【逮捕事例】特殊車両通行許可申請代行・代理に注意!行政書士法と特車申請

コラム

2026年10月8日、静岡県内で、行政書士の資格がないにもかかわらず、法人から依頼を受けて特殊車両通行許可に関する申請書類を作成した疑いで、男性が逮捕されたと報じられました。報道によると、国土交通省に提出する書類を代理作成した疑いが持たれており、警察が詳しい経緯を調べています。

この事件は、特殊車両通行許可の申請を外部に委託している運送会社や建設会社、製造業などにとって、申請業務を誰に依頼するべきかを考えるきっかけとなります。

特殊車両通行許可(特車許可)は、車両の大きさや重さなどが道路の一般的な制限値を超える場合に関係する制度です。大型トラックやトレーラーを使用する運送会社だけでなく、大型機械を搬入する工場、建設現場に重機を搬入する建設会社などにも関係します。

行政に提出する書類の作成を業務として行う場合には、行政書士法との関係を理解しておく必要があります。企業が申請代行を依頼する場合にも、料金や納期だけでなく、依頼先が適切な資格・権限に基づいて業務を行っているかを確認することが重要です。

静岡県内で報じられた事件を取り上げ、行政書士法の規定、特殊車両通行許可の仕組み、静岡県内で申請ニーズが想定される業種、企業が申請を外部委託する際の注意点について解説します。

静岡県で特殊車両通行許可の申請書類作成をめぐる逮捕事例

報道された事件の概要

FNNプライムオンラインのテレビ静岡の報道によると、2026年10月8日、静岡県沼津市に住む53歳の男性が、行政書士法違反の疑いで逮捕されました。

報道では、男性は行政書士の資格を持たず、行政書士法人でもないにもかかわらず、2024年11月頃、静岡市清水区内の法人から依頼を受け、国土交通省に提出する特殊車両通行許可に関する書類を代理作成した疑いがあるとされています。

また、2026年3月に無資格で行政書士業務をしているのではないかとの情報が寄せられ、警察が捜査を開始したと報じられています。

(参照先)FNNプライムオンライン「行政書士の資格がないのに許可申請書類を代理作成したか 52歳の自称会社員を逮捕 国交省に提出する特殊車両の通行許可書 法人の依頼を受けて 静岡県警・清水警察署」

なぜ特殊車両通行許可の申請書類が問題になったのか

今回の報道での注目点は、対象となった書類が、国土交通省に提出する特殊車両通行許可に関する申請書類だったという点です。

特殊車両通行許可は、道路法に基づく行政手続きです。申請では、車両の寸法や重量、車両の構成、通行経路などの情報を整理し、必要な書類を道路管理者に提出します。

こうした書類の作成を、他人から依頼を受けて、報酬を得て、業として行う場合には、行政書士法の規定が関係します。

企業から見れば、申請書類を作成してもらえるのであれば、依頼先が運送会社、コンサルティング会社、個人事業主などのどこであっても同じように思えるかもしれませんが、書類作成を有償で業として行う場合には、業務の内容や他の法律による例外などを踏まえ、法令上の制限を確認する必要があります。

今回の事件をきっかけに、特殊車両通行許可の申請を外部に依頼している企業は、委託先がどのような立場で業務を行っているのか、改めて確認しておくことが大切です。

行政書士法第19条の無資格者による書類作成の制限

行政書士法第19条の規定

行政書士法第19条第1項では、次のように定められています。

行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。

ただし、同項には、他の法律に別段の定めがある場合などの例外も設けられています。

この規定のポイントは、単に「行政書士の資格を持っていない人が書類を作成してはいけない」というだけではないことです。

  • 確認すべきポイントは次のとおりです。
    • 他人からの依頼を受けているか
    • 報酬を得て行っているか
    • 業として継続的・反復的に行っているか
    • 行政書士法第1条の3に規定する業務に該当するか
    • 他の法律による例外などが適用されるか

社内の従業員が自社の申請書類を作成する場合と、外部の事業者が他社から依頼を受けて有償で書類を作成する場合とでは、検討すべき点が違います。

また、申請システムへのデータ入力、書類作成の補助、申請手続きの代理などについても、実際にどのような業務を行っているかによって判断する必要があります。

行政書士法からの引用です。

(業務の制限)
第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。
2 総務大臣は、前項に規定する総務省令を定めるときは、あらかじめ、当該手続に係る法令を所管する国務大臣の意見を聴くものとする。

行政書士法第1条の2・第1条の3

行政書士法第1条の2は、行政書士が他人の依頼を受け、報酬を得て、官公署に提出する書類などを作成する業務について定めています。

また、第1条の3では、行政書士が行うことのできる申請手続きの代理や、書類の作成に関する相談などについて定めています。

特殊車両通行許可の申請書類は、道路管理者などに提出する行政手続きに関係するものです。そのため、外部の事業者が報酬を得て申請書類の作成などを業として行う場合には、行政書士法の規定を確認する必要があります。

なお、行政書士法の各条文は、業務の具体的な内容や他の法律との関係を踏まえて適用されます。単に書類に触れたかどうかだけで、一律に違法・適法を判断できるものではありません。

企業は申請代行の委託先をどう確認すればよいのか

特殊車両通行許可の申請を外部に委託する場合は、料金や納期だけでなく、依頼先の資格・業務範囲についても確認しておきましょう。

  • 特車申請代行の委託先では次の点が確認事項になります。
    • 行政書士または行政書士法人として業務を行っているか
    • 契約で依頼する業務の範囲が明確になっているか
    • 申請書類の作成や申請手続きの担当者が明確か
    • 申請に必要な車両情報や経路情報の管理方法が適切か
    • 許可の取得状況や申請の進捗について説明を受けられるか

「申請代行」「コンサルティング」「データ入力」など、サービスの名称だけで判断するのではなく、実際にどのような業務を誰が行うのかを確認することが大切です。

特殊車両通行許可とは

道路法に基づく通行許可制度

特殊車両通行許可とは、車両の構造や積載する貨物の特殊性などにより、道路の一般的な制限値を超える車両について、道路管理者の許可を受けて通行するための制度です。

道路は、一定の大きさや重さの車両が安全に通行できるように設計されています。大きさや重量が基準を超える車両が通行すると、橋や道路に過大な負担を与えたり、道路上の安全に支障を生じさせたりするおそれがあります。

製造業や建設業、物流業などでは、一般的なトラックでは運べない大型設備や重量物を輸送する必要もあります。

そこで、道路法第47条の2に基づき、道路の構造を保全し、交通の危険を防止するために必要な条件を付して、特殊車両の通行を認める仕組みが設けられています。

(参照)国土交通省「特殊車両通行制度について」

車両の大きさや重量には一般的制限値がある

特殊車両に該当するかどうかを考える際には、車両の寸法や重量などが重要になります。

代表的な一般的制限値は次のとおりです。

車両の諸元一般的制限値
幅2.5m
長さ12.0m
高さ3.8m
総重量20.0t
軸重10.0t
輪荷重5.0t
最小回転半径12.0m

指定道路や車両の構造、軸距などによって特例が適用される場合があります。たとえば、高さ指定道路では高さ4.1m、重さ指定道路などでは総重量25tとなる場合があります。

これらの制限値を超える車両は、通行する道路や車両の条件に応じて、特殊車両通行許可または特殊車両通行確認制度による手続きが必要になる可能性があります。

ただし、数値だけで機械的に判断できるわけではありません。車両の構成、積載状態、通行する経路なども含めて確認する必要があります。

特殊車両通行許可が必要になる代表的なケース

特殊車両通行許可は、特殊な形状のトレーラーだけに関係するものではありません。

  • 特車申請に関連するのは、たとえば次のような輸送が考えられます。
    • 大型の工作機械や産業用設備を工場に搬入する
    • 建設現場に大型クレーンなどを移動させる
    • 大型タンクや重量のある構造物を輸送する
    • 大型の鋼材や橋梁部材を運ぶ
    • 重量物を特殊なトレーラーで長距離輸送する

企業の担当者は、荷物の大きさだけでなく、車両の寸法や重量、通行経路などを確認し、必要な手続きを検討することが重要です。

静岡県ではどのような業種に特車許可のニーズがあるのか

静岡県は、製造業を中心に多様な産業が集積する地域です。県の企業立地ガイドによると、2000年から2025年までの工場立地件数の累計は全国1位となっており、輸送用機械をはじめとする製造業が集積しています。

また、工場や物流施設、研究所などの新設を対象とする企業立地支援制度も設けられています。

こうした産業構造を踏まえると、静岡県内では、工場設備の搬入や建設現場への大型機械の輸送、物流関連の重量物輸送などで、特殊車両通行許可のニーズが想定されます。

(参照)静岡県「多様な産業集積」

製造業・工場設備関連

静岡県内の製造工場では、生産設備の新設や更新、工場の増設などに伴って、大型機械や重量のある設備を搬入することがあります。

  • 具体的には、次のような場面です。
    • 工作機械や大型加工設備の搬入
    • 生産ラインの新設・更新
    • 大型プレス機や産業用機械の移送
    • 大型タンクや設備部材の輸送
    • 工場の移転に伴う設備の運搬

製造業では、設備の納入日が決まっていることも少なくありません。輸送に必要な手続きを確認していなければ、設備の搬入日や工事の工程に影響する可能性があります。

設備を導入する企業は、設備メーカーや運送会社と連携し、車両や輸送経路の条件を早めに確認することが大切です。

自動車・輸送用機械関連

静岡県では、輸送用機械をはじめとする製造業が重要な産業分野となっています。

工場設備の更新や大型部品の輸送、生産設備の移設などが行われる場合では、通常のトラックでは運びにくい寸法や重量の貨物が発生する場合があります。

ただし、自動車関連企業のすべての輸送に特車許可が必要になるわけではありません。実際に許可が必要かどうかは、車両や積載物、通行経路などの条件によって異なります。

建設業・土木工事業

建設現場では、大型クレーンなどの建設機械や、重量のある鋼材・構造物を搬入することがあります。

静岡県内で道路工事、土木工事、工場建設、施設の改修などを行う企業にとっても、特殊車両通行許可が関係する場面は考えられます。

工事の開始日や大型機械の搬入日が決まっている場合は、輸送の直前ではなく、工事計画の段階から手続きの要否を確認しておくと安心です。

運送業・重量物輸送業

特殊車両通行許可と直接的に関係しやすいのが、大型トレーラー・クレーンや重量物輸送車両を使用する運送会社です。

大型設備や産業機械、建設資材などを輸送する場合、車両の寸法・重量や通行経路によって、許可または確認手続きが必要になることがあります。

運送会社は、車両の情報だけでなく、目的地や輸送経路、積載物の条件も含めて確認することが重要です。

物流施設・倉庫・プラント関連

物流施設や工場、プラントなどでは、大型の搬送設備、タンク、産業用機械などの輸送が必要になる場合があります。

静岡県内で物流施設や工場の新設・増設、プラントの建設・改修などに携わる企業も、設備の搬入計画と併せて特車許可の要否を確認するとよいでしょう。

なお、ここであげた業種は、特殊車両通行許可のニーズが想定される例です。個々の企業や輸送で実際に許可が必要かどうかは、車両や貨物、通行経路などの条件に基づいて判断されます。

特殊車両通行許可の申請で必要になる情報

特殊車両通行許可の申請では、車両の情報や通行経路などを整理する必要があります。

車両の通行の許可の手続等を定める省令では、申請書に加え、自動車検査証の写し、車両の諸元に関する説明書、複数車両の場合の車両内訳書、通行経路図・通行経路表などの添付書類が規定されています。

実際に必要となる書類は申請内容などによって異なるため、最新の手続き案内を確認することが重要です。

車両の寸法・重量・構造を確認する

申請に当たっては、車両の幅、長さ、高さ、総重量、軸重などの情報を整理します。

トレーラーの場合は、けん引車と被けん引車の組み合わせなども関係します。また、積載する貨物によって、実際の輸送状態での寸法や重量が変わる場合があります。

車検証などの資料を用意し、実際の輸送条件と照らし合わせて確認することが大切です。

通行経路を確認する

特殊車両通行許可では、出発地から目的地までの通行経路も重要です。

道路によって幅員や橋梁などの構造、車両の通行条件が異なるため、希望する経路がそのまま認められるとは限りません。

また、経路に道路情報便覧に収録されていない道路などが含まれる場合には、個別の確認や道路管理者との協議が必要になることもあります。

輸送計画を立てる段階から経路を確認しておくことで、手続きや日程の見通しを立てやすくなります。

特殊車両通行許可と特殊車両通行確認制度の違い

特殊車両の通行に関する制度には、従来の「特殊車両通行許可制度」に加えて、2022年4月から運用されている「特殊車両通行確認制度」があります。

特殊車両通行確認制度は、登録された車両について、電子化された道路情報などを活用して通行可能な経路を確認する仕組みです。条件が合えば、従来の許可制度よりも迅速に手続きを進められる場合があります。

ただし、すべての車両や道路、輸送条件が確認制度の対象になるわけではありません。

車両や通行経路などの条件に応じて、どちらの制度を利用できるかを確認する必要があります。

(参照)国土交通省「特殊車両通行制度について」

特車申請を行政書士に依頼するメリット

特殊車両通行許可の申請では、車両情報や通行経路などを整理し、必要な書類を作成する必要があります。

自社で申請業務を行うことも選択肢ですが、特殊車両の輸送が少ない企業や、申請を担当する人員を十分に確保できない企業にとっては、手続きの準備が負担になる場合があります。

  • 特車申請は行政書士に代行・代理依頼で次のような対応が期待できます。
    • 申請に必要な車両情報や資料の整理
    • 通行経路などの申請情報の確認
    • 申請書類の作成
    • 申請手続きに関する相談・支援
    • 申請内容に応じた手続きの進め方の検討

ただし、行政書士に依頼すれば必ず希望する経路で許可されるというわけではありません。許可の可否や通行条件は、道路管理者による審査などで決まります。

また、依頼先を選ぶ際には、料金や納期だけでなく、依頼する業務の範囲や担当者、資格・権限についても確認しておきましょう。

今回の静岡県内の報道は、申請業務の委託先を選ぶ際に、法令を守って適切に手続きを進めることの重要性を考えるきっかけとなります。

静岡県で特殊車両通行許可の申請を検討している企業の皆さまへ

特殊車両通行許可は、運送会社だけでなく、製造業、建設業、工場設備関連企業、物流施設の運営会社など、幅広い企業の事業活動に関係する制度です。

静岡県内で大型機械や重量物の輸送を予定している場合は、車両の寸法・重量、積載する貨物、通行経路などを確認し、必要な手続きを早めに検討することが重要です。

また、申請書類の作成や手続きを外部に委託する場合には、依頼先が適切な資格・権限に基づいて業務を行っているか、依頼内容や業務範囲が明確になっているかを確認しましょう。

このようなお悩みがある場合は、特殊車両通行許可の申請を取り扱う行政書士への相談も選択肢です。

行政書士法人アラインパートナーズでは、特殊車両通行許可の申請代行に関するご案内を行っています。

タイトルとURLをコピーしました