トレーラーハウスは店舗・宿泊施設・事務所などとして活用がすすんでいますが、運搬には、「特殊車両通行許可」や「基準緩和認定」などの制度が関係しています。
国土交通省の制度改正により、一定条件下での公道走行が可能となりましたが、「道路法」「道路運送車両法」「建築基準法」など複数の法令が関係して複雑です。制度改正の内容と法令関係を詳しく解説します。
トレーラーハウスとは
トレーラーハウスは、車両としての性質(牽引される構造)と建築物としての性質(居住・営業機能)を併せ持っています。
これらの違いによって、建築確認の要否、固定資産税の課税(地方税法)が変わってきます。
関連法令は建築基準法、道路運送車両法、地方税法です。
車両扱い
根拠法令は道路運送車両法で、条件としては随時かつ任意に移動可能となっています。
建築物扱い
根拠法令は建築基準法第2条(建築物の定義)で、条件としては土地への定着性(固定設置)です。
制度改正
従来、トレーラーハウスは保安基準不適合(サイズ・制動装置)・道路の構造保護の観点で公道走行が困難でした。関連法令は道路運送車両法や道路法です。
災害対応(仮設住宅・医療施設)や移動型ビジネスの普及もあって、制度改正が実施されました。
東日本大震災以降、店舗や公共施設としての活用ニーズが急増したことを受け、国土交通省は「一時的な運行に限って、一定の安全条件を満たせば走行を認める」という方針に転換されています。
改正では、一定条件下での運行が許可されています。
制度改正の中心である 一定条件下での運行を許可詳しく見ていきます。改正の要点は、トレーラーハウスはどうすれば公道を走れるのかという点です。改正では、本来は走れない車両を、例外的に走らせる仕組みを明確化したことにあります。
前提として、トレーラーハウスの多くは、幅超過(2.5m超)、長さ超過、制動装置が通常基準外のため、道路運送車両法の保安基準に適合しないので、車検が取れないためにナンバーが付かない、公道走行不可となっていました。それが、次の2段階で合法化できるようになりました。
車両としての例外を認める基準緩和認定
国土交通省(運輸支局)が、この車両は例外的にOKと認める制度です。
恒常的な使用ではなくて、一時的な運行限定です。安全確保が前提ですが、条件付き許可になります。
条件としては、速度制限(例:時速20kmなど)、運行時間帯の制限(夜間など)、運行回数の限定などがあります。
道路の使用を許可する特殊車両通行許可
道路管理者(国・都道府県・市町村)が、このルートであれば通ってよいと許可することですが、ルート固定して、日時指定、条件がつきます。典型的な条件としては、誘導車(前後配置)、交通量の少ない時間帯、橋梁・道路強度の確認などです。
「一定条件」の中身ですが、一時的運行であって、常用は禁止です。また店舗として常時移動はダメで設置場所までの運搬となります。
また、個別許可であること、包括許可は基本不可です。1回ごとに申請でルートごとに審査ということになります。
特車の包括申請とは、車種・軸種・積載貨物・通行経路が同じ2台以上の車両を1つの許可申請にまとめて手続きする方法です。1台ずつ申請する(普通申請)手間を省き、管理を効率化できるのがメリットです。
また、安全確保措置の条件がつきます。誘導車必須で、規模によっては複数のこともあります。無線連絡や警察協議が必要な場合もあります。
その他、道路への影響が軽微なこと。インフラ保護のために、橋梁制限、高さ制限(電線・高架)、曲がり角の通行可否もあることがあります。
一定条件下での運行許可とは、基準緩和認定(車両として例外OK)、特車通行許可(道路として通行OK)、厳格な条件遵守(安全・一時性・個別性)の3つがそろうことです。
法的関係では、車両側は道路運送車両法(保安基準の特例)、道路側は道路法(通行許可)で、この2つを組み合わせて運用されます。
トレーラーハウスとサイズ規制の関係
関連法令は道路運送車両法(保安基準)、道路法、車両制限令になります。車両には法定サイズがあります。
一般車両の制限(保安基準)
- 道路運送車両法に基づく保安基準は次のとおりです。
- 幅:2.5m
- 長さ:12m
- 高さ:3.8m
制限超過の場合、適用される法令は、車両側は道路運送車両法(不適合)、道路側は道路法第47条(通行制限)となり、詳細規定は車両制限令です。この場合、特殊車両通行許可が必要になります。
改正により、次の条件を満たすものが「トレーラーハウス」として法的に定義されました。
用途:住居、店舗、事務営業所、公共施設等として使用するための施設・工作物を有する。
形態:被けん引自動車(エンジンを持たず、引っ張られる車両)であること。
サイズ:道路運送車両法「保安基準第2条」の制限(全長12m、全幅2.5m、全高3.8m)を超えているもの。
なお、上記のサイズ制限内のものは、通常の車両として「車検」を取得して走行する必要があります。
建築基準法との関係
トレーラーハウスが「車両」として認められ、建築基準法の適用を受けない(建築確認申請が不要になる)ためには、次の条件を維持することが大前提です。
随時かつ任意に移動できる状態で設置されていること。
給排水・電気等の接続が、工具を使わず着脱可能であること。
適法に公道を移動できる状態(=基準緩和や特車許可を受けられる状態)であること。
もし特殊車両通行許可を取得できない状態で設置されている場合、それは「車両」ではなく「建築物」とみなされ、法違反(違法建築)となる可能性があるので注意が必要です。
基準緩和認定と特殊車両通行許可の関係
基準緩和認定(運輸局)
道路運送車両法が根拠となっており、保安基準の例外適用をチェックします。チェック対象はサイズ超過、構造不適合車両です。
特殊車両通行許可
道路法第47条・第47条の2が根拠となっており、道路の通行許可を判定します。経路指定・時間制限・条件付与(誘導車など)などがつきます。
基準緩和認定は、車両の合法化であり、特車許可は道路通行の合法化です。両方そろって初めて運行可能となります。
申請の流れ
- トレーラーハウスの申請の流れは次のとおりです。
- 車両仕様確定:寸法・重量・構造
- 基準緩和認定申請:運輸支局へ提出
- 特車許可申請:道路管理者へ申請
- 臨時運行許可:仮ナンバー
- 運行:許可条件で運行
最後に、当事務所の行政書士法人アラインパートナーズは、特殊車両通行許可申請代行(特車申請代行)を専門に扱っております。全国からのご依頼に対応しており、特車申請の申請件数・対応台数も豊富です。当記事のご質問やご相談・ご依頼をお待ちしておりますのでよろしくお願いいたします。




