【行政書士の特車申請代行実務】新規格車は25トンまでどこでも走れるは誤解です!

コラム

高速自動車国道や「重さ指定道路」では、総重量25トンまで走行できる「新規格車」。規格車は積載効率が多いので大型トラック・トレーラーを保有する運送事業者にとって非常に人気の高い車種です。

しかし!現場では、「新規格車だから重さの心配はない」「25トンまでは日本全国どこでも自由に走れる」という誤解があります!

新規格車であっても総重量20トンを超えて一般道(重さ指定道路以外の道路)を通行する場合は、道路管理者の「特殊車両通行許可」を受けなければなりません。この誤解に気づかないまま無許可で一般道を通行しているケースは決して少なくなく、行政書士として特殊車両通行許可の代行業務を行っていますが、日常的に多い相談なので記事にすることにしました。

行政書士として特殊車両通行許可の代行を行ってきた立場から、新規格車という制度がなぜ生まれたのか、その背景にある法令や国土交通省の考え方などを説明したうえで、運送事業者が新規格車を導入・運用する際に留意すべきポイントを解説します。最後にQ&A形式でよくある疑問にもお答えします。

新規格車とは何か

一般的制限値と新規格車

道路法第47条第1項および車両制限令(昭和36年政令第265号)第3条では、道路の構造を保全し、交通の危険を防止する観点から、道路を通行できる車両の大きさ・重さの最高限度である一般的制限値が定められています。

  • 特車の一般的制限値は次のとおりです。
    • 幅:2.5メートル
    • 高さ:3.8メートル
    • 長さ:12メートル(単車。連結車には別途特例あり)
    • 総重量:20トン
    • 軸重:10トン
    • 隣接軸重:軸距に応じて18~20トン
    • 輪荷重:5トン
    • 最小回転半径:12メートル

この一般的制限値を超える車両は、道路法第47条第2項により原則として道路を通行させてはならないとされています。

ところが、車両制限令第3条第2項および関連通達により、高速自動車国道および道路管理者が指定する「重さ指定道路」に限っては、車両の長さ・最遠軸距に応じて総重量の上限が最大25トンまで引き上げられています。

この引き上げられた上限値の範囲内に収まる、車両の構造上「特殊」とは扱われない標準的な仕様の車両(単車・トレーラー連結車)のことを「新規格車」と呼びます。

新規格車は、あくまで高速自動車国道および重さ指定道路を自由に通行できる車両という位置づけであり、それ以外の一般道を通行する場合には、通常の20トン超の車両と同じく「特殊な車両」として扱われ、特殊車両通行許可の対象になります。

車両制限令からの引用です。

(車両の幅等の最高限度)
第三条 法第四十七条第一項の車両の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、次のとおりとする。
一 幅 二・五メートル
二 重量 次に掲げる値
イ 総重量 高速自動車国道又は道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路を通行する車両にあつては二十五トン以下で車両の長さ及び軸距に応じて当該車両の通行により道路に生ずる応力を勘案して国土交通省令で定める値、その他の道路を通行する車両にあつては二十トン
ロ 軸重 十トン
ハ 隣り合う車軸に係る軸重の合計 隣り合う車軸に係る軸距が一・八メートル未満である場合にあつては十八トン(隣り合う車軸に係る軸距が一・三メートル以上であり、かつ、当該隣り合う車軸に係る軸重がいずれも九・五トン以下である場合にあつては、十九トン)、一・八メートル以上である場合にあつては二十トン
ニ 輪荷重 五トン
三 高さ 道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路を通行する車両にあつては四・一メートル、その他の道路を通行する車両にあつては三・八メートル
四 長さ 十二メートル
五 最小回転半径 車両の最外側のわだちについて十二メートル

新規格車制度ができた背景

昭和36年:車両制限令の制定

道路を通行する車両の寸法・重量の制限は、昭和36年に制定された車両制限令になります。道路構造の保全と交通の危険防止の両立を図るため、車両の寸法・重量の最高限度を定める制度が整備されました。当初の総重量の限度は20トンでした。

昭和46年:特殊車両通行許可制度の導入

昭和46年の車両制限令改正により、一般的制限値を超える車両は原則通行禁止としつつ、道路管理者が「車両の構造または積載する貨物が特殊であるためやむを得ない」と認める場合に許可を与える、現在の特殊車両通行許可制度が整えられました。

平成5年:新規格車制度の創設

物流の増大や車両の大型化に対応するため、道路構造令が改正され、橋梁の設計荷重が引き上げられました。これを受けて平成5年(1993年)に車両制限令が改正され、総重量の一般的制限値が、高速自動車国道および道路管理者が指定する道路(重さ指定道路)に限り、車両の長さ・最遠軸距に応じて最大25トンまで引き上げられました。

新規格車制度は、橋梁など道路構造物の強度向上に合わせて、幹線道路(高速道路・重さ指定道路)の輸送効率を高めるために設けられた特例であり、「どの道路でも25トンまで自由に走れる」という一般免除の制度ではない、ということを理解しておく必要があります。

高速自動車国道と重さ指定道路

高速自動車国道

NEXCO3社(東日本・中日本・西日本)などが管理している高速自動車国道(高速道路)は、そのすべての区間が重さ指定道路として扱われるため、新規格車であれば個別の標識がなくても総重量25トンまで(長さ・最遠軸距に応じた上限の範囲内で)許可なく通行できます。

重さ指定道路とは

重さ指定道路とは、道路管理者が「道路の構造の保全及び交通の危険防止上支障がない」と認めて指定した道路で、総重量の一般的制限値を車両の長さおよび最遠軸距に応じて最大25トンとする道路をいいます。指定されているのは主要な国道や幹線的な都道府県道・市町村道の一部であり、すべての一般道が指定されているわけではありません。

重要な点として、重さ指定道路であっても無条件に25トンまで走れるわけではなく、車両の長さおよび最遠軸距(連結車の最前軸から最後軸までの水平距離)に応じて上限重量が細かく決められています。

たとえば最遠軸距が短い車両では、重さ指定道路であっても総重量の上限は20トン程度になる場合があります。逆に、幅については一般的制限値(2.5メートル)を超えていれば、重さ指定道路であっても別途通行許可が必要になります。

どの道路が重さ指定道路か確認する方法

重さ指定道路かどうかは、各道路管理者(国道事務所・都道府県・市区町村)に確認するほか、国土交通省の「特殊車両通行許可オンライン申請システム」や各地方整備局のホームページで公表されている道路情報から確認できます。経由するすべての区間について、出発地から目的地まで途切れることなく重さ指定道路(または高速自動車国道)であることを確認しない限り、「新規格車だから許可不要」とはなりません。

一般道では特殊車両通行許可が必要になる理由

重さ指定道路に指定されていない一般道は、総重量20トンを想定して道路構造が設計されていますので、新規格車であっても総重量が20トンを超える状態でこうした一般道を通行する場合は一般的制限値を超える「特殊な車両」として扱われ、特殊車両通行許可を、通行経路上のすべての道路管理者から受ける必要があります。

ここがこの記事で一番お伝えしたい落とし穴です。新規格車は「新規格」という名称や、高速道路上で25トンまで問題なく走行できることなどから、現場のドライバーや配車担当者の方は「うちの車は新規格車だから重量は気にしなくてよい」と思い込みを持ちやすいい傾向があります。

「新規格車=たくさん積める=高速で25tまでOK」と誤解して導入 → 実際は一般道で20t制限になる → 結局特車申請が必要になる、という“制度の落とし穴”があるんです!

しかし!

高速道路を降りて、指定を受けていない一般道を経由して着地まで走る場合、出発地から高速道路入口まで、あるいは高速道路出口から目的地までの区間が重さ指定道路でない場合、貨物を積載した結果、実際の総重量が現場で20トンを超えている場合では、その区間について特車通行許可を取得していなければ、車両制限令違反(無許可通行)となります。

とくに工場・倉庫・港湾施設などの構内から幹線道路に出るまでのラストワンマイル区間は、重さ指定道路に指定されていないことが多く、見落とされがちなポイントなんです。

出発地や納品先は一般道であることのほうが多いです。高速ICまでのアクセス道路も一般道、納品先の敷地周辺も一般道。つまり、一般道を走らない運行はほぼないのが実態です。25トン積んだ新規格車は一般道に入った瞬間に特車扱いなんです。配送ルートが高速道路だけで完結するケースはほとんどありません。

高速道路と一般道

高速道路は「重さ指定道路」で、構造が一般道より圧倒的に強いです。高速道路は路盤の厚さ、コンクリート舗装の強度、橋梁の耐荷重、地盤の支持力などが一般道とは別格です。

国交省の試験では、25トン車両の走行による損傷は許容範囲内であることが確認されています。高速道路は25トンでも壊れないようにつくられています。

一方、一般道は老朽化・舗装強度がバラバラの状態で20トン制限を維持しなければなりません。一般道は、市町村管理の道路が多く、舗装の強度がまちまちで、老朽化がすすんでおり、橋梁の耐荷重が低いものが多いのが実態です。一般道は20トン制限を維持しないと保全できないという実情があります。高速と一般道の「道路構造の差」がそのまま重量規制の差になっています。

新規格車導入時に留意すべきポイント

新規格車(総重量20トン超・25トンまでの車両)を導入・運用する運送事業者が留意すべきポイントです。

経路全体が重さ指定道路かどうかを事前に確認する

出発地から目的地までの経路を区間ごとに調査して、重さ指定道路(または高速自動車国道)に該当しない区間がないかを確認します。1区間でも該当しない道路があれば、その区間については特殊車両通行許可(または、車両制限令第5条から第7条までの制限を超える場合は通行認定)の取得が必要です。

最遠軸距・車両長による重量上限の違いを把握する

重さ指定道路における総重量の上限は一律25トンではなく、最遠軸距・車両長に応じた算定表(特殊車両通行許可限度算定要領等)に基づいて決まります。最遠軸距が短い車両では重さ指定道路であっても20トン台前半までしか認められない場合があり、保有車両のスペックごとに上限値を正確に把握しておく必要があります。

積載時の実重量を管理する

車検証上の車両重量だけでなく、実際に貨物を積載した状態の総重量・軸重・輪荷重が制限値内に収まっているかを、配車・積付けの段階で管理することが重要です。軸重超過は総重量が制限内であっても単独で違反となり得ます。

荷主・協力会社・傭車先にも周知する

自社が直接運行しない傭車・下請け運送であっても、依頼主として重量超過や無許可通行を助長した場合、荷主に対する是正指導の対象となり得ます。荷主や協力会社との間でも、新規格車の通行区間に関する認識をそろえておくことが望まれます。

大型車誘導区間や特車ゴールド等の関連制度を活用する

あらかじめ指定された「大型車誘導区間」内のみを通行する場合は、個別の道路管理者ごとの協議が不要になり、国による一元審査で許可を受けられます。また、業務支援型ETC2.0車載器を搭載し登録した車両については、大型車誘導区間内での経路選択が原則自由になる「特車ゴールド」制度も利用できます。新規格車を含む大型車両の運行が多い事業者は、こうした制度の活用によって手続の負担を軽減できます。

許可の更新・車両入替時の再申請を忘れない

特殊車両通行許可の有効期間は最長2年(一定の要件を満たす事業者はさらに延長される場合があります)であり、期限が切れれば再度申請が必要です。また、車両を入れ替えた場合、旧許可証はその車両にしか適用されません。新規格車を含む車両の増車・入替のたびに、許可の内容を見直すことが必要です。

Q&A

Q1)新規格車であれば、車検証に記載されているのですか?

A)いいえ。「新規格車」は車検証上の車両区分ではなく、道路法・車両制限令上の取扱い区分(一般的制限値の特例が適用される車両かどうか)を指す実務上の呼称です。車両の諸元(総重量、最遠軸距、軸重配分など)が、車両制限令第3条第2項および関連通達に定める新規格車の基準に該当するかどうかで判断します。判断に迷う場合は、車検証の諸元と算定要領を照らし合わせるか、道路管理者や専門家に確認します。

Q2)高速道路を降りたあと、一般道を数百メートル走っただけでも許可は必要ですか?

A)その区間が重さ指定道路に指定されていない一般道であり、かつ実際の総重量が20トンを超えている場合は、距離の長短にかかわらず特殊車両通行許可の対象になります。「短い区間だから大丈夫」という判断は認められません。工場・倉庫の出入口から幹線道路までのアクセス区間は指定外であることが多いために注意が必要です。

Q3)重さ指定道路を通っていれば、幅や高さについても許可は不要になりますか?

A)いいえ。重さ指定道路の指定は「総重量」についてのみの特例です。車両の幅(一般的制限値2.5メートル)や高さ(同3.8メートル、高さ指定道路では4.1メートル)が一般的制限値を超える場合は、重さ指定道路上であっても別途、寸法に関する特殊車両通行許可が必要です。

Q4)自社の車両が新規格車の基準を満たしているかどうかは、どこで確認できますか?

A)車検証に記載された車両重量・最大積載量・最遠軸距等の諸元をもとに、車両制限令および特殊車両通行許可限度算定要領に定める基準と照らし合わせて判断します。国土交通省の各地方整備局や特殊車両通行許可オンライン申請システムの案内資料も参考になりますが、連結車の組み合わせによって数値が変わるため、正確な判断は行政書士や道路管理者の窓口に確認することをおすすめします。

Q5)特殊車両通行許可の申請は自社でもできますか、行政書士に依頼すべきですか?

A)特殊車両通行許可の申請自体は事業者自身が行うこともできますが、通行経路が複数の道路管理者にまたがる場合の申請先の整理、車両ごとの重量算定、大型車誘導区間や特例8車種の特例の適用可否など、専門的な知識が必要な場面が多くあります。とくにトレーラーの種類が多い、通行経路が頻繁に変わるといった事業者では、行政書士への依頼によって申請ミスや無許可通行のリスクを減らせることが少なくありません。

Q6)新規格車以外の車両(特例8車種のトレーラー等)にも、同じような注意点はありますか?

A)はい。バン型・タンク型・幌枠型・コンテナ用・自動車運搬用などの特例8車種トレーラーは、新規格車とは別の基準(連結車両総重量36トンまでの特例等)が適用される車両区分であり、通行できる経路や重量の考え方が新規格車とは異なります。保有する車両がどの区分に該当するかによって必要な手続が変わるため、車種ごとに個別の確認が必要です。

参考・出典

国土交通省 関東地方整備局「道路法に基づく車両制限」

国土交通省 関東地方整備局「新規格車」

国土交通省 関東地方整備局「新規格車の特徴」

国土交通省 関東地方整備局「重さ指定道路」

独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構「車両制限令違反車両に対する取組」

NEXCO西日本「大型・特殊車両や危険物積載車両を運転される方々へ―車両制限令を守りましょう!」

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