大型車誘導区間とは?重要物流道路との違いや特車ゴールドとの関係を解説

ETC2.0

大型車誘導区間とは、特殊車両を幹線道路へ誘導し、道路の保全と安全で円滑な交通の確保を図るために指定された道路区間です。一方、重要物流道路は、平常時・災害時を問わず、安定した貨物輸送を確保することを目的としています。

この記事では、大型車誘導区間と重要物流道路の違い、特殊車両通行許可との関係、特車ゴールドを利用するための要件について、国土交通省の資料や法令をもとに解説します。

大型車誘導区間とは

大型車誘導区間とは、大型車両を耐荷力の高い幹線道路へ誘導し、道路の保全と安全で円滑な交通の確保を図るために指定された道路区間です。

日本の道路インフラは高度経済成長期に集中的に整備され、橋梁や舗装、高架構造物などの老朽化が進んでいます。特に、重量超過車両の通行は道路や橋梁へ大きな負担を与えるため、道路構造物を適切に保全することが課題となっています。

こうした背景から、「道路法等の一部を改正する法律」(平成25年法律第30号)によって大型車誘導区間制度が導入されました。道路法第47条の3に基づき、国土交通大臣が大型車両の通行を誘導すべき道路を指定します。

大型車誘導区間の主な目的

  • 大型車両を耐荷力の高い幹線道路へ誘導し、生活道路や地方道への流入を抑える
  • 重量超過車両による橋梁や舗装への負担を軽減し、道路インフラの長寿命化を図る
  • 道路の保全と安全で円滑な交通を確保する

指定される主な道路

  • 高速道路
  • 直轄国道
  • 主要な港湾・空港・鉄道貨物駅を結ぶ地方管理道路
  • 大型車両の通行が多い幹線道路

大型車誘導区間は平成26年に運用が開始され、指定区間は国土交通省のウェブサイトで確認できます。

重要物流道路とは

重要物流道路とは、平常時・災害時を問わず安定した貨物輸送を確保し、物流の円滑化を図るため、国土交通大臣が指定する道路です。

熊本地震などの災害では、道路の被災によって支援物資の輸送が滞る問題が生じました。また、物流を効率化するため、国際海上コンテナ車などの大型車両が円滑に通行できる道路環境の整備も求められていました。

こうした背景から、平成30年の道路法改正によって重要物流道路制度が創設されました。道路法第48条の17に基づき、物流上重要な道路が指定されています。

指定される主な道路

  • 高規格幹線道路
  • 地域高規格道路
  • 直轄国道
  • 主要な港湾・空港・物流施設へのアクセス道路

重要物流道路で行われる主な機能強化

  • 大型車両の通行に対応するための道路構造の強化
  • 一定の要件を満たす国際海上コンテナ車(40ft背高)の特車通行許可を不要とする区間の設定
  • 災害時における道路啓開や災害復旧への国の支援
  • 物流施設と高速道路を結ぶスマートICの整備促進

重要物流道路に指定されていても、すべての特殊車両が無条件で通行できるわけではありません。特殊車両通行許可が不要になるのは、指定された区間を一定の要件を満たす国際海上コンテナ車(40ft背高)が通行する場合に限られます。

大型車誘導区間と重要物流道路の違い

大型車誘導区間と重要物流道路は、どちらも国土交通大臣が指定する道路ですが、制度の目的や特殊車両通行許可との関係が異なります。

項目大型車誘導区間重要物流道路
根拠法令道路法第47条の3道路法第48条の17
指定する者国土交通大臣国土交通大臣
主な目的大型車両を幹線道路へ誘導し、道路の保全と安全で円滑な交通を確保する物流の円滑化と平常時・災害時の安定した貨物輸送を確保する
主な対象道路高速道路、直轄国道、物流拠点へのアクセス道路など高規格幹線道路、地域高規格道路、直轄国道、物流拠点へのアクセス道路など
特車申請との関係申請窓口の一元化や審査の迅速化につながる一部の指定区間では、一定の要件を満たす国際海上コンテナ車(40ft背高)の特車通行許可が不要になる
災害時の役割特別な代行制度はない国が道路啓開や災害復旧を代行できる場合がある

両者には重複する区間もありますが、同じ制度ではありません。大型車誘導区間は、主に大型車両を適切な道路へ誘導するための制度です。一方、重要物流道路は、物流の効率化や災害時の輸送確保も含めて道路の機能を強化する制度です。

なお、重要物流道路を通行するだけで、すべての特殊車両について通行許可が不要になるわけではありません。車両の種類や通行区間などの要件を確認する必要があります。

大型車誘導区間と特殊車両通行許可の関係

大型車誘導区間は、特車申請を不要にする制度ではありません。複数の道路管理者にまたがる経路の審査を効率化し、特殊車両を適切な幹線道路へ誘導する役割を担っています。

車両の寸法や重量が一般的制限値を超える場合は、大型車誘導区間を通行するときも、原則として特殊車両通行許可の申請が必要です。

申請・審査の一元化

大型車誘導区間を含む経路については、道路法第47条の3に基づき、国土交通大臣による一元的な審査の対象となる場合があります。経路上の道路管理者ごとに個別に申請する負担が軽減され、手続きの効率化につながります。

道路情報を利用した審査

大型車誘導区間では、道路の幅員や橋梁の耐荷力などの情報が道路情報便覧に収録されています。そのため、経路上に個別審査が必要な箇所がなければ、比較的スムーズに審査が進む可能性があります。

ただし、未収録道路や個別審査が必要な箇所を含む場合は、道路管理者への確認が必要となり、審査に時間がかかることがあります。

特車申請にかかる期間については、特殊車両通行許可の審査期間もご確認ください。

通行条件が付される場合がある

大型車誘導区間であっても、車両の寸法・重量や道路の構造によっては、徐行や誘導車の配置などの通行条件が付される場合があります。許可証の交付後は、指定された経路と通行条件を確認して運行することが大切です。

A~Dの通行条件や誘導車の配置については、特殊車両通行許可の通行条件で詳しく解説しています。

重要物流道路で特殊車両通行許可が不要になるケース

重要物流道路のうち、道路管理者が道路構造上の支障がないと認めて指定した「特殊車両通行許可不要区間」では、一定の要件を満たす国際海上コンテナ車(40ft背高)は、特殊車両通行許可を受けずに通行できます。

ただし、重要物流道路であれば、どのような特殊車両でも許可が不要になるわけではありません。

対象となる車両・通行要件

  • 国際海上コンテナ車(40ft背高)であること
  • 特殊車両通行許可不要区間を通行すること
  • 車両の寸法や重量が定められた制限値以内であること
  • 国際海上コンテナを運搬することを証明する書類を携行すること
  • ETC2.0車載器を搭載し、必要な登録を行っていること

40ft背高コンテナを積載していない状態で通行する場合も対象に含まれますが、それ以外のコンテナ車や一般の大型トラックは対象外です。

また、許可不要区間であっても、交差点での折進禁止や徐行、連行禁止などの通行条件が設けられている場合があります。実際に運行する際は、車両の要件だけでなく、指定区間や通行条件も確認する必要があります。

特殊車両通行確認制度との違い

特殊車両通行確認制度は、登録車両について、システムが検索した経路の通行可否をオンラインで確認する制度です。重要物流道路の許可不要制度とは別の制度であるため、混同しないよう注意しましょう。

特車ゴールドとは

特車ゴールドとは、正式には「ETC2.0装着車への特殊車両通行許可簡素化制度」といい、ETC2.0車載器を装着した車両を対象とする制度です。

オンライン申請システムで車両を登録し、特車ゴールドの利用登録を行うことで、特殊車両通行許可の更新手続きが簡素化されるほか、大型車誘導区間内で経路を選択できるようになります。

特車ゴールドの利用要件

特車ゴールドを利用するには、主に次の要件を満たす必要があります。

  • 業務支援用ETC2.0車載器を装着し、必要なセットアップを行っていること
  • 国が申請窓口となるオンライン申請システムを利用すること
  • オンライン申請システムで対象車両を登録すること
  • 特車ゴールドの利用登録を行うこと
  • 申請経路に大型車誘導区間が含まれていること

車両の寸法・重量や通行経路によっては、特車ゴールドを利用できない場合があります。

特車ゴールドのメリット

大型車誘導区間内で経路を選択できる

通常の特殊車両通行許可では、原則として許可を受けた経路を通行する必要があります。

特車ゴールドを利用すると、出発地と目的地が同じであれば、大型車誘導区間内の別の経路を選択できる場合があります。事故や災害、渋滞などが発生した際に、輸送計画を変更しやすくなる点がメリットです。

ただし、大型車誘導区間外の道路や個別審査が必要な箇所を自由に通行できるわけではありません。

更新手続きが簡素化される

前回の申請内容から車両や通行経路、積載貨物などに変更がない場合は、更新申請の手続きを簡素化できます。

申請手数料を抑えられる場合がある

大型車誘導区間内の迂回経路については申請手数料がかからないため、複数の経路を利用する事業者は、手数料の負担を抑えられる場合があります。

参照法令・参考資料

この記事の作成にあたり、以下の法令・資料を参照しています。

大型車誘導区間に関するよくある質問

Q
大型車誘導区間を通行すれば、特殊車両通行許可は不要ですか?
A

いいえ。車両の寸法や重量が一般的制限値を超える場合は、大型車誘導区間を通行するときも、原則として特殊車両通行許可が必要です。大型車誘導区間は、特車申請を不要にする制度ではありません。

Q
大型車誘導区間はどこで確認できますか?
A

国土交通省が公開している「大型車誘導区間の指定道路」から確認できます。ただし、実際に申請する際は、出発地から目的地までの経路全体を確認する必要があります。

Q
大型車誘導区間を選べば、特車申請の審査は早くなりますか?
A

道路情報便覧に道路情報が収録され、個別審査が必要な箇所を含まない経路であれば、比較的スムーズに審査が進む可能性があります。ただし、許可までの期間が保証されるわけではありません。

Q
ETC2.0車載器を装着すれば、特車ゴールドを利用できますか?
A

ETC2.0車載器を装着するだけでは利用できません。オンライン申請システムでの車両登録や、特車ゴールドの利用登録などが必要です。

Q
大型車誘導区間を利用した特車申請を行政書士へ依頼できますか?
A

はい。行政書士へ、車両情報や通行予定経路の確認、申請書類の作成、特殊車両通行許可申請の代行を依頼できます。経路の選び方や申請方法でお困りの場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。

まとめ

大型車誘導区間は、大型車両を耐荷力の高い幹線道路へ誘導し、道路の保全と安全で円滑な交通を確保するために指定された道路区間です。

一方、重要物流道路は、物流の円滑化や平常時・災害時の安定した貨物輸送を目的としています。両者には重複する区間もありますが、目的や特殊車両通行許可との関係は異なります。

大型車誘導区間や重要物流道路を通行する場合でも、車両の寸法・重量や通行経路によっては、特殊車両通行許可が必要です。また、特車ゴールドや許可不要制度を利用する場合も、それぞれの対象車両や利用要件を確認しなければなりません。

大型車誘導区間を利用した特車申請もご相談ください

特殊車両通行許可申請は、車両の寸法・重量だけでなく、通行経路や道路の状況なども考慮して進める必要があります。

行政書士法人アラインパートナーズは、特殊車両通行許可申請を専門に扱う行政書士事務所です。代表行政書士の八木辰男が、ご相談から申請まで一貫して対応いたします。オンラインでの手続きに対応しているため、全国の事業者様からご依頼いただけます。

「大型車誘導区間を利用した経路で申請したい」「希望する経路で通行できるか分からない」「特車ゴールドを利用できるか確認したい」という場合は、お気軽にお問い合わせください。

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