「ユニック車」と「クレーン車」ですが、どちらもクレーン機能を持つ車両となっています。しかし、その定義・構造・法的位置づけは大きく異なります。
特殊車両通行許可(特車申請)においては、この違いを正確に理解しておかなければ、申請漏れや道路法違反になってしまいます。
両者の基本的な違いから、道路法・クレーン等安全規則・道路運送車両法にもとづく法的扱いの差、そして特殊車両通行許可のポイントまでを詳しく解説します。
ユニック車とは?
ユニック車とは、平ボディのトラック(荷台)にクレーンを搭載した車両のことです。正式名称は「搭載型トラッククレーン」、または「積載型トラッククレーン」)といいます。
「ユニック」という名称は、搭載型トラッククレーンを製造・販売する古河ユニック株式会社の商品名に由来しており、同社製品の普及とともに業界全体でユニック車という呼び方が定着しました。
古河ユニック株式会社
https://www.furukawaunic.co.jp/
1961年(昭和36年)、日本初の積載形クレーンを発売し、商品名を「UNIC」と命名。さらに1970年(昭和45年)に、社名もUNICに改めました。
ユニック車の製品
https://www.furukawaunic.co.jp/products/truck-mounted-cranes/medium-duty/
ユニック車の構造と特徴
ユニック車は、トラックの運転席と荷台の間(キャブバック)、または荷台の後部にクレーンが取り付けられており、荷物の積み込み・積み下ろしをクレーンで行いながら、トラックとして道路を走行・運搬する機能を兼ね備えています。
- ユニック車の特徴は次のとおりです。
- 1台2役:走行(運搬)とクレーン作業の両方が可能
- 小回りが利く:大型車両が入れない住宅地の現場でも活躍
- 汎用性が高い:建設・土木・電気工事など幅広い現場で使用
ユニック車の主な種類
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| キャブバック型 | 運転席と荷台の間にクレーンを搭載。最も一般的なタイプ |
| 荷台後部搭載型 | 荷台の後方にクレーンを搭載するタイプ |
| ダンプユニック | ダンプトラックにクレーンを搭載した希少タイプ |
クレーン車とは?
クレーン車とは、クレーン装置を搭載した車両の総称です。ユニック車もクレーン車の一種に含まれますが、一般的に「クレーン車」と呼ぶ場合は、クレーン作業を主目的として設計された専用機械を指すことが多いです。

クレーン車の主な種類
トラッククレーンはトラックの走行部にクレーン装置を組み合わせた車両です。ユニック車もこの一種になります。
ラフタークレーン(ラフテレーンクレーン)は1つの運転席からクレーン操作も走行も行える自走式クレーンです。不整地の走行に優れており、建設現場や工事現場で多用されます。法的には道路運送車両法上「特殊用途自動車(作業用自動車)」として登録されます。
オールテレーンクレーンは、ラフタークレーンより大型で、オフロード走行と高速道路走行の両方に対応した大型クレーンです。
クローラークレーンは、クローラー(履帯)で走行する自走式クレーンです。大規模工事に使用されますが、自力での公道走行はできないため、トレーラーに積載して運搬します。
オールテレーンクレーンは高速道路走行を前提として設計されている車両が多く、高速移動能力に優れていますが、ラフタークレーンは法定最低速度の関係などから、高速道路を走行できない車種もあります。そのため、現場間移動では一般道中心となるケースが多くなります。

ユニック車とクレーン車の主な違い
| 比較項目 | ユニック車 | クレーン車(ラフター等) |
|---|---|---|
| 正式名称 | 搭載型トラッククレーン | 移動式クレーン(ラフテレーンクレーン等) |
| 主な目的 | 荷物の運搬+クレーン補助 | クレーン作業が主目的 |
| 構造 | トラックにクレーンを架装 | クレーン専用設計の自走式 |
| 道路運送車両法上の区分 | 貨物自動車 | 特殊用途自動車(作業用) |
| 荷台 | あり(荷物を積載可能) | なし(荷物の運搬は不可) |
| 吊り上げ能力 | 比較的小さい(数トン程度) | 大きい(25t?数百tクラス) |
| 取得免許(走行) | 車両総重量に応じた自動車運転免許 | 大型特殊自動車免許 |
| クレーン操作資格 | 吊り上げ荷重1t以上:移動式クレーン運転士免許 or 小型移動式クレーン技能講習 | 吊り上げ荷重3t以上:移動式クレーン運転士免許(必須) |
| 特殊車両通行許可 | 一般的制限値を超えた場合に必要 | 多くの場合、構造自体が制限値超で許可が必要 |
関係する主な法令
ユニック車・クレーン車に関わる法令は複数あります。
道路法(昭和27年法律第180号)・車両制限令(昭和36年政令第265号)
道路の構造保全と交通の安全を目的として、公道を通行できる車両の寸法・重量の最高限度(一般的制限値)を定めています。この値を超える車両は「特殊車両」とみなされ、道路管理者の特殊車両通行許可を受けなければなりません(道路法第47条の2)。
道路法からの引用です。
第四十七条 道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、道路との関係において必要とされる車両(人が乗車し、又は貨物が積載されている場合にあつてはその状態におけるものをいい、他の車両を牽けん引している場合にあつては当該牽けん引されている車両を含む。第四十七条の五第三号及び第四十七条の六第一項第一号を除き、以下この節及び第八章において同じ。)の幅、重量、高さ、長さ及び最小回転半径の最高限度は、政令で定める。
2 車両でその幅、重量、高さ、長さ又は最小回転半径が前項の政令で定める最高限度をこえるものは、道路を通行させてはならない。

道路運送車両法(昭和26年法律第185号)
車両の構造・装置の安全基準(保安基準)と車検制度を定めています。ユニック車は「貨物自動車」、ラフタークレーンは「特殊用途自動車(作業用自動車)」として登録・車検を受けます。
車検(道路運送車両法)と特殊車両通行許可(道路法)は管轄が異なる別制度です。車検を通過していても、公道通行に特車許可が別途必要な場合があります。
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)・クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)
クレーン装置の安全基準・点検・資格要件を定めています。吊り上げ荷重0.5t以上のクレーンは「移動式クレーン」として各種規制の対象となります。
| 吊り上げ荷重 | 必要な資格 |
|---|---|
| 0.5t未満 | 特別教育(クレーン等安全規則第67条) |
| 0.5t以上1t未満 | 小型移動式クレーン運転特別教育 |
| 1t以上5t未満 | 小型移動式クレーン運転技能講習 |
| 5t以上(ユニック車)/3t以上(クレーン車) | 移動式クレーン運転士免許(労働安全衛生法第61条) |
クレーン等安全規則では、吊り上げ荷重3t以上の移動式クレーンについて、移動式クレーン運転士免許の取得を義務付けています(同規則第68条)。
道路交通法(昭和35年法律第105号)
公道を走行する際の交通ルールを定めています。ユニック車・クレーン車ともに適用されます。クレーン車による作業で道路を占用する場合には、道路使用許可(道路交通法第77条)の申請も必要になることがあります。
特殊車両通行許可
特殊車両とは
道路法・車両制限令に定める一般的制限値を超える車両は、すべて「特殊車両」として扱われます。
| 制限項目 | 一般的制限値 |
|---|---|
| 幅 | 2.5m |
| 長さ | 12m |
| 高さ | 3.8m(指定道路は4.1m) |
| 総重量 | 20t(重さ指定道路は最大25t) |
| 軸重 | 10t |
| 輪荷重 | 5t |
| 最小回転半径 | 12m |
上記のうち1つでも超える場合は特殊車両となり、道路管理者への通行許可申請が必要です(道路法第47条の2第1項)。
道路法からの引用です。
(限度超過車両の通行の許可等)
第四十七条の二 道路管理者は、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないと認めるときは、前条第二項の規定又は同条第三項の規定による禁止若しくは制限にかかわらず、当該車両を通行させようとする者の申請に基づいて、通行経路、通行時間等について、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため必要な条件を付して、同条第一項の政令で定める最高限度又は同条第三項に規定する限度を超える車両(以下「限度超過車両」という。)の通行を許可することができる。
許可の区分と条件
特殊車両通行許可には、車両の重量・寸法に応じた通行条件(A~D条件)が付与されます。条件が厳しいほど、誘導車(先導車・後続車)の配置や夜間走行、徐行義務などが課せられます。
「特車許可のABCD」とは、特殊車両通行許可において車両の重量や寸法に応じて付される4段階の通行条件(A・B・C・D)のことです。A条件が最も制限が緩く(条件なし)、D条件が最も厳しい制限(徐行や誘導車の配置など)を意味します。
ユニック車の特殊車両通行許可における扱い
許可が必要になる場合
ユニック車は、道路運送車両法上は通常の貨物自動車(トラック)に分類されます。そのため、特殊車両通行許可の判定も、トラックと同様に車両諸元(実寸・重量)が一般的制限値を超えるかどうかで判断します。
小型のユニック車(4tトラックベース等)であれば、制限値内に収まるケースも多く、その場合は特殊車両通行許可は不要ですが、大型ユニック車や長尺のブームを搭載したタイプでは、高さや総重量が制限値を超えることがあり、許可申請が必要になります。
申請の車種区分
ユニック車の特車申請における申請車種は「トラック(貨物自動車)」として申請します。
クレーンブームの高さ
走行時にクレーンのブーム(アーム)を折りたたんでいても、ブームの格納状態での高さが3.8m(指定道路は4.1m)を超える場合、高さ制限の特車許可が必要です。
クレーン車(移動式クレーン)の特殊車両通行許可における扱い
ラフタークレーンは「ほぼ確実に」許可が必要
ラフタークレーンなどの大型移動式クレーンは、荷物を積載していなくても車体構造そのものが一般的制限値を超えているケースが多く、許可なしに公道を走行することは原則できません。ラフタークレーンは、ほぼ確実に許可が必要と思っておいたほうが良いでしょう。
例えば25tラフタークレーンの場合、車両総重量は30t前後になることが多く、一般的制限値の20tを大幅に超えます。また、クレーン車は車体がコンパクトである分、重量が特定の軸・タイヤに集中しやすく、軸重(上限10t)や輪荷重(上限5t)でも制限値を超えることが多いのが特徴です。
申請の車種区分
クレーン車(ラフタークレーン・トラッククレーン等)の特車申請における申請車種は「建設機械」として申請します。これはユニック車(トラックとして申請)と大きく異なる点です。
道路使用許可との併用
ラフタークレーンなどが現場で道路を占用してクレーン作業を行う場合は、特殊車両通行許可(道路法)に加えて、道路使用許可(道路交通法第77条)の取得が必要になることがほとんどです。さらに、足場などを設置する場合は道路占用許可(道路法第32条)も必要になる場合があります。
前オーナーの許可
中古でクレーン車を購入した場合、前オーナーが取得した特殊車両通行許可は購入者には引き継がれません。購入後すみやかに自社名義での申請が必要です。
特車許可申請時の注意点
ユニック車・クレーン車に共通する注意事項
車検と特車許可は別制度です。車検(道路運送車両法)は「安全に走れる性能があるか」を審査するものであり、特車許可(道路法)は「道路や橋を壊さないか」を審査するものです。車検を通過していても、公道通行には特車許可が別途必要な場合があります。
特車許可では走行経路ごとに許可が必要になります。特殊車両通行許可は、申請した経路についてのみ有効です。許可証に記載されていない経路を走行することはできません。
オンライン申請を利用できます。国土交通省が提供する「特殊車両通行申請手続きサイト(NITAS)」を利用することでオンライン申請ができます。ただし、移動式クレーンの場合、国道を通行しないケースではオンライン申請が使えないこともあります。
https://www.tokusya.ktr.mlit.go.jp/PR/
申請には車両の諸元(寸法・重量・軸距等)、通行経路、通行日時等を記載した書類が必要です(道路法第47条の2第2項)。
ユニック車・クレーン車での申請内容
| 申請項目 | ユニック車 | クレーン車(移動式クレーン) |
|---|---|---|
| 申請車種区分 | 貨物自動車(トラック) | 建設機械 |
| 許可が必要になる頻度 | 大型車両の場合に多い | ほぼ常時必要 |
| 道路使用許可の要否 | 原則不要 | 現場作業時は必要なことが多い |
| 道路占用許可の要否 | 原則不要 | 足場設置等で必要な場合あり |
まとめ
ユニック車とクレーン車は、どちらもクレーン装置を持つ車両ですが、その目的・構造・法的区分・特殊車両通行許可の取り扱いはそれぞれ異なります。
ユニック車は「荷物の運搬+クレーン補助」を目的としたトラックであり、道路運送車両法上は貨物自動車として扱われます。特車申請では「トラック」として申請し、許可が必要かどうかは車両の実寸・重量次第です。
クレーン車(移動式クレーン)は「クレーン作業が主目的」の専用機械であり、特殊用途自動車として登録されます。特車申請では「建設機械」として申請し、大型機種は構造上ほぼ確実に許可が必要です。
特殊車両通行許可の申請を誤ると、道路法違反(罰則:100万円以下の罰金または懲役1年以下)となるリスクがあります。車両の種類・用途・諸元を正確に把握したうえで、適切な申請を行いましょう。
申請手続きに不安がある場合は、特殊車両通行許可の専門家である行政書士法人アラインパートナーズへ気兼ねなく、お問い合わせフォームなどからご相談してください。当法人は、特殊車両通行許可申請を専門に扱う特車申請代行の行政書士事務所で、全国からのご依頼に対応しており、特車申請の申請件数・対応台数も豊富です。

参照先と参考法令
参考法令
道路法(昭和27年法律第180号)第47条、第47条の2
車両制限令(昭和36年政令第265号)第3条、第4条
車両の通行の許可の手続等を定める省令(昭和36年建設省令第28号)
道路運送車両法(昭和26年法律第185号)
道路交通法(昭和35年法律第105号)第77条
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第61条
クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第68条
参照サイト
国土交通省「特殊車両通行制度について」
https://www.mlit.go.jp/road/road/traffic/tokusya/
国土交通省 特殊車両通行申請手続きサイト(NITAS)
https://www.tokusya.ktr.mlit.go.jp/PR/
全日本トラック協会「特殊車両通行許可制度等について」
https://jta.or.jp/member/anzen/oogata.html
国土交通省関東地方整備局「特殊車両通行ハンドブック」
https://www.ktr.mlit.go.jp/road/tokusya/
内閣府規制改革推進室「道路通行車両の制限」
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/oto/otodb/japanese/faq/qa/q5-2.html
ラフタークレーン(ラフテレーンクレーン)の用途・性能・法律・種類など解説
https://tokusha.office-align.com/3368
(2026年)特車の架装メーカー、冷凍車・冷蔵車・クレーン車・車両運搬車編
https://tokusha.office-align.com/4317



