トラックGメンとは?役割・連絡先と特殊車両の運行で注意すべきこと

コラム

運送業界や建設業界で「トラックGメン」という言葉を聞いたことがあると思います。特に、ダンプカー・ミキサー車・クレーン車・トレーラーなどを保有して運行している事業者やドライバーにとってはとても気になる言葉ですね。

トラックGメンは、荷主や元請事業者等による長時間の荷待ち、無理な運送依頼など、トラック事業者の法令違反につながる行為について情報を収集し、是正を促す国土交通省の体制です。2024年11月からは「トラック・物流Gメン」に拡充されています。

この記事では、トラックGメンとは何者なのか、どのような活動をしているのか、情報提供先となる目安箱や連絡先について解説します。あわせて、特殊車両を運行する事業者やドライバーが注意すべき点や、特殊車両通行許可(特車申請)との関係も紹介します。

トラックGメンとは

名称と位置づけ

トラックGメンは、国土交通省が2023年7月に創設した、荷主・元請事業者への監視を強化するための体制です。2024年11月からは、倉庫業者からも情報を収集する「トラック・物流Gメン」に拡充されています。

主な役割は、荷主や元請事業者等による、トラック事業者の法令違反につながる「違反原因行為」の情報を収集し、是正を促すことです。運送会社に対する通常の監査や、道路上での特殊車両の取締りとは、役割を分けて理解する必要があります。

たとえば、次のような行為が問題となります。

  • 長時間の荷待ちをさせる
  • 契約にない荷役作業などを行わせる
  • 無理な運送依頼をする
  • 過積載となる運送を要求する

活動内容や情報提供の案内は、国土交通省「トラック・物流Gメン」についてで確認できます。

運送業界における「長時間の荷待ち」や「無理な配送依頼」などの商慣習は、立場が弱い運送会社が泣き寝入りするケースが多くありました。トラックGメンは、こうした実態を調査して、違反の恐れがある荷主に対して是正を促す「行政の目」としての役割を担っています。

トラックGメンができた背景

根拠となる法律は、主に「貨物自動車運送事業法」です。 この法律に基づき、適正な運営を阻害する行為(過積載の強要や長時間の荷待ちなど)を行う荷主などに対して、国が働きかけや勧告を行う制度が強化されました。

荷主や元請事業者からの要求によって、運送会社だけでは長時間の荷待ちや無理な運行を改善しにくいことがあります。トラックGメンは、こうした物流の取引慣行を見直すため、荷主・元請事業者等への情報収集や是正指導を強化する役割を担っています。

荷主への是正指導指針について国土交通省のサイトからの引用です。

トラック・物流Gメンが荷主・元請事業者等に対する効果的な是正指導等を継続的に実施するためには、是正指導の透明性や公平性を確保し、貨物自動車運送事業者、倉庫業者及び荷主・元請事業者等からの一層の理解と協力を得ていく必要があります。

このため、トラック・物流Gメンが実施する是正指導の基準や考え方等を行政手続法第36条に基づく行政指導指針として定めました。これにより、透明かつ公正な行政指導を確立することに資するとともに、貨物自動車運送事業者及び倉庫業者等からの荷主・元請事業者等の違反原因行為に関する積極的な情報提供、荷主・元請事業者等による本指導指針に記載された内容等を踏まえた自主的な商慣行の見直しの取り組みを期待しております。

過労運転・事故の多発

トラック業界では長年、荷主優位の取引慣行、運賃のダンピング、ドライバーの長時間労働が問題となってきました。これにより、過労運転や重大事故が社会問題化しています。

働き方改革と物流の適正化

これを受けて、国は働き方改革関連法や改善基準告示の見直しなどを進めると同時に、実効性のある荷主等への監視・指導体制として「トラックGメン」を強化しました。

トラックGメンの役割

荷主・元請事業者等への情報収集と是正指導

トラックGメンは、トラック事業者や倉庫業者等から情報を収集し、荷主・元請事業者等による違反原因行為の改善を促します。

例えば、無理な納期設定、待機時間の長時間化、運賃に見合わない運送条件などが問題となります。貨物自動車運送事業法に基づく是正指導では、事案に応じて「働きかけ」「要請」「勧告」が行われます。

目安箱などを通じた情報提供への対応

荷主・元請事業者等による違反原因行為については、国土交通省の目安箱へ情報を提供できます。電話で情報を提供する場合は、最寄りの運輸局・運輸支局等が窓口となります。

情報を伝える際は、いつ、どこで、誰から、どのような要求を受けたのかを整理しておくと、実態を具体的に説明しやすくなります。荷待ち時間の記録や運送依頼のメールなど、状況を確認できる資料も整理しておきましょう。

運送会社への監査・特殊車両の取締りとの違い

トラックGメンによる荷主等への是正指導と、運送会社の運行管理体制等を確認する監査は、役割が異なります。運行管理体制、点呼記録、運行指示書、デジタルタコグラフ(デジタコ)、労働時間管理などは、運送会社が適切に管理すべき事項です。

また、違法改造や過積載、特殊車両の無許可通行・許可条件違反についても、それぞれの法令に基づく確認や取締りが行われます。トラックGメンへの情報提供と、自社の車両・運行に関する法令遵守は、両方に取り組む必要があります。

特殊車両・トラック所有者が注意すべきポイント

運行管理体制の整備

運行管理体制の整備が重要です。たとえば、運行管理者の選任・点呼の適正実施・酒気帯び確認の記録などです

根拠法令は、貨物自動車運送事業法と貨物自動車運送事業輸送安全規則になります。

労働時間・休息時間の遵守

2024年以降、労働時間・休息時間は特に厳格化されています。改善基準告示の遵守、拘束時間・休息期間の管理(体制)が重要です。

根拠法は、労働基準法や自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)になります。

特殊車両の許可・届出の確認

特殊車両通行許可の取得や車両改造時の構造変更申請を確認しておいたほうがよいでしょう。

根拠法令は、道路法と道路運送車両法になります。

特殊車両通行許可が必要かどうかは、車種名だけでは判断できません。貨物を積載した状態の寸法・重量と、通行予定の道路を確認する必要があります。利用条件を満たす場合には、特殊車両通行確認制度を利用する方法もあります。

すでに許可を取得している場合も、許可期間、対象車両、積載する貨物、通行経路、通行条件が実際の運行と合っているか確認しましょう。許可を取得していても、許可された内容と異なる運行ができるわけではありません。

先導車・誘導車の配置が必要かどうかも、許可証に記載された通行条件を確認します。詳しくは、誘導車の配置条件についての解説をご覧ください。

荷主との契約内容の見直し

荷主との契約内容の見直しとしては、運賃・料金の明確化、待機時間・付帯作業の明文化を徹底するようにします。無理な納期や過積載につながる要求などがある場合は、要求の内容や日時、荷待ち時間などの記録を残し、荷主との協議やトラック・物流Gメンへの情報提供に備えましょう。

ドライバーが注意すべきポイント

  • ドライバーが注意すべきポイントとしては次のことが挙げられます。
    • 無理な運行指示を受けた場合は記録を残す
    • 点呼未実施や虚偽記録に加担しない
    • 違法改造車・過積載運行を拒否する

点呼の虚偽記録や過積載運行などの違反行為は、内容によってドライバー個人の責任が問われる場合もあります。無理な運行指示を受けた場合は、一人で判断せず、運行管理者や社内の担当者へ報告し、指示の内容や日時を記録しておきましょう。

特殊車両を運転する場合は、出発前に許可証や通行確認制度の回答書を確認し、対象車両、通行経路、通行時間帯、誘導車の配置など、指定された条件を把握しておくことも大切です。予定経路を通れない場合や、積載する貨物が変わった場合は、自己判断で運行を変更せず、申請担当者等に確認しましょう。

トラックGメンの連絡先・目安箱

荷主・元請事業者等による長時間の荷待ちや無理な運送依頼、過積載につながる要求などの「違反原因行為」については、国土交通省の「目安箱」から情報を提供できます。

目安箱は、トラック事業者などが荷主・元請事業者等との取引で困っていることや、改善してほしい商慣行などを国土交通省へ伝えるための窓口です。

インターネットから情報提供する場合

インターネットからは、国土交通省が設置している「目安箱」を利用できます。

荷主・元請事業者等から長時間の荷待ちを求められた、契約にない荷役作業を行った、無理な運送依頼や過積載につながる要求を受けたといった場合に、情報提供を行うことができます。

国土交通省「トラック・物流Gメン」について

電話で情報提供する場合

電話で情報を提供する場合は、最寄りの地方運輸局・運輸支局等が窓口となります。

窓口や電話番号は地域によって異なるため、最新の連絡先については国土交通省の案内ページで確認しましょう。

情報提供するときに整理しておきたいこと

トラック・物流Gメンへ情報を提供する際は、いつ、どこで、誰から、どのような要求を受けたのかを整理しておくと、状況を具体的に伝えやすくなります。

たとえば、荷待ち時間の記録、運送依頼のメールや書面、荷役作業の内容、運行条件が分かる資料などがあれば、あわせて整理しておきましょう。

なお、トラック・物流Gメンは、荷主・元請事業者等による違反原因行為について情報を収集し、是正を促すための体制です。特殊車両の無許可通行や許可条件違反などを通報するための窓口とは役割が異なります。

よくある質問

Q
トラックGメンとトラック・物流Gメンは違うのですか?
A

トラックGメンは、2024年11月から「トラック・物流Gメン」に拡充されています。荷主・元請事業者等への是正指導に加え、倉庫業者からも情報を収集する体制になっています。

Q
トラックGメンに情報提供すると、必ず相手の会社が処罰されますか?
A

情報提供によって、必ず処罰されるわけではありません。トラック・物流Gメンは、情報を収集し、事案に応じて働きかけ・要請・勧告などの是正指導を行います。これらの行政指導と、個別の法令違反に対する罰則は区別して考える必要があります。

Q
目安箱への情報提供では、どのような記録を用意するとよいですか?
A

荷主・元請事業者等の名称、発生日時・場所、要求内容、荷待ちや荷役作業にかかった時間などを整理しておくとよいでしょう。運送依頼のメールや作業記録なども、実態を説明する際に役立ちます。入力項目は、国土交通省の最新の案内をご確認ください。

Q
荷主から頼まれた輸送でも、特殊車両通行許可の確認は必要ですか?
A

はい。荷主からの依頼であっても、車両・貨物・通行経路に応じた手続きや条件の確認が必要です。許可された重量や寸法、経路と異なる依頼を受けた場合は、現在の許可で運行できるか確認し、必要に応じて申請や輸送計画を見直しましょう。

Q
特殊車両通行許可が必要か分からない場合、行政書士に相談できますか?
A

はい。車両の寸法・重量、積載する貨物、通行予定経路などを整理して、行政書士へ相談できます。行政書士法人アラインパートナーズでは、特殊車両通行許可の申請代行を扱っています。車検証や貨物の情報、出発地・目的地などをご用意いただくと、具体的な相談が進めやすくなります。

まとめ

トラックGメンは、荷主・元請事業者等による違反原因行為の情報を収集し、是正を促す国土交通省の体制です。現在は「トラック・物流Gメン」として活動しています。

荷主からの不当な要求(無理な運行計画、過積載の要求など)に悩んでいる場合は、要求内容や荷待ち時間などの記録を残しておきましょう。状況を具体的に説明できる資料は、荷主との協議やトラック・物流Gメンへの情報提供に役立ちます。

また、特殊車両を運行する事業者は、荷主等の要求への対応とあわせて、自社の許可や運行状況を確認することも重要です。特殊車両通行許可の有効期限、対象車両、通行経路、積載状態、通行条件を確認し、実際の運行と一致するよう管理しましょう。

参考資料

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