用している場合は、車両情報や申請状況の管理にも手間がかかります。
今治市の特車申請では「車両・貨物・経路」をまとめて考える
特殊車両通行許可を検討するときは、車両の大きさだけを見るのではなく、「どの車両で」「何を運び」「どこからどこまで」「どの道路を通るのか」をまとめて確認することが重要です。
特に今治市では、造船・舶用工業・港湾物流が集積しているため、工場、造船所、港湾、倉庫、建設現場などを結ぶさまざまな輸送が考えられますので、特車申請を行う場合は、車両と貨物、出発地・目的地を確認して、実際の運行経路を確認することから始めるとよいでしょう。
愛媛県今治市の特殊車両通行許可申請を行政書士に代理・代行依頼するなら
今治市は、造船業、海運業、舶用工業が集積する日本有数の海事都市です。2026年には今治市造船振興計画が改訂され、国による造船能力強化への支援もすすめられています。
造船所や関連工場への大型設備輸送、今治港を利用した物流、建設現場への大型建設機械の運搬などでは、車両の大きさや重量によって特殊車両通行許可が必要になることがあります。
「初めて特車申請をする」「新しいトレーラを導入した」「造船所や工場へ大型設備を搬入したい」「今治港から大型貨物を輸送したい」「建設現場へ大型建設機械を運搬したい」「複数の車両について特車申請をしたい」といった場合には、特殊車両通行許可申請を専門とする行政書士への相談をご検討ください。
行政書士法人アラインパートナーズでは、特殊車両通行許可申請を専門業務の一つとして、オンラインで全国の事業者からのご依頼に対応しています。
車両の種類、輸送する貨物、出発地・目的地などをお知らせいただければ、特殊車両通行許可申請についてご案内します。まずはお気軽にご相談ください。
Q&A(よくある質問)
Q1.愛媛県外の行政書士でも依頼できますか?
A.はい。特車申請はオンラインで手続きできるため、事務所の所在地に関わらず対応できます。
Q2.愛媛県から出発する運行ですが、愛媛の事務所でなくても依頼できますか?
A.はい。国道分などはオンラインで申請できるため、事務所の所在地に関わらず対応できます。道道や高速道路など個別の窓口が必要な場合も含めて、ご相談ください。
Q3.愛媛県の複数の管理者にまたがる経路でも、まとめて依頼できますか?
A.はい。国・道・市町村の窓口ごとの違いを整理して、申請を進めます。
Q4.繁忙期の前に、どれくらい前から相談すればよいですか?
A.経路や審査の状況によって変わります。工程から逆算して、余裕を持って早めにご相談ください。
Q5.補正を求められた場合、行政書士が対応できますか?
A.はい、申請代行を依頼している行政書士であれば、補正内容を確認し、必要な修正や追加資料の準備などに対応できます。
Q6.道路管理者との協議も行政書士に任せられますか?
A.申請内容や委任の範囲によりますが、特車申請の専門行政書士であれば、必要な協議・確認への対応を含めて依頼できる場合があります。依頼前に対応範囲を確認してください。
すでに申請済みの場合は、申請番号などを確認したうえで現在の審査状況を確認し、補正や追加資料が必要かどうかを確認することが重要です。
Q7.オンライン申請なら自社でも簡単にできますか?
A.オンライン申請は利用できますが、車両情報や経路情報を正確に入力し、必要な資料を準備する必要があります。
国土交通省も特殊車両通行許可のオンライン申請システムを提供していますが、オンライン化によって審査そのものが不要になるわけではありません。
Q8.急ぎの案件でも依頼できますか?
A.できますが、審査の期間は道路管理者の状況にも左右されるため、急ぎの案件ほど、早い段階で経路や日程をお知らせください。




