北海道で特車申請が複雑な理由と行政書士に代行依頼、札幌起点の場合の申請も解説

コラム

北海道は広くて、産地から港や消費地までの距離が長い地域です。特にトレーラーや大型車両を使った長距離輸送が多くて、運行には特殊車両通行許可(特車申請)が必要になることが多い地域です。

特車申請は、経路が長くなるほど、申請は複雑になります。北海道の運送会社様・荷主企業様に向けて、特車申請が複雑になる理由と、自社で申請するか行政書士に代行・代理依頼するかを考えるときの判断基準を解説します。

北海道の長距離輸送の特徴

距離が長く道外出荷が多い

農林水産省の資料によると、北海道の主な農産物(生乳を除く)の出荷量は426万トンで、そのうち334万トン(約78%)が道外に出荷されています。

たとえばたまねぎでは、北見市の集出荷拠点から苫小牧港までが約320km、一般道と高速を合わせても所要は4時間半~5時間40分とされています。道内でも、集出荷拠点や加工施設、港、JR貨物のターミナルまでの距離が長いことが特徴です。

(参照先)

農林水産省の資料

ドライバー不足と2024年問題

北海道運輸局は、北海道の長距離輸送の環境として、ドライバー不足、労働時間規制、燃料費の高騰、冬季の遅延リスクをあげています。2024年問題の影響で、中標津町から苫小牧港までの生乳輸送は、鉄道に切り替えた事例も紹介されています。

長距離のトラック輸送を維持するには、車両の大型化・連結化や、運行計画の最適化が検討されることも多くなります。そのときに、特車許可の取得が運行計画の前提になります。

(参照先)
北海道運輸局

特殊車両通行許可が必要になる車両とは

道路法では、車両の寸法・重量に一般的制限値が決められています。一つでも超える車両は、道路管理者の許可(または通行可能経路の確認回答)が必要です。

項目一般的制限値
幅2.5m
高さ3.8m(高さ指定道路は4.1m)
長さ12.0m
総重量20t(重さ指定道路は25t)
軸重10t
輪荷重5t
最小回転半径12.0m

長距離輸送で使うセミトレーラやフルトレーラは、長さや総重量が制限を超えることが多く、特車許可の対象になりやすい車両です。

車両制限令からの引用です。

第二章 道路との関係において必要とされる車両についての制限
(車両の幅等の最高限度)
第三条 法第四十七条第一項の車両の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、次のとおりとする。
一 幅 二・五メートル
二 重量 次に掲げる値
イ 総重量 高速自動車国道又は道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路を通行する車両にあつては二十五トン以下で車両の長さ及び軸距に応じて当該車両の通行により道路に生ずる応力を勘案して国土交通省令で定める値、その他の道路を通行する車両にあつては二十トン
ロ 軸重 十トン
ハ 隣り合う車軸に係る軸重の合計 隣り合う車軸に係る軸距が一・八メートル未満である場合にあつては十八トン(隣り合う車軸に係る軸距が一・三メートル以上であり、かつ、当該隣り合う車軸に係る軸重がいずれも九・五トン以下である場合にあつては、十九トン)、一・八メートル以上である場合にあつては二十トン
ニ 輪荷重 五トン
三 高さ 道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路を通行する車両にあつては四・一メートル、その他の道路を通行する車両にあつては三・八メートル
四 長さ 十二メートル
五 最小回転半径 車両の最外側のわだちについて十二メートル

北海道で特車申請が複雑になる理由

経路が長く、道路管理者が多い

北海道の国道は、北海道開発局の10の開発建設部(札幌、函館、小樽、旭川、室蘭、釧路、帯広、網走、留萌、稚内)が管理しています。道道は北海道(各総合振興局・振興局の建設管理部)、市町村道は各市町村、高速道路はNEXCO東日本が管理しています。

道内を横断する長距離の経路では、国・道・市町村・高速道路会社の複数の管理者が関わることがあります。

管理者によって窓口や申請方法が異なる

北海道開発局では、平成27年4月から、国道の特車申請の審査を札幌開発建設部が一括して行っていますが、国土交通省の資料では、国のオンライン申請システムでは各地方自治体や高速道路会社へは申請できず、窓口に直接問い合わせる必要があるとされています。手数料も、国は一通行経路ごとに200円ですが、地方公共団体は各自が定める額となっています。

経路の中に複数の管理者が含まれると、問い合わせ先・申請方法・手数料を、管理者ごとに確認する手間が生じます。札幌周辺の具体的な窓口は、後ほど紹介します。

経路の途中に、許可できない箇所がある

北海道開発局の資料には、車検証に記載された最大積載量や車両総重量以下でも、許可できない場合があると書かれています。経路の途中に、旧基準で設計された橋や、損傷した橋がある場合です。

その場合は、迂回ルートで申請したり、貨物を分解して積載重量を減らしたりすることで、許可できることもあるとされています。経路の検討が、長距離輸送の申請では大きな作業になります。

連結の組合せごとに許可が必要

北海道開発局の特殊車両取締りでは、札幌開発建設部や旭川開発建設部の結果に、「連結違反」が複数回出てきます。特車許可は、トラクタとトレーラーの連結の組合せを含めて内容が決まるため、運行に使う組合せが許可の内容と違うと、違反になります。

長距離輸送の現場では、トラクタやトレーラーを入れ替えて運用することが少なくありません。どの組合せで許可を取るか、事前に確認しておく必要があります。

繁忙期に申請が集中する

北海道産たまねぎの収穫時期は8月~10月で、その後も貯蔵しながら翌年7月ごろまで分散して出荷されています。収穫期や出荷のピーク前は、運行計画が固まり、申請の依頼が集中しやすい時期です。許可が間に合わないと、出荷のスケジュールに影響します。

(参照先)
ALIC 北海道の野菜流通におけるモーダルシフトの現状と課題

冬期の通行止めや規制への対応

冬季の遅延リスクは、北海道運輸局があげている課題の一つです。大雪で経路が通れなくなると、許可を取った経路でも通行できなくなる場合があります。迂回経路の許可や変更の申請が必要になることもあります。

札幌を起点にする場合に押さえたい特車申請

札幌は、道内の物流と行政の中心です。札幌圏を出発地・目的地にする長距離輸送では、次の窓口と注意点を押さえておくと、申請の見通しが立てやすくなります。

国道の申請は、札幌開発建設部が全道分を審査

北海道開発局の特殊車両通行許可申請窓口は、札幌市中央区北2条西19丁目の札幌開発建設部にあります。電話(011-611-4160)のほか、窓口での申請相談もできます。道内のどの国道を通る申請でも、審査は札幌で一括して行われています。北海道開発局は、可能な限りオンライン申請を利用するよう案内しています。

道道・高速道路・市道は、別の窓口

国のオンライン申請システムでは、都道府県・政令市や高速道路会社へは申請できません。経路に次の道路が含まれる場合は、それぞれの窓口に確認が必要です。

道道

北海道の窓口として、札幌市中央区の空知総合振興局札幌建設管理部などが案内されています。経路に含まれる道道の管轄は、事前に確認してください。

高速道路

道央道などを通る場合は、NEXCO東日本 北海道支社(札幌市厚別区)の道路事業部交通管理課が窓口です。

市道

札幌市内や周辺の市町村の道路を通る場合は、その市町村の窓口への確認が必要になることがあります。

札幌発着の運行は、国道・道道・高速道路・市道が混在しやすく、経路ごとに管理者を整理しておくことが、申請の抜け漏れを防ぐポイントです。

札幌周辺でも取締りが行われている

札幌開発建設部は、国道230号の豊滝除雪ステーション(札幌市南区)や、国道12号の上幌向駐車帯(岩見沢市)などで、特殊車両の取締りを行っています。国道12号での取締りでは、計測した2台のうち1台で連結違反が確認され、警告書が交付されました。

(参照先)
3機関合同の取締りを行いました

取締りは全道各地で行われています

北海道開発局の各開発建設部は、車両計測所などで特殊車両の取締りを行っています。令和7年度には、旭川開発建設部で、計測した4台のうち2台に無許可(未申請と連結違反)が確認されています。釧路開発建設部では、許可書の不携帯で警告書が交付された例もあります。

許可を取るだけでなく、許可証の携行や条件どおりの運行も求められます。

(参照先)
特殊車両の取締りを行いました

自社で申請するか、行政書士に依頼するか|判断基準

  • 次の項目の数が多いほど行政書士へ特車申請代行依頼を検討したほうがよくなります。
    • 経路が複数の管理者にまたがる(国道・道道・市町村道・高速道路を通る)
    • 札幌圏を起点・終点にして、国道・道道・高速道路を組み合わせて運行する
    • 道内を横断する、または港や拠点間の距離が長い
    • 連結の組合せが複数ある(トラクタ・トレーラを入れ替えて運用する)
    • 申請の本数が多い(荷主や行先ごとに経路が変わる)
    • 繁忙期に申請が集中する(収穫期、出荷のピーク前など)
    • 過去に差し戻しや、許可が下りなかった経験がある
    • 申請できる担当者が1人に限られている
    • 更新の期限を管理しきれていない
    • 冬期の運行が多く、経路変更の可能性が高い
  • 次のような場合は特車代理申請せずに自社で申請をしても問題ないと思われます。
    • 経路が短く、同じ管理者の範囲に収まる
    • 同じ経路・同じ車両で、繰り返し更新するだけ
    • 申請に慣れた担当者が複数名いる

自社申請と行政書士への代行・代理依頼の違い

項目自社申請行政書士への代行
書類作成自社で準備専門家が作成
経路検討担当者の経験に依存過去の知見をもとに検討
複数の管理者への対応管理者ごとに自社で確認まとめて対応
差し戻し対応自社で対応代行で対応
更新の期限管理自社で管理期限管理も含めて対応
日常業務への影響担当者の負担が大きい本業に集中できる

行政書士ができるサポート

経路の検討

許可が出る経路を探し、迂回や積載の見直しも含めて提案します

申請書類の作成と申請

特車ポータルサイトなどを使って、オンラインで申請します。

複数の管理者への対応

国・道・市町村の窓口ごとの違いを整理します。

差し戻し・協議への対応

補正の求めや、道路管理者との協議を代理で行います。

更新・変更の期限管理

期限切れで運べなくなる事態を防ぎます。

関連手続きの洗い出し

基準緩和の認定(運輸支局)や、制限外積載許可(警察署)が必要な場合を整理します。

なお、運行の可否の判断(天候、時間帯、ドライバーの労務管理など)は、運行管理者の仕事です。行政書士は、許可の取得と手続き面を支えます。

オンラインで全国から対応できます

特車申請は、特車ポータルサイトなどのオンライン申請が主流です。
行政書士法人アラインパートナーズは事務所が北海道外にありますが、オンラインで北海道内の申請にも対応しています。打ち合わせは電話・メール・オンライン会議で行います。

ご依頼の流れ

  1. お問い合わせ(フォームまたはお電話)
  2. 建機・運搬車両・出発地と目的地のヒアリング
  3. 経路の検討と見積もり
  4. 申請書類の作成・オンライン申請
  5. 審査対応(差し戻しや協議への対応)
  6. 許可証の納品と条件のご説明

料金の目安はこちらをご確認ください。

行政書士法人アラインパートナーズでは、特車申請の代行を全国で承っています。まずはお気軽にご相談ください。

Q&A(よくある質問)

Q1.北海道外の行政書士でも依頼できますか?

A.はい。特車申請はオンラインで手続きできるため、事務所の所在地に関わらず対応できます。

Q2.札幌から出発する運行ですが、札幌の事務所でなくても依頼できますか?

A.はい。国道の申請審査は札幌開発建設部が全道分を担当していますが、国道分はオンラインで申請できるため、事務所の所在地に関わらず対応できます。道道や高速道路など個別の窓口が必要な場合も含めて、ご相談ください。

Q3.道内の複数の管理者にまたがる経路でも、まとめて依頼できますか?

A.はい。国・道・市町村の窓口ごとの違いを整理して、申請を進めます。

Q4.許可を取った経路が大雪で通れなくなりました。どうすればよいですか?

A.許可は経路ごとに交付されているため、許可のない別の経路は通行できません。迂回経路の許可や、変更の申請が必要になることがあります。お急ぎの場合は、早めにご連絡ください。

Q5.繁忙期の前に、どれくらい前から相談すればよいですか?

A.経路や審査の状況によって変わります。工程から逆算して、余裕を持って早めにご相談ください。

Q6.補正を求められた場合、行政書士が対応できますか?

A.はい、申請代行を依頼している行政書士であれば、補正内容を確認し、必要な修正や追加資料の準備などに対応できます。

Q7.道路管理者との協議も行政書士に任せられますか?

A.申請内容や委任の範囲によりますが、特車申請の専門行政書士であれば、必要な協議・確認への対応を含めて依頼できる場合があります。依頼前に対応範囲を確認してください。

Q8.急いでいるのですが、行政書士に依頼すれば必ず間に合いますか?

A.許可を出すのは道路管理者であるため、行政書士に依頼したからといって許可取得を保証できるものではありません。

ただし、早い段階から専門家に依頼することで、申請書類の不備を減らし、補正への対応や審査状況の確認などを速やかに行いやすくなります。

Q9.工事開始日まであまり時間がありません。今からでも依頼できますか?

A.まずは現在の申請状況や工事・配送予定日などを行政書士に伝えて相談することをおすすめします。

すでに申請済みの場合は、申請番号などを確認したうえで現在の審査状況を確認し、補正や追加資料が必要かどうかを確認することが重要です。

Q10.オンライン申請なら自社でも簡単にできますか?

A.オンライン申請は利用できますが、車両情報や経路情報を正確に入力し、必要な資料を準備する必要があります。

国土交通省も特殊車両通行許可のオンライン申請システムを提供していますが、オンライン化によって審査そのものが不要になるわけではありません。

Q11.急ぎの案件でも依頼できますか?

A.できますが、審査の期間は道路管理者の状況にも左右されるため、急ぎの案件ほど、早い段階で経路や日程をお知らせください。

Q12.すでに取得した許可の更新だけを頼めますか?

A.はい。更新の期限管理も含めて、ご相談いただけます。

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