重量や寸法が一般的制限値を超えるトラックやトレーラーが公道を走行するには、原則として特殊車両通行許可が必要です。
複数の車両を保有している運送事業者や建設事業者の場合は、一定の条件を満たす車両をまとめて申請する「包括申請」を利用できることがあります。包括申請を活用すれば、車両ごとに申請書を作成する負担を軽減できます。
この記事では、特殊車両通行許可の包括申請とその審査方法について、普通申請や一括申請との違い、利用するメリット・注意点、手続きの流れを詳しく解説します。
特殊車両通行許可制度の基本
道路法では、車両の幅・高さ・長さ・重量などについて、道路を通行できる一般的制限値が定められています。たとえば、幅2.5m、高さ3.8m、長さ12m、総重量20tなどです。
セミトレーラー、ポールトレーラー、ラフタークレーンなど、車両の構造や積載する貨物によって一般的制限値を超える車両が道路を通行する場合は、事前に通行経路を定め、道路管理者から特殊車両通行許可を受ける必要があります。
特殊車両通行許可申請は、事業者自身で行うほか、行政書士へ申請代行を依頼することもできます。

包括申請・包括審査とは?
包括申請とは
包括申請とは、一定の条件を満たす複数の車両を、まとめて申請する方法です
申請車両が1台の場合は「普通申請」、2台以上の場合は「包括申請」に区分されます。
包括申請を行うには、原則として、申請する車両の車種・通行経路・積載貨物・通行期間が同じであることが必要です。たとえば、同じ貨物を積載し、同じ経路を通行する同型のトラックを複数台保有している場合などに利用できます。
連結車の場合は、トラクタとトレーラの組み合わせや車両諸元などを確認し、包括申請が可能な車両を整理して申請します。
包括申請における審査方法
包括申請では、申請した複数車両の諸元をもとに、道路構造や交通に与える影響が最も大きくなるように合成した車両を基準として審査が行われます
単に特定の1台を代表車両として選ぶのではなく、申請車両の幅・高さ・長さ・重量・軸距などから、審査上最も厳しい数値を用いた車両諸元が作成されます。そのため、合成された車両の条件によっては、申請した車両すべてに厳しい通行条件が付されることもあります。
普通申請との違い
普通申請と包括申請の違いは、主に申請する車両の台数です。
| 項目 | 包括申請 | 普通申請 |
|---|---|---|
| 申請車両台数 | 2台以上 | 1台 |
| 主な条件 | 車種・通行経路・積載貨物・通行期間などが同じ | 1台の車両について申請 |
| 向いているケース | 同じ条件で運行する車両を複数保有している場合 | 申請する車両が1台の場合 |
| 車両関係書類 | 複数車両をまとめて作成 | 1台分を作成 |
複数の経路を申請するかどうかによって区分されるものではなく、普通申請でも複数の経路を申請できます。

「一括申請」との違い
包括申請と混同しやすい言葉に「一括申請」がありますが、両者はまとめる対象が異なります。
包括申請は、一定の条件を満たす複数の車両をまとめて申請する方法です。
一方、一括申請は、複数の道路管理者が管理する道路にまたがる経路について、そのうちの一つの道路管理者へまとめて申請する方法をいいます。
一括申請を受け付けた道路管理者が、申請経路を管理するほかの道路管理者と協議を行います。ただし、指定市以外の市町村では、ほかの道路管理者が管理する道路を含む一括申請を受け付けられないため、申請先の確認が必要です。
包括申請・一括申請・普通申請の比較
| 申請区分 | 内容 |
|---|---|
| 包括申請 | 一定の条件を満たす2台以上の車両をまとめて申請する |
| 一括申請 | 複数の道路管理者にまたがる経路について、一つの道路管理者へまとめて申請する |
| 普通申請 | 1台の車両について申請する |
申請内容によっては、複数車両を対象とする包括申請であり、同時に複数の道路管理者へ協議する一括申請でもある、というケースがあります。
包括申請のメリット
複数の車両を個別に申請するのではなく、包括申請を利用することで、次のようなメリットがあります。
- 複数車両の申請書類をまとめて作成できる
- 申請内容や許可期間をまとめて管理しやすい
- 更新時期の管理がしやすくなる
- 車両ごとに申請する場合と比べて事務作業を効率化できる
特に、同型のトラックやトレーラを複数保有し、同じ貨物を同じ経路で運搬する事業者にとって、包括申請は申請・許可管理の負担軽減につながります。
ただし、包括申請を利用しても、必ずしも手数料が安くなったり、審査期間が短くなったりするわけではありません。
通行経路が2つ以上の道路管理者にまたがる場合の手数料は、原則として「申請車両台数×申請経路数×200円」で計算されます。
包括申請のデメリットと注意点
包括申請では複数の車両をまとめて申請できますが、すべての車両を自由に組み合わせられるわけではありません。車種・通行経路・積載貨物・通行期間などの条件をそろえる必要があります。
また、包括申請の審査では、申請車両の諸元をもとに、道路への影響が最も大きくなるように合成した車両が使用されます。そのため、一部の車両の重量や寸法が大きいと、申請車両全体に厳しい通行条件が付される可能性があります。
車両ごとの諸元に差がある場合は、すべてを一つの包括申請にまとめるよりも、条件が近い車両ごとに分けて申請したほうが適切なこともあります。
許可を受けていない経路を通行することはできません。許可後に経路の追加や車両の変更などが必要になった場合は、変更内容に応じて変更申請または新規申請が必要になります。
さらに、包括申請の場合は、許可証・条件書・経路図に加えて、車両内訳書も車両に備え付ける必要があります。許可期間や許可条件とあわせて、適切に管理しましょう。
包括申請ができる主な条件
包括申請を行うためには、原則として、申請する複数の車両について次の条件が同じである必要があります。
- 車種
- 通行経路
- 積載貨物
- 通行期間
このほか、連結車ではトラクタとトレーラの組み合わせ、軸種・軸距・車両諸元などの確認も必要です。車両の条件によっては、一つの包括申請にまとめられない場合があります。
包括申請ができるか判断する際は、車検証、車両諸元表、外観図などを確認し、申請する車両の条件を正確に整理することが重要です。
包括申請の手続きの流れ
特殊車両通行許可は、オンライン申請のほか、申請窓口へ書類を提出する方法があります。複数の道路管理者にまたがる経路を申請する場合などは、申請先を事前に確認しましょう。
包括申請のおおまかな流れは、次のとおりです。
- 申請する車両と運行計画を整理する
- 包括申請の条件を満たす車両を分類する
- 車両情報や通行経路を入力・作成する
- 必要書類をそろえて申請する
- 道路管理者による審査・協議を受ける
- 必要に応じて手数料を納付する
- 許可証・条件書などの交付を受ける
1.申請する車両と運行計画を整理する
まずは、申請する車両の車検証や車両諸元表を確認し、車種、寸法、重量、軸種、軸距などの情報を整理します。あわせて、積載する貨物、通行経路、通行期間も確認します。
2.包括申請の条件を満たす車両を分類する
複数の車両のうち、車種・通行経路・積載貨物・通行期間などが同じ車両を分類します。車両諸元の違いによって通行条件が厳しくなる可能性があるため、どの車両を同じ申請にまとめるか慎重に判断することが大切です。
3.申請データと必要書類を作成する
車両情報、積載貨物、通行経路などを入力し、申請データを作成します。申請内容に応じて、車両に関する説明書、通行経路表、経路図、自動車検査証の写し、車両内訳書なども準備します。
4.申請・審査を経て許可証の交付を受ける
申請後は、道路管理者が特殊車両通行許可基準に基づいて通行の可否を審査します。経路に複数の道路管理者が含まれる場合は、道路管理者間の協議が行われることもあります。
審査の過程で補正や追加資料を求められた場合は、その内容に対応します。必要な手数料を納付し、通行が認められると、許可証や条件書などが交付されます。
包括申請が向いている事業者
包括申請は、同じ条件で運行する同種の車両を複数保有している事業者に向いています。
- 同型のトラックを複数台保有している運送事業者
- 複数のトラクタやトレーラを使用している事業者
- 同じ貨物を同じ経路で繰り返し輸送する事業者
- 複数車両の許可期間や申請書類をまとめて管理したい事業者
一方、車両ごとに通行経路や積載貨物が異なる場合や、1台だけを申請する場合は、包括申請の対象にならないことがあります。
包括申請が利用できるか分からない場合は、車両情報と運行計画を整理したうえで、特殊車両通行許可申請を扱う行政書士へ相談すると判断しやすくなります。
包括申請を行政書士に依頼するメリット
特殊車両通行許可の包括申請は、自社で手続きを行うこともできます。ただし、複数の車両が包括申請の条件を満たしているか確認し、車両情報や通行経路を正確に整理しなければなりません。
行政書士に特車申請代行を依頼すると、車検証や車両諸元表などをもとに、包括申請にまとめられる車両を整理してもらえます。申請データや通行経路の作成、道路管理者から補正を求められた場合の対応も任せられるため、自社の事務負担を軽減できます。
特に、次のような場合は、特殊車両通行許可申請を扱う行政書士への相談をおすすめします。
- 複数の車両を包括申請にまとめられるか分からない
- トラクタとトレーラの組み合わせが複数ある
- 車両ごとに寸法・重量・軸距などが異なる
- 申請する車両や通行経路が多い
- 車両の追加や経路の変更に必要な申請区分が分からない
- 自社で申請書類を作成する時間を確保できない
新規申請・更新申請・変更申請など、ほかの手続きとの違いについては、特殊車両通行許可申請の種類・費用・必要書類もご確認ください。
また、許可までにかかる期間については、特殊車両通行許可の審査期間で詳しく解説しています。
複数車両の包括申請でお困りの方へ
行政書士法人アラインパートナーズは、特殊車両通行許可申請を専門に扱う行政書士事務所です。オンラインでの手続きに対応しているため、全国の事業者様から特車申請代行のご依頼を承っています。
車両情報や運行計画を確認し、申請内容に適した手続きをご案内します。複数車両の包括申請や車両追加をご検討の場合は、お気軽にご相談ください。
特殊車両通行許可の包括申請に関するよくある質問
特殊車両通行許可の包括申請について、よくある質問に回答します。
- Q特殊車両通行許可の包括申請とは何ですか?
- A
包括申請とは、一定の条件を満たす2台以上の車両をまとめて申請する方法です。原則として、申請する車両の車種・通行経路・積載貨物・通行期間が同じである必要があります。
- Q包括申請と普通申請の違いは何ですか?
- A
申請車両が1台の場合は普通申請、2台以上の場合は包括申請に区分されます。普通申請でも複数の通行経路を申請できるため、経路数によって区分されるものではありません。
- Q包括申請と一括申請の違いは何ですか?
- A
包括申請は一定の条件を満たす複数の車両をまとめる申請です。一括申請は、複数の道路管理者が管理する道路にまたがる経路について、そのうちの一つの道路管理者へまとめて申請する方法です。
- Q包括申請ではどのように審査されますか?
- A
包括申請では、申請した複数車両の諸元をもとに、道路構造や交通に与える影響が最も大きくなるように合成した車両によって審査されます。そのため、一部の車両の諸元によって申請車両全体に厳しい通行条件が付されることがあります。
- Q包括申請を利用すると手数料は安くなりますか?
- A
包括申請にするだけで手数料が安くなるわけではありません。国の機関へ申請する場合、通行経路が2つ以上の道路管理者にまたがるときの手数料は、原則として申請車両台数に申請経路数と1経路当たり200円を乗じて計算します。自治体では金額が異なる場合があります。
まとめ
特殊車両通行許可の包括申請は、一定の条件を満たす2台以上の車両をまとめて申請する方法です。原則として、車種・通行経路・積載貨物・通行期間が同じである必要があります。
包括申請では、複数車両の諸元をもとに、道路構造や交通に与える影響が最も大きくなるように合成した車両で審査されます。そのため、どの車両を一つの申請にまとめるか、事前に検討することが重要です。
また、包括申請と一括申請は異なるものです。包括申請は複数の車両をまとめる申請、一括申請は複数の道路管理者にまたがる経路について、一つの道路管理者へまとめて行う申請を指します。
包括申請・特車申請代行についてご相談ください
行政書士法人アラインパートナーズは、特殊車両通行許可申請を専門に扱う行政書士事務所です。代表行政書士の八木辰男が、ご相談から申請まで一貫して対応いたします。
オンラインでの手続きに対応しているため、全国の事業者様からご依頼いただけます。複数の車両を包括申請にまとめられるか分からない場合や、車両追加・通行経路についてお困りの場合は、お気軽にお問い合わせください。




