道路を走行する車両には、「大きさ・重さ」に関するルールがあります。その根拠となるのが車両制限令です。
このルールに違反すると、過積載違反や無許可通行となり、行政処分や罰則の対象になります。
車両制限令(車限令)とは
車両制限令とは、道路の保全と交通の安全確保のために、道路を通行できる車両の構造・重量・寸法の限度を定めた政令です。略して車限令と言われることもあります。
正式には「車両制限令(昭和36年政令第265号)」に基づき規定されています。
根拠法令(条文)としては、車両制限令は、道路法 第47条(道路の構造の保全等)と
第47条の2(特殊車両の通行)を根拠としています。
道路法からの引用です。
第四十七条 道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両(人が乗車し、又は貨物が積載されている場合にあつてはその状態におけるものをいい、他の車両を牽けん引している場合にあつては当該牽けん引されている車両を含む。第四十七条の五第三号及び第四十七条の六第一項第一号を除き、以下この節及び第八章において同じ。)の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、政令で定める。
2 車両でその幅、重量、高さ、長さ又は最小回転半径が前項の政令で定める最高限度をこえるものは、道路を通行させてはならない。
道路法は「枠組み」を定めており、車両制限令が「具体的な数値基準」を定めています。
道路法の役割としては、道路の管理や保全に関する基本法であり、道路を損傷させないこと交通の危険を防止することを目的としています。
車両制限令は、道路法の委任によって車両の幅・高さ・長さ、車両の重量、軸重などの具体的な数値制限を規定します。
車両制限令の一般的制限値
車両制限令第3条により、一般車両の制限値が定められています。
- 車両制限令の寸法の制限は次のとおりです。
- 幅:2.5m以下
- 高さ:3.8m以下(指定道路は4.1m)
- 長さ:12m以下
- 車両制限令の重量の制限は次のとおりです。
- 総重量:20トン以下(条件により25トン)
- 軸重:10トン以下
- 輪荷重:5トン以下
最小回転半径は12m以下です。
車両制限令からの引用です。
(車両の幅等の最高限度)
第三条 法第四十七条第一項の車両の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、次のとおりとする。
一 幅 二・五メートル
二 重量 次に掲げる値
イ 総重量 高速自動車国道又は道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路を通行する車両にあつては二十五トン以下で車両の長さ及び軸距に応じて当該車両の通行により道路に生ずる応力を勘案して国土交通省令で定める値、その他の道路を通行する車両にあつては二十トン
ロ 軸重 十トン
ハ 隣り合う車軸に係る軸重の合計 隣り合う車軸に係る軸距が一・八メートル未満である場合にあつては十八トン(隣り合う車軸に係る軸距が一・三メートル以上であり、かつ、当該隣り合う車軸に係る軸重がいずれも九・五トン以下である場合にあつては、十九トン)、一・八メートル以上である場合にあつては二十トン
ニ 輪荷重 五トン
三 高さ 道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路を通行する車両にあつては四・一メートル、その他の道路を通行する車両にあつては三・八メートル
四 長さ 十二メートル
五 最小回転半径 車両の最外側のわだちについて十二メートル
なお、「高さ3.8m」というのは、海上コンテナなどで超過しやすく、「総重量20t」は過積載と密接に関係しています。「軸重10t」というのは取締りで重視されています。
特殊車両通行許可制度との関係
道路法や車両制限令は法令ですが、特殊車両通行許可は、法令の基づく手続きなどを決めた制度です。車両制限令の基準を1つでも超える場合は、特殊車両通行許可が必要になります。
- 特殊車両とは次のいずれかに該当する車両です。
- 幅・高さ・長さが制限超過
- 総重量・軸重が制限超過
許可の方法など内容ですが、道路管理者(国・都道府県・市町村)が、通行経路・通行時間・条件(誘導車など)を指定して許可を出します。
車両制限令と過積載の違い
過積載とは
過積載とは、道路交通法に基づき、車両の最大積載量を超えて貨物を積載することです。
根拠法令は道路交通法 第57条(積載の制限)になります。
道路交通法からの引用です。
(乗車又は積載の制限等)
第五十七条 車両(軽車両を除く。以下この項及び第五十八条の二から第五十八条の五までにおいて同じ。)の運転者は、当該車両について政令で定める乗車人員又は積載物の重量、大きさ若しくは積載の方法(以下この条において「積載重量等」という。)の制限を超えて乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。ただし、第五十五条第一項ただし書の規定により、又は前条第二項の規定による許可を受けて貨物自動車の荷台に乗車させる場合にあつては、当該制限を超える乗車をさせて運転することができる。
車両制限令との違い
| 項目 | 車両制限令 | 過積載 |
|---|---|---|
| 法律 | 道路法 | 道路交通法 |
| 規制対象 | 車両の構造・重量 | 積載量 |
| 目的 | 道路保護 | 交通安全 |
| 違反例 | 重すぎる車両 | 積みすぎ |
車両制限令というのは、道路に対して重すぎる場合、過積載とは車に対して積みすぎというイメージです。似ていますが全く別の規制です。
違反や罰則について
- 車両制限令違反の場合は次のとおりです。
- 指導・警告
- 通行禁止
- 是正命令
- 許可取消
- 過積載違反の場合は次のとおりです。
- 罰金
- 違反点数
- 事業者行政処分(運送業)
それと、両方違反になるケースがあります。例えば、最大積載量オーバー(過積載)と総重量20t超過(車両制限令違反)などの場合です。同時違反も多くあります。
違反した場合の罰則やリスクですが、運送会社は監査対象となり、建設業であれば元請責任問題になります。
荷主勧告制度
荷主勧告制度とは、運送事業者の過積載や過労運転(長時間労働)の原因が荷主の無理な指示にある場合に、国土交通大臣が荷主に対して改善を「勧告」し、企業名と違反内容を公表する制度です(貨物自動車運送事業法第64条)。安全な物流環境の確保を目的とし、近年は違反の未然防止や指導が強化されています。
運送会社だけでなく、無理な積載や運行を強いた荷主に対しても「勧告」が行われ、企業名が公表されるリスクがあります。
貨物自動車運送事業法からの引用です。
(荷主の責務)
第六十四条 荷主(次に掲げる者を含む。次条において同じ。)は、貨物自動車運送事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令を遵守して事業を遂行することができるよう、必要な配慮をしなければならない。
最後に
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Q&A
まとめを兼ねてQ&Aをつくりました。参考にしてください。
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