特殊車両通行許可をオンラインで申請しようとしたところ、通行予定ルートの一部が「未収録道路」と表示されて、申請ができなくて困った経験はありませんか?
未収録道路は、特殊車両通行許可の実務において、よくあることで、対応を誤ってしまうと、許可が下りるまでに大幅な時間を要することもありますので注意が必要です。
この記事では、未収録道路とは何か?、行政の対応、申請者が行うべき実務、許可までにかかる日数、そしてオンラインシステム(特車オンライン申請システム)での具体的な対応方法までを、わかりやすく解説します。

特殊車両通行許可における「未収録道路」とは
未収録道路とは、国土交通省が管理する「特殊車両通行許可システム(オンライン申請システム)」に、道路データとして登録されていない道路のことをいいます。
新設されたばかりの道路、市町村道や認定外道路においてデータ整備が追いついていない道路、工業団地・港湾施設・造成地内の道路、道路法適用外道路(管理主体が国・自治体以外)などの道路が未収録となる場合があります。
オンラインシステムでは、原則として「収録道路」しか自動判定できないために、未収録道路が含まれると自動審査ができないために、個別対応(手作業審査)となります。
国土交通省の「特殊車両通行許可等事務処理要領」からの引用です。
4 協議関係
(1) 協議書並びに協議に必要な申請書及び附属書類(経路図を除く。)の写しは、道路管理者において作成すること。
(2) 更新又は変更の申請にあっては電話連絡により協議することができること。
(3) 都道府県においては、当該都道府県区域内の市町村道のうち道路情報便覧に未収録の路線について、道路情報便覧に準ずる資料をできる限り収集し、他の道路管理者の相談及び照会に対しては積極的に応ずること。
(4) 各道路管理者の窓口等の連絡先については、道路情報便覧を参考にすること。
(5) 協議を行う場合には、附属書類のうち、自動車検査証の写し及び免許証の写しの添付を省略することができること。
引用先のURL
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/078/79000357/79000357.html

未収録道路が含まれるとどうなるのか?
オンラインで即時許可は不可
未収録道路が申請ルートに含まれる場合は、システムによる即時判定(自動許可)は行われません。必ず道路管理者による個別審査が必要となります。
審査は「道路管理者判断」
未収録道路部分については、当該道路の管理者(国・都道府県・市町村・その他管理主体)が、当該車両が物理的に通行可能か?、橋梁・交差点・幅員・構造上の問題がないか?といった点を個別に確認したうえで、通行の可否を判断します。
行政(道路管理者)の対応内容
未収録道路がある場合、道路管理者側では、道路台帳・図面による確認、現地調査(必要に応じて)、橋梁・構造物の耐荷重確認、条件付き許可(徐行・誘導員配置など)の検討が行われますので、通常の収録道路のみの申請と比べて、審査に時間がかかることがあります。
協議を受けた自治体は、図面や現地の状況を確認して、橋の強度や道路の幅員に問題がないかを判断します。このプロセスがあるので、これによって審査期間が延びる最大の要因です。
申請者(運送事業者等)がやらなければならないこと
未収録道路の管理者を特定
まず、その道路が「誰(どこ)の管理か」を明確にする必要があります。市町村道であれば市町村役場(道路管理課等)に、認定外道路や私道であれば、所有者または管理団体に、港湾や工業団地内道路であれば、それぞれ、港湾管理者や団地管理会社に問い合わせます。
追加資料の提出
道路管理者から、(詳細な)通行経路図、車両諸元表、車両軌跡図、現地写真などの資料提出を求められることがあります。
事前協議が必要な場合
特に大型や重量超過車両の場合には、申請前に道路管理者と事前協議を求められることがあります。事前協議を怠ると、差戻しや大幅な遅延につながるため注意が必要です。
このように未収録道路は、オンラインで自動判定ができないために、審査官はその道路を管理する自治体(市役所の道路課など)に対して、「この車両を通しても大丈夫ですか?」という内容の個別協議(紙やメールでの問い合わせ)を行うことがあります。
許可が下りるまでの日数の目安
未収録道路が含まれる場合の審査期間は、比較的簡易な未収録道路であれば2~3週間程度、橋梁確認や現地調査が必要な場合であれば、3~6週間以上かかる場合もあります。
どちらにしても、通常の包括申請・収録道路のみの場合(最短数日)と比べて、明らかに時間がかかります。
包括申請の場合、未収録道路はどう扱われるか
特車(特殊車両)包括申請とは、車種、通行経路、積載貨物、期間が同一の特殊車両を2台以上まとめて一度に申請する方法です。
1台ずつ申請する「普通申請」に比べて、書類作成の手間や許可証の枚数を減らせるために、複数台を保有・運行する運送会社で有効な手続きです。
包括申請(一定期間・一定条件下で複数回通行する申請)であっても、通行経路に未収録道路が含まれる場合は注意が必要です。
包括申請でも「未収録道路=個別審査」
包括申請は利便性の高い制度ですが、未収録道路については包括的な自動判定の対象とはなりません。
未収録道路部分は、初回申請時に必ず個別審査されます。道路管理者の判断により、包括対象から除外されることもあります。
条件付き包括となるケース
未収録道路部分のみ通行条件(徐行・誘導員配置)を付したり、未収録道路区間は「個別申請を要する」と明記されることがあります。
この場合、包括許可が下りていても、未収録道路を通行する都度、別途申請が必要となる点に注意が必要です。
臨時申請(単発申請)との関係
未収録道路がある場合は臨時申請が選択されやすい
特車(特殊車両)の臨時申請は、主に「仮ナンバー(自動車臨時運行許可)」の取得の場合に利用されますが、市区町村の窓口で申請し、有効期限は最長5日間です。申請には、車検証、自賠責保険証、身分証明書が必要になります。
未収録道路が含まれる場合、結果として「臨時申請(単発)」での処理となることが多くあります。理由としては、通行回数が限定されている、道路管理者が恒常的通行を想定していないといった点があげられます。
臨時申請でも審査期間は短縮されない
「臨時だから早い」ということはなく、未収録道路が含まれる限り、管理者確認や必要に応じた現地調査が行われるため、包括申請と同程度、あるいはそれ以上の期間を要することもあります。
オンラインシステム(特車オンライン申請)での対応方法
未収録道路は「手入力」で設定
特車オンライン申請システムでは、未収録道路については、経路選択時に「未収録道路」を選択し、距離・道路種別・管理者を手入力します。備考欄には補足説明を記載しておきます。
添付資料のアップロードが重要
未収録道路がある場合、添付資料の充実度が審査期間に関係してきます。明確な経路図(Googleマップ等に加筆)、未収録道路部分を明示した資料をアップロードしておきます。
未収録道路を通る際の法的義務(道路法 第47条の2)
未収録道路であっても、大型車両を通行させる場合には道路法 第47条の2(通行の許可)に基づいて、許可を得る義務があります。
道路法 第47条の2 第1項(抜粋)
道路管理者は、車両の構造又は積載物が制限(一般的制限値)を超える場合において、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため必要があると認めるときは、車両の通行を許可することができる。
この条文に基づき、たとえオンラインシステムに載っていない道であっても、行政側は「安全に通れるか」を確認する義務があるため、時間がかかる「個別協議」が発生するのです。
未収録道路対応は行政書士に依頼すべきか?
未収録道路が絡む申請では、管理者特定し、事前協議も必要ならしなければなりません。補足資料も作成します。このように専門的かつ実務負担が大きくなります。時間短縮・差戻し防止の観点から、特殊車両通行許可に精通した行政書士へ依頼するメリットは大きいといえます。



