特殊車両通行許可の審査期間は?新規・変更・更新の処理期間と間に合わせる対策

コラム

セミトレーラーやフルトレーラー、ポールトレーラーなどを使って一般的制限値を超える車両を走らせる運送会社にとって、特殊車両通行許可(特車許可)の審査にどれくらい時間がかかるかは、配車計画の際にとても重要です。

国土交通省の標準処理期間は新規・変更申請で3週間、更新申請で2週間とされていますが、これはあくまで「道路情報便覧に収録された道路のみを通行する場合」の目安であり、実際には未収録道路や橋梁、大型車両の有無によって1~3か月以上かかることもあります

さらに、申請に不慣れな運送会社が自社で初めて手続きを行う場合、記載ミスや添付書類の不足による差し戻し(補正)が繰り返され、標準処理期間を大幅に超過することもあります。

道路法・車両制限令などの関係法令や国土交通省・地方整備局の公表資料をもとに、新規・変更・更新それぞれの処理期間の考え方、時間がかかる車両・経路の特徴、間に合わない場合の対策、そして許可の有効期間と延長制度について詳しく解説します。

特殊車両通行許可とは

道路法第47条第1項および車両制限令では、道路の構造を保全し交通の危険を防止するため、車両の幅・重量・高さ・長さ・最小回転半径について「一般的制限値」が定められています。

この一般的制限値のいずれか一つでも超える車両(=特殊車両)を通行させようとする者は、道路法第47条の2の規定に基づき、道路管理者から個別に通行の許可を受けなければなりません。

許可の審査では、道路法に定められた通行の禁止・制限規定に違反しないこと、橋梁を通行する場合、車両の総重量が橋梁の耐荷荷重を超えないこと、その他、道路の構造または交通に支障を及ぼさないことなどが確認されることになります。

複数の道路管理者(国道事務所・都道府県・市町村・高速道路会社など)の管理する道路をまたいで通行する場合、道路法第47条の2第2項は「前項の申請が道路管理者を異にする二以上の道路に係るものであるとき(国土交通省令で定める場合を除く)は、同項の許可に関する権限は、政令で定めるところにより、一の道路の道路管理者が行うものとするとなっています。この場合において、当該一の道路の道路管理者が同項の許可をしようとするときは、他の道路の道路管理者に協議し、その同意を得なければならない。」と規定しています。

すなわち、申請窓口となる一の道路管理者が他の道路管理者と協議し、同意を得たうえで一括して許可する仕組みです。国土交通省の解説資料等ではこの仕組みを「許可の一元化」と呼んでおり、事業者・行政書士の間では「ワンストップ申請」という通称で呼ばれることもあります。事業者側の手続きは原則として1回で済みますが、この協議が審査期間に影響を与える要因になります。

道路法からの引用です。

第四十七条 道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両(人が乗車し、又は貨物が積載されている場合にあつてはその状態におけるものをいい、他の車両を牽けん引している場合にあつては当該牽けん引されている車両を含む。第四十七条の五第三号及び第四十七条の六第一項第一号を除き、以下この節及び第八章において同じ。)の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、政令で定める。
2 車両でその幅、重量、高さ、長さ又は最小回転半径が前項の政令で定める最高限度をこえるものは、道路を通行させてはならない。
3 道路管理者は、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため必要があると認めるときは、トンネル、橋、高架の道路その他これらに類する構造の道路について、車両でその重量又は高さが構造計算その他の計算又は試験によつて安全であると認められる限度をこえるものの通行を禁止し、又は制限することができる。

新規・変更・更新申請の標準処理期間

国土交通省(地方整備局)が示している標準処理期間は、次のとおりです。

申請区分標準処理期間(目安)備考
新規申請3週間道路情報便覧に収録された道路のみで経路が完結している場合
変更申請3週間会社名・代表者変更、経路変更などを含む
更新申請2週間既存許可と同一窓口・同一内容での更新の場合

(参照元)
特殊車両通行許可申請|各種申請|国土交通省中部地方整備局 名古屋国道事務所(めいこくWEB)

「特殊車両通行申請から許可(不許可)までの標準処理期間について」/名古屋国道事務所 交通対策課 特殊車両係)
標準処理期間を明記したPDF資料(ページ内からリンクされている本体資料)

この「3週間」「2週間」という数字は、申請が道路管理者に受理されてから許可が下りるまでの標準的な処理日数であり、あくまで目安です。

自治体によってはさらに長い期間を示している例もあり、たとえば大阪市は新規格車(高速自動車国道・重さ指定道路を自由に通行できる車両)以外の一般的な申請について、受付日から6週間を標準処理期間としています。地域や道路管理者ごとに体制・処理能力が異なるため、複数の道路管理者が関与する広域申請では、最も時間のかかる道路管理者の処理速度に全体が引きずられる点に注意が必要です。

なお、既に許可を受けている経路・諸元と同一で、単に同一車種の車両(単車・トラクタ)の台数のみを追加する場合は、審査を5日以内に短縮する運用(全日本トラック協会の案内による短期審査の取扱い)も設けられています。これは限られた条件下での特例であり、トレーラのみを追加する場合や諸元が変わる場合には適用されません。

なぜ標準処理期間どおりにすすまないのか、未収録道路と個別協議の仕組み

標準処理期間はあくまで「道路情報便覧に収録された道路のみ」を通行する場合の目安です。道路情報便覧とは、全国の道路の構造(幅員・橋梁の耐荷重・カーブの曲率半径など)や交通条件を記録したデータベースで、収録道路であれば道路管理者はシステム上のデータをもとに即座に審査を開始できます。

一方で申請経路に道路情報便覧未収録の道路(多くは市町村道で、出発地・目的地付近に多い)が含まれる場合、審査の流れは大きく変わります。

特車の未収録道路とは、国土交通省のオンラインシステムで参照される「道路情報便覧」に、道路の幅員や構造などのデータが登録されていない道路のことです。主要な国道や県道と違い、一部の市町村道、工業団地や港湾内の道路、新設道路などが該当します。

この場合には次のようにすすめられます。

  1. 申請を受け付けた国道事務所などの窓口が、未収録道路を管理する道路管理者(市町村など)に個別に協議を行う。
  2. 協議先の道路管理者は、幅員・橋梁の耐荷重・曲率半径などを個別に検討して、通行の可否および条件(徐行、連行禁止、誘導車配置など)を回答する。
  3. 経路上に複数の未収録道路・複数の道路管理者が存在する場合、それぞれの回答が揃うまで待つ必要がある。
  4. 市町村道路管理者は担当職員が少ない自治体も多く、審査に日数を要しやすくなってしまう。

このプロセスは道路管理者ごとに審査基準や処理速度が異なるため、未収録道路を含む経路では1~2か月、橋梁照査など詳細な検討を要する場合は2~3か月に及ぶこともあります。

出発地・到着地の周辺(倉庫や工場の前面道路など)は市町村道であることが多く、未収録である確率が高いため、「発着地付近の道路」こそが所要日数を延ばす典型的なボトルネックになりやすいという点は注意が必要です。

初めて自社で申請する運送会社が時間を要する理由

行政書士に依頼せずに、自社で初めて特車申請を行う運送会社では、標準処理期間をさらに超えてしまうことがあります。主な理由は次のとおりです。

車両諸元・軸重計算の誤りによる補正

特殊車両通行許可の審査では、車両の諸元(軸距・軸重・隣接軸重・輪荷重など)をもとにα値や連行軸重などを計算して、橋梁やトンネルの構造基準と照合します。この計算を誤ると、道路管理者から補正(訂正・再提出)の指示が入り、そのたびに数日~数週間の手戻りが発生します。慣れない事業者は、車検証記載事項と実際の積載状態(最大積載時の軸重配分)を混同したり、けん引車とトレーラの組み合わせ(連結車)の諸元を誤って入力したりすることが多く、これが遅延の要因の一つです。

経路の入力・特定ミス

オンライン申請システム(特殊車両通行許可オンライン申請システム)では、出発地・目的地・経由地を地図上またはデータで正確に指定する必要があります。経路が不明確、あるいは道路情報便覧上のリンク(道路の区間)と実際に走行したい道路が一致していない場合、システム上でエラーとなったり、道路管理者側での経路特定に時間を要したりします。特に、交差点の右左折可否や高さ制限のある区間を経由するケースでは、慎重な経路設定が求められます。

添付書類の不備

新規申請では、車検証の写し、車両内訳書、車両諸元に関する説明書、通行経路図、既に許可を持つ場合の許可証の写しなど、複数の書類を揃える必要があります。初めての申請では書式の理解不足から必要書類が抜け落ち、道路管理者からの指摘・再提出の往復が生じやすくなります。

オンライン申請システムの操作習熟不足

国土交通省・独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が提供する特殊車両通行許可オンライン申請システムは、申請から許可証取得までを電子的に行うことで処理期間の短縮を図る仕組みですが、初めて利用するユーザーはアカウント登録(新規登録)や車両情報の入力に不慣れなため、申請データ作成自体に日数を要します。加えて、入力ミスによる差し戻しが発生すると、そのたびに審査が振り出しに戻ります。

特車ポータルサイト

繁忙期・混雑などによる待ち時間

年度末や大型連休前など、申請が集中する時期は道路管理者側の処理能力を申請件数が上回り、標準処理期間内に処理が終わらないことがあります。

国土交通省の資料でも、審査にかかる時間が年度によって変動している旨が指摘されており、慣れない事業者ほど余裕のないスケジュールで申請を行いがちなため、混雑期の影響をより強く受けます。

このように、行政書士に不慣れな運送会社が自社申請を行う場合、「補正の往復」「経路特定の手戻り」「書類不備」などの要因が積み重なって、標準処理期間(3週間・2週間)を数週間から数か月単位で超過することが実務上起こることがあります。行政書士に依頼するメリットは、これらのミスや手戻りをあらかじめなくして、道路管理者とのやり取りを一度で済ませられる点にあります。

時間がかかる車両・道路・経路の特徴

時間がかかりやすい車両

超寸法・超重量車両

セミトレーラ連結車で長さが17メートルを超えるなど、一般的制限値を大きく上回る車両は、道路管理者による詳細な構造検討(橋梁照査など)が必要になりやすく、審査が長期化しやすい傾向があります。

新規格車以外の車両

高速自動車国道および重さ指定道路を自由に通行できる「新規格車」に該当しない車両は、通行するすべての道路について個別の審査が必要となるため、時間を要しやすくなります。

新規格車とは、高速自動車国道および重さ指定道路を自由に通行できる次に示す車両を言います。ただし、その他の道路を通行する場合は、特殊な車両として取り扱われ許可申請が必要です。
国土交通省「新規格車」について
https://www.ktr.mlit.go.jp/road/sinsei/road_sinsei00000012.html

建設機械・分解不可能な貨物を積載した車両

積載貨物が特殊で分割できない場合、諸元の確認や固縛方法の確認に時間がかかることがあります。

時間がかかりやすい道路・経路

道路情報便覧未収録の道路(市町村道など)*

個別協議が必要となり最も遅延要因になりやすい区間です。

橋梁・トンネルを含む経路

橋梁の耐荷荷重やトンネルの高さ制限との照合に時間を要します。

複数の道路管理者にまたがる広域経路

道路法第47条の2第2項の規定により申請窓口は一つにまとまりますが、内部的には各道路管理者の協議・回答を待つため、関係する道路管理者の数が多いほど時間がかかります。

出発地・目的地付近の生活道路

倉庫・工場の前面道路など、未収録の可能性が高い区間が経路の起点・終点に含まれる場合、そこがボトルネックになりがちです。

通行開始日に間に合わない場合の対策

運行スケジュールに対して許可の取得が間に合わない、あるいは間に合わないおそれがある場合の実務的な対策としては、次のようなものがあげられます。

できるだけ早期に申請する

標準処理期間はあくまで目安であり、未収録道路や補正の発生を見込んで、通行開始予定日から逆算し、余裕を持ったスケジュール(数週間~1か月以上前)で申請することが基本です。

経路をできるだけ道路情報便覧の収録道路にする

可能な範囲で、収録済みの主要道路を通るルートを選定することで、個別協議の対象区間を減らし、審査期間の短縮につなげられます。

行政書士に依頼して書類・諸元の不備なくしておく

初めての申請で補正が繰り返されることによる遅延を避けるには、経験のある行政書士(行政書士法人アラインパートナーズ)に依頼し、申請時点での完成度を高めておくことが有効です。

特殊車両通行確認制度の活用

令和4年4月から開始された特殊車両通行確認制度は、あらかじめ車両を登録しておくことで、出発地・目的地等を入力するだけでオンライン上ほぼ即時に通行可能経路を確認できる制度です。

反復して同一車両・同種の輸送を行う事業者にとっては、許可制度よりも大幅なスピードアップが期待できますが、基準に適合したETC2.0車載器の搭載が必要であり、実際に通行する道路の状況によっては経路確認ができない場合もあります。

国土交通省「特殊車両通行制度について」
https://www.mlit.go.jp/road/tokusya/

既存許可への車両追加は短期審査の枠組みを使う

既に許可を受けた経路・諸元と同一条件で車両(単車・トラクタ)の台数のみを追加する場合は、5日以内での短期審査の対象となる場合があるため、該当するかどうかを窓口に確認します。

包括申請とは別の申請です。全日本トラック協会が案内している制度で、正式名称は「許可を受けた車両の諸元を超えない車両を追加する場合の審査の短期化(5日以内)」です。

全日本トラック協会(JTA)の「許可を受けた車両の諸元を超えない車両を追加する場合の審査の短期化(5日以内)」
https://jta.or.jp/member/anzen/oogata/short_examination201907.html

やむを得ず間に合わない場合は、通行開始日を許可取得後に設定し直す

無許可通行は道路法違反であり、道路管理者は基準に適合しない車両に対し通行の中止や重量の軽減等の措置を命ずることができ(道路法第47条の14)、違反には罰則(道路法第103条~第105条)が科され得ます。許可が下りるまでは絶対に通行しないという前提でスケジュールを組み直すことが必要です。

道路法からの引用です。

(車両の通行に関する措置)
第四十七条の十四 道路管理者は、第四十七条第二項の規定に違反し、若しくは同条第一項の政令で定める最高限度を超える車両の通行に関し第四十七条の二第一項の規定により付した条件に違反し、若しくは第四十七条の十第三項の回答の内容に従わないで車両を通行させている者又は道路において第四十七条第四項の規定による政令で定める基準を超える車両を通行させている者に対し、当該車両の通行の中止、総重量の軽減、徐行その他通行の方法について、道路の構造の保全又は交通の危険防止のための必要な措置をすることを命ずることができる。

許可の有効期間と延長制度

有効期間の基本的な考え方

特殊車両通行許可の有効期間は、車両の種類・通行経路・積載物の内容によって異なり、最短1日から最長2年の範囲で設定されます。おおまかな目安は次のとおりです。

旅客自動車運送事業用車両で路線を定めている場合は2年、自動車運送事業用車両で路線を定めていない車両、第二種利用運送事業用車両、経路を反復継続して走行する車両は、2年以内(ただし一定の寸法・重量を超える場合は1年以内に短縮)、その他の車両では1年以内~必要日数となっています。

実務上は、よほどの大型車両や通行が難しい道路を選ばない限り、多くの場合で2年間の許可となるケースが多いとされています。

7-2. 有効期間の延長(優良事業者制度)

平成31年4月から、一定の要件を満たす「優良事業者」(特車ゴールド制度)については、有効期間を通常の2年から4年へ延長できる制度が導入されています(超重量・超寸法車両については1年から2年への延長)。

  • 特車の優良事業者制度の要件は次の3点をすべて満たすことです。
    • 過去2年間(2年を超える期間の許可を受けている場合はその期間)に、特車通行許可に係る違反による警告等を受けたことがないこと
    • 業務支援用ETC2.0車載器を装着し、その情報を登録していること
    • Gマーク(貨物自動車運送事業安全性評価事業における安全性優良事業所)の認定を受けていること

Gマークとは、公益社団法人全日本トラック協会が認定する「安全性優良事業所」のシンボルマークです。英語の「Good(良い)」や「Glory(栄光)」の頭文字「G」に由来しています。国が推進する貨物自動車運送事業安全性評価事業に基づいており、安全確保への取り組みが優れている事業所にのみ与えられる「安全・安心・信頼」の証です。

既に許可を受けている事業者についても、上記の要件をすべて満たせば、既存の有効期間に1年または2年を追加する形での延長手続きが可能です。

ただし、この延長は自動的に適用されるものではなく、所定の手続き(特殊車両通行許可オンライン申請システムを通じた手続き)が必要である点に注意してください。

なお、「有効期間の途中で任意に期間を継ぎ足す」ことはできず、期限が到来する前に更新申請(標準処理期間の目安:2週間)を行うか、上記の優良事業者要件を満たして延長手続きを行うことで、通行の継続が可能になります。期限切れ後に通行を続けると無許可通行となるため、有効期限の管理(台帳化やリマインド設定など)が実務上非常に重要です。

国土交通省「Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000013.html

まとめとQ&A

国土交通省が示す標準処理期間は、新規申請・変更申請が3週間、更新申請が2週間。ただし、これは道路情報便覧に収録された道路のみで経路が完結している場合の目安であり、自治体によっては6週間程度を標準とする例もあります。

また、経路に道路情報便覧未収録の道路(特に出発地・目的地付近の市町村道)が含まれると、道路管理者への個別協議が必要になり、1~3か月程度に審査期間が延びることがあります。

なお、超寸法・超重量車両、新規格車に該当しない車両、橋梁・トンネルを含む経路、複数の道路管理者にまたがる広域経路は、特に審査が長期化しやすいです。

Q&A

Q1)特殊車両通行許可の「標準処理期間」とは、申請から何日で必ず許可が下りるという意味ですか?

A)いいえ、法的な確定日数ではなくあくまで目安です。国土交通省の基準では新規・変更申請が3週間、更新申請が2週間とされていますが、これは道路情報便覧に収録された道路のみを通行する場合の目安であり、未収録道路や橋梁照査、補正の発生などにより、実際の処理日数はこれより長くなることが一般的です。運行計画は標準処理期間ぎりぎりではなく、余裕を持って組むことが推奨されます。

Q2)新規申請と変更申請で処理期間に差はありますか?

A)国土交通省の基準ではどちらも標準処理期間は3週間とされ、大きな差はありません。ただし変更申請の場合、既に許可を受けた際と同一の窓口に申請すれば、変更のない付随書類の提出を省略できるため、新規申請と同じ窓口であれば実務上はやや手続きが簡素になる場合があります。逆に新規申請時と異なる窓口に変更申請を行うと、新規申請時に必要な書類を改めてすべて提出する必要があり、手間と時間がかかります。

Q3)更新申請はなぜ新規・変更より標準処理期間が短いのですか?

A)更新申請は、既に許可を受けている経路・車両諸元をベースに、有効期間のみを延長する手続きであるため、道路管理者が新規に経路や車両の適合性を一から審査する必要が少なく、標準処理期間が2週間と短めに設定されています。ただし、更新にあたって経路や車両諸元に変更がある場合は変更申請として扱われ、3週間程度を要する点に注意が必要です。

Q4)なぜ未収録道路が含まれると審査期間が大幅に延びるのですか?

A)道路情報便覧に収録されている道路であれば、道路管理者はデータベース上の情報(幅員、橋梁の耐荷重、曲率半径など)を用いて即座に審査を開始できますが、未収録道路が含まれる場合、申請を受け付けた窓口(多くは国道事務所)が、その道路を管理する自治体などに個別に協議を行って通行の可否や条件について回答を待つ必要があります。複数の未収録道路・複数の道路管理者が関係する場合は、それぞれの回答が揃うまで時間がかかり、特に職員数の少ない市町村では審査に時間がかかりやすくなっています。

Q5)出発地や目的地の近くの道路が未収録であることが多いのはなぜですか?

A)道路情報便覧は主に幹線道路や広域交通を担う道路を中心に整備されているので、工場や倉庫の前面道路といった生活道路(市町村道)は収録がすすんでいないことが多いためです。

そのため、経路全体としては幹線道路が中心であっても、発着地点の「最後の数百メートル」が未収録道路に該当して、そこが個別協議の対象となって審査全体の期間を延ばす原因になることがあります。

Q6)行政書士に依頼せず自社で申請すると、具体的にどのくらい遅れる可能性がありますか?

A)ケースバイケースですが、車両諸元の入力ミスや添付書類の不備による補正が1回発生するごとに数日から数週間の手戻りが生じる可能性があります。未収録道路を含む経路と組み合わさると、本来3週間程度で済むはずの新規申請が1~2か月、場合によっては2~3か月に及ぶこともあります。慣れない事業者ほど、経路特定や軸重計算の誤りに気づかないまま申請してしまい、複数回の補正を経ることが多い点が主な遅れる要因です。

Q7)オンライン申請システムを使えば審査は早くなりますか?

A)オンライン申請システムは、申請データの送信、申請状況の照会、許可証の取得までを電子的に行えるため、書面申請に比べて手続き上のタイムロスを減らし、処理期間の短縮につながる仕組みとして提供されています。

ただし、システムを初めて使う場合はユーザーの新規登録や画面操作に不慣れなため、データ作成自体に時間がかかることがあり、入力ミスがあれば差し戻しの対象になる点は書面申請と変わりません。

Q8)特殊車両通行確認制度と特殊車両通行許可制度はどう違いますか?

A)特殊車両通行許可制度は、申請のたびに道路管理者が個別に審査・許可を行う制度です。これに対し特殊車両通行確認制度は、令和4年4月から始まった制度で、あらかじめ車両を登録しておけば、出発地・目的地等を入力するだけでオンライン上ほぼ即時に通行可能経路を確認できて、登録は5年間有効ですが、基準に適合したETC2.0車載器の搭載が必要であり、実際の道路状況によっては経路確認ができない場合もあるため、すべての輸送がこの制度でカバーできるわけではありません。反復的な定型輸送を行う事業者には特に有効な選択肢です。

Q9)車両を1台追加するだけの変更でも、通常の変更申請と同じだけ時間がかかりますか?

A)既に許可を受けた経路・車両諸元(合成値)と同一条件で、同一車種の車両(単車・トラクタに限る)の台数のみを追加する場合は、5日以内に審査を短縮する取扱いが設けられていますが、トレーラのみを追加する場合や、台数以外の内容(軸種、経路、有効期間の終了日など)を変更する場合は対象外となり、通常の変更申請の手続き・期間が適用されます。該当するかどうかは事前に申請窓口に確認することをお勧めします。

Q10)通行開始予定日に許可が間に合いそうにない場合、どうすればよいですか?

A)まず、許可が下りるまでは絶対に通行を開始しないことが大前提になります。無許可通行は道路法違反であり、道路管理者は通行の中止や重量の軽減等の措置を命ずることができて、罰則の対象にもなり得ます。

対策としては、(1)通行開始日を許可取得見込み日以降に組み直す、(2)経路を収録道路中心に見直して審査の迅速化を図る、(3)行政書士に依頼して書類・諸元の不備をなくし手戻りを防ぐ、(4)反復輸送であれば特殊車両通行確認制度の活用を検討する、といった方法が考えられます。

Q11)許可の有効期間はどのように決まりますか?

A)許可の有効期間は車両の種類、通行経路、積載物の内容によって決まり、最短1日から最長2年の範囲で設定されるのが基本となります。

旅客自動車運送事業用で路線を定めている車両は2年、経路を反復継続して走行する車両も原則2年以内(ただし一定の寸法・重量を超える場合は1年以内)とされ、それ以外の車両は1年以内から必要日数までと幅があります。実務上は、極端に大型の車両や通行困難な道路を選ばない限り、2年間の許可となるケースが多くなっています。

Q12)有効期間を途中で延長することはできますか?

A)有効期間そのものを任意のタイミングで延長する仕組みはなく、期限が到来する前に更新申請を行う必要があります。

例外としては、平成31年4月から導入された優良事業者向けの延長制度があって、(1)過去2年間に違反による警告等を受けていない、(2)業務支援用ETC2.0車載器を装着し情報登録している、(3)Gマーク(安全性優良事業所)の認定を受けている、という3要件をすべて満たす事業者は、通常2年の有効期間を4年に(超重量・超寸法車両は1年を2年に)延長できます。既存の許可についても、要件を満たせば所定の手続きにより延長が可能です。

Q13)更新申請は許可期限が切れる直前に行っても間に合いますか?

A)更新申請の標準処理期間は2週間とされていますが、これもあくまで目安であり、経路や道路管理者の状況によってはこれより時間がかかることがあります。有効期限ぎりぎりに申請すると、審査中に期限が切れてしまい通行できない期間が生じるおそれがありますので、余裕を持って、少なくとも1か月程度前を目安にして、更新申請の準備を始めることが望ましいです。

Q14)高速道路(高速自動車国道)を通行する場合も特車許可は必要ですか?

A)高速道路も必要になります。高速自動車国道も道路法上の道路であるために、一般的制限値を超える車両は高速道路会社等の道路管理者に係る許可・協議の対象となります。

地方整備局経由での一括申請が可能な場合もありますが、経路や申請システム上の取扱いを事前に確認することが重要です。

Q15)橋梁を通る経路が含まれると、なぜ審査が長くなるのですか?

A)道路法および車両制限令の運用上、橋梁を通行する場合は車両の総重量が当該橋梁の耐荷荷重を超えないことが許可の要件の一つとされています。橋梁ごとに構造・耐荷重が異なるため、道路情報便覧に収録されていない橋梁や、特殊な構造の橋梁については、道路管理者が個別に構造計算(橋梁照査)を行う必要があり、この照査に時間を要することが審査長期化の一因となります。

参考・出典

国土交通省 関東地方整備局「特殊車両通行許可制度」「特殊車両通行ハンドブック2025年4月版」
国土交通省中部地方整備局「特殊車両通行許可申請」
大阪市「特殊車両の通行許可申請について」
独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構「特殊車両通行許可 オンライン申請システム 操作マニュアル」
「車両制限令違反車両に対する取組」
一般財団法人道路新産業開発機構(特車登録センター)「特殊車両通行確認制度の概要」
公益社団法人全日本トラック協会「特殊車両通行許可における優良事業者の有効期間の延長について」
「許可を受けた車両の諸元を超えない車両を追加する場合の審査の短期化(5日以内)」

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